こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2022年6月2日の平和不動産リート、6月14日のタツモ、6月22日の鈴茂器工です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行価格とその後の株価推移
まずは、発行(売出)価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
平和不動産リートは、全ての段階で損益プラス、
タツモと鈴茂器工は、全ての段階で損益マイナス
の結果でした。
平和不動産リートをPOで購入された方、おめでとうございます!
ちなみに私は、鈴茂器工がSBI証券で補欠当選でしたが、繰り上げならずということで買いは無しでした。
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:平和不動産リート(8966)
このJ-REITは、東京都区部を中心に中規模オフィスとシングル・コンパクトタイプのレジデンスへの投資・運用を行っており、
多数の物件へ投資することで、ポートフォリオの分散を図って収益変動リスクを極小化しており、安定感がありました。
2021年11月期の運用実績は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに微増の結果でまあまあの業績でした。
今回の公募増資による新規資産取得は、取得金額で約5.0%の増加率であり、
それからすると、修正された2022年7月期の営業収益や利益面の増額の割合(当初予想より、営業収益は12%、利益面は25%前後の増額)は、取得金額以上の増収増益の効果があり、納得性があるといえましたね。
分配金の利回りは4.24%(5/19時点)で、上場株式の年利回り(東証1部の単純平均:2.33%(5/18時点))と比較すると高い水準でしたが、
J-REITの平均的な利回り(5~6%台(2021年10月時点))と比較すると、それほど高くない状況でした。
ただ、直近5期の分配金は、連続増配を継続しており、こちらは魅力がありましたね。
投資口価格のモメンタムは、昨年の7月に高値(180,900円)をつけた後は調整し、下落トレンドで推移していました。
直近の投資口価格は、4月上旬に高値(152,700円)をつけた後は、横ばいのもみ合い状態が続いていましたが、
今回のPO発表の翌営業日(5/19)は、地合いが悪いこともあって、1口当たり利益の希薄化懸念からか、前日比 2,700円安(-1.81%)と売られ、
このまま下落し、直近の安値(130,800円)まで下がっていくのか、注目していましたが、これを割り込まずに上昇に転じていきました。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート投資法人(8966)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表後の株価の動きは、発行価格決定日(5/25)の翌営業日まで下落したのですが、
地合いが良かったということもあり、その後は上昇に転じ、受渡日以降その1週間後まで、上昇トレンドが継続しました。
要因分析:タツモ(6266)
この会社の2022年12月期1Qの業績は、IT投資用途の電子部品の需要の拡大による設備投資が堅調に推移し、
前年同期比 増収増益で、売上高は3割強増、利益面は8~9割の増益となっており好調でした。
通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割強の増収、営業利益は2割強増、経常利益は1割強増、純利益は微減を予想しており、
通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高と営業利益は1/4程度でそこそこで、
経常利益と純利益は16%程度ですが、会社側のほぼ当初計画通りの進捗でした。
株主還元は、配当利回りは1.51%(5/27時点)で、東証プライムの単純平均2.39%と比較すると低い水準で、
直近5年間の配当金は、年間1株あたり7~16円で推移しており、2018年12月期の記念配当2円分を除くと、基本的には増配傾向でした。
配当性向は、数%~10%台と低位で安定しており、
会社の方針は、安定的な配当を継続実施することを基本として、配当性向20%の実現を目指していましたので、こちらは期待できる内容でしたね。
株価モメンタムは、昨年4月の高値(2,104円)から下落トレンドで推移しており、
今年の1月に年初来安値(1,214円)をつけた後は、この安値を更新していませんでしたが、高値切り上げも起こっていない状況でした。
直近の株価は、3月の初めに年初来高値(1,732円)をつけた後は、下落トレンドで推移しており、5/12に安値(1,230円)をつけていました。
今回のPO発表を受け、その翌営業日(5/30)は1株当たり利益の希薄化懸念から、窓を開けて出来高を伴い大きく下げ、前日比 123円安(-7.03%)で終了し、
結局、5/12の直近の安値を下抜けてしまいました。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】タツモ(6266)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表の翌営業日以降は、売られ過ぎたせいか、発行価格決定日(6/6)の2営業日まで連続陽線で上昇していきましたが、
それをピークに下落し、受渡日には、発行価格(1,233円)を割れてしまいました。
そしてその後、1週間後も発行価格割れは続きました。
要因分析:鈴茂器工(6405)
この会社の2022年3月期通期の業績は、テイクアウト向け寿司ロボットの導入、新規出店に伴う寿司ロボットの製品需要が拡大し、前年同期比 増収増益で、売上高は2割強増、利益面は5~6割程度の増益の好結果でした。
今期(2023年3月期)通期予想は、引き続きテイクアウト向け寿司ロボットなどによる新たな省人化ニーズの取り込みや、衛生意識やフードロスへの関心の高まりを背景としたご飯盛付けロボットの市場開拓を進め、
前期比 増収増益で、売上高は1割強増、利益面は1~2割前後の増益を見込んでいます。
株主還元は、配当利回りは2.62%(6/8時点)で、東証スタンダードの単純平均2.16%(6/7時点) と比較すると高い水準で、
直近5年間の配当金は、年間1株あたり15~40円で推移しており、2019年3月期~2021年3月期は3年間同額ですが、基本的には増配していました。
そして、今年5月に株主還元方針を、総還元性向の基準は「無し」→「30%以上」、配当回数は「中間配当なし(年1回)」→「中間配当あり(年2回)」として、株主にとっては充実した内容に変更しており、
さらに、今回のPO発表と同時に、株主優待を新設し、
3月末に、100株以上保有の株主にジェフグルメカード 500円分(300株以上:1,500円分、500株以上:2,500円分、1,000株以上:5,000円分、5,000株以上:10,000円分)が進呈され、
100株保有の場合の配当金+株主優待(1,000円相当)で、総合利回りは3.05%にもなっており、個人投資家にとってはうれしい内容でしたね。
株価モメンタムは、一昨年のコロナショック時の安値から一気に上昇し、昨年末から急速に下落を始め、今年1月に年初来安値(1,357円)をつけていましたが、
その後は上昇し、4月に年初来高値(2,425円)をつけていました。
直近の株価は、今年4月の年初来高値から調整し、5月に安値(1,725円)をつけた後は上昇に転じ、
そして、今回のPO発表と株式分割、株主優待の新設を発表した翌営業日(6/8)は、POによる短期的な需給悪化懸念よりも、株式分割と株主優待新設を好感され、
窓を開けて出来高を伴い買われ、前日比 126円高(+5.65%)して、年初来高値(2,425円)まであと一歩のところまで迫っていました。
そして、年初来高値を超えてくれば、勢いに乗って上昇してくると考えていましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】鈴茂器工(2163)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
株価は、PO発表後3営業日まで上昇し、4月の年初来高値(2,425円)を超えてきましたが、
結局それ以降は株価は上昇せず、売出価格等決定日(6/15)以降も、さえない展開となりました。
そして、受渡日(6/22)以降は多少は上昇しましたが、売出価格(2,277円)は越えられず、1週間後はPO発表前の水準に戻っています。
まとめ
平和不動産リート(8966)、タツモ(6266)、鈴茂器工(6405)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益) (「1週間(5営業日)後始値」 ー「発行価格」) [円](%) | 判定 |
平和不動産リート | 中立 | +10,787 (+7.82) | × |
タツモ | 中立 | -42 (-3.41) | × |
鈴茂器工 | 買い | -37 (-1.62) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
でした。
今回は0勝3敗、勝率0.000。大反省ですm(_ _”m)
平和不動産リートは、地合いが良かった要因が大きく、予想以上に上昇したイメージです。
タツモは、PO発表時に下落トレンドで推移していたため、その流れを変えるような動きとはなりませんでした。
鈴茂器工は、PO発表後に株価は年初来高値を上抜いてきたのですが、その勢いは続いていきませんでした。
PO発表以降に株価が上がり過ぎたため、その反動で下がってしまったともいえます。
今後の株価動向ですが、
平和不動産リートは、受渡日1週間後以降は株価は下がっていましたが、すぐに戻して、受渡日の価格を超えてきました。
今後の上昇が楽しみです。
タツモは、再び25日移動平均線を下抜けてきました。
直近では、半導体関連株の下落基調が続いていますので、どこで下げ止まるか要注目です。
鈴茂器工は、まだ75日移動平均線を下抜けてはいませんので、2022年7月末の1対2の株式分割にむけて再び上昇してくるのではと予想しています。
株価は、PO発表前の株価水準にまで戻っていますので、今が押し目かもしれません。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。