公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。
今回は、東証J-REITの平和不動産リート投資法人です。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
- 公募増資・売出(PO)とは?
既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。 正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。 また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」と「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。 「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。
POの概要
今回のPOは、公募による新投資口の発行です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。
ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%(直近のJ-REITは2~2.5%)です。
参考までに、直近のJ-REITのPO銘柄のディスカウント率は、
- 日本リート、Oneリート、グローバル・ワン不動産:2.5%
- ジャパン・ホテル・リート、ジャパンリアルエステイト: 2.0%
でした。
注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は、SMBC日興証券、大和証券、野村證券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)はじめ、引受人(岩井コスモ証券、岡三証券、東洋証券、水戸証券)の証券会社で購入申込可能です。
早ければ、5/21(木)の夕刻に、法人側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖
| 発行価格等決定日 | 2026年5月21日(木)から26日(火)までの間のいずれかの日 |
| 受渡期日 (POで買った場合はこの日から売却可能) | 2026 年 6月2日(火) |
| ①公募による新投資口の発行 (一般募集)数量 | 87,700 口 (発行済み投資口数 1,251,533 口 の約7.01%) |
| ②投資口の売出し (オーバーアロットメントによる売出し) 数量 | 4,300 口(上限の数量) ※上記の「発行価格等決定日」に決定。 SMBC日興証券が売出す。 |
| ③第三者割当による新投資口の発行 数量 | 4,300 口(申込のなかった口数は発行されない。) ※SMBC日興証券に割当 |
| 調達資金手取り概算額(上限) | 124 億円 |
| 発行価格 | (決定後記載) |
| ディスカウント率 | (決定後記載) |
| 申込単位数量 | 1 口 |
| 主幹事 | SMBC日興、大和、野村、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー |
| 引受人 | 岩井コスモ、岡三、東洋、水戸 |
【新投資口発行の目的及び理由】
- 新投資口の発行による資金調達により新たな特定資産(オフィスビル3物件)を取得することで、ポートフォリオの収益性の改善及び質的向上を目指している。
- また、総資産有利子負債比率(LTV)の引き下げによる財務基盤の強化を目的として、
不動産売買市況、投資口市場動向、分配金水準及び 1 口当たりNAV(Net asset value:純資産の総額)の水準等を勘案して検討した結果、
1口当たり分配金の成長が投資口の希薄化を上回る見込みであり、更なる投資主価値向上に寄与すると判断したことから、新投資口の発行を決定した。
としています。
今回の資金調達によって、オフィスビル3物件(取得予定価格 約134億円)を2026年6月に取得予定です。
取得後のポートフォリオの合計は、2026年5月に譲渡予定の2物件を含めると、139物件、取得金額は2,784億円に拡大します。
今回増資される投資口数は、発行済み口数の約7.01%(第三者割当を含めると、最大約7.35%)で、
直近の総合型J-REITの、公募増資の発行済み総口数に対する割合(第三者割当を含む)は、
ユナイテッド・アーバン 4.48%、東海道リート 21.7%、日本リート 3.50%でしたので、それらと比較すると中規模の増資です。
また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した投資口の数量)の5日平均は4,538口、25日平均は3,267口(5/19時点)で、流動性は高い水準です。(※1日 1,000口を平均水準としています。)
【過去POの結果】
ご参考までに、この投資法人は、2025年6月、2024年6月、2023年6月、2022年6月(受渡期日)にも公募増資を実施したのですが、その時のPOの結果はどうだったかというと、表2の結果となっています。
(※売買手数料は考慮していません。)
| 受渡 期日 | 発行価格 [円] | ディス カウント 率 [%] | 受渡日 始値[円] (騰落率 [%]) | 受渡日 終値[円] (同) | 1週間後 の始値 [円] (日付) | 損益[円] (騰落率 [%]) |
| 2022/ 6/2 | 137,913 | 2.5 | 145,500 (+5.5) | 146,000 (+5.9) | 148,700 (6/9) | +10,787 (+7.8) |
| 2023/ 6/2 | 148,239 | 2.5 | 153,900 (+3.8) | 155,400 (+4.8) | 154,600 (6/9) | +6,361 (+4.3) |
| 2024/ 6/4 | 128,271 | 2.5 | 132,800 (+3.5) | 132,000 (+2.9) | 132,900 (6/11) | +4,629 (+3.6) |
| 2025/ 6/3 | 122,996 | 2.5 | 127,500 (+3.7) | 128,900 (+4.8) | 129,500 (6/10) | +6,504 (+5.3) |
POで購入した場合、受渡日の寄付と大引、1週間後の寄付で売却した場合の騰落率は+2.9~+7.8でいずれも損益プラスの結果でした。
その時の地合いの良し悪しも影響してきますので、ご参考まで。
【ご参考】
前回(2025年6月)の記事:【公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート投資法人(8966) <2025年5月実施>
前々回(2024年6月)の記事:【公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート投資法人(8966) <2024年5月実施>
前々回の振り返り:【結果検証:公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート(8966)、星野リゾート・リート(3287)、ジャパン・ホテル・リート(8985)
2023年6月実施時の記事:【公募増資・売出(PO)は買いか?】平和不動産リート投資法人(8966) <2023年5月実施>
2023年6月実施時の振り返り:【結果検証:公募増資・売出(PO)は買いか?】GLP投資法人(3281)、日本プロロジスリート(3283)、平和不動産リート(8966)
どんな投資法人?
2005年の上場以来、東京都区部を中心に中規模オフィスとシングル・コンパクトタイプのレジデンスへの投資・運用を行っているJ-REITです。
基本理念である「運用資産の着実な成長」と「中長期的な安定収益の確保」を着実に遂行し、
投資主価値の最大化に向けて取り組んでいます。
【J-REITの簡単な説明】
投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるもの。
J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。
【同投資法人の特色】
- 戦略的なポートフォリオの構築
- 高い需要に支えられた「東京都区部を中心とする投資エリアにあるオフィス及びレジデンス」に集中投資
- 厳格な投資基準に基づき、多数の物件へ投資することで、ポートフォリオの分散を図り、収益変動リスクを極小化
- 平和不動産とのスポンサーシップ
- 信用力・ブランド力の向上
- 財務基盤の強化
- 物件稼働率の向上
- 物件取得のサポート
【ポートフォリオ構築方針】
厳格な投資基準に基づき、多数の物件へ投資することにより、用途・棟数・テナントの分散を行い、ポートフォリオの収益変動リスクの極小化を図っています。
オフィス及びレジデンス各々の投資メリットを効率的に享受するため、原則としてそれぞれポートフォリオの50%(取得価格ベース)を目処としています。
また投資エリアは、第一投資エリア(東京23区)を主たる投資地域と位置付けていますが、
各エリアのマーケット状況(取得物件のストック量、取引価格の状況及び賃貸マーケット状況等)を勘案しながら、
第二投資エリア(第一投資エリアを除く東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県における主要市街地)及び地方投資エリア(第一・第二投資エリアを除く大都市圏における主要市街地)にも投資する方針です。
<用途別投資比率>
- オフィス 原則50%(30~70%)
第一投資エリア:50~100%
第二投資エリア:0~50% - レジデンス 原則50%(30~70%)
第一投資エリア:50~100%
第二投資エリア:0~50% - その他の資産 10%以内
<投資額>
- オフィス
原則1物件当たり10億円以上。ただし、1物件の投資額は、ポートフォリオ全体(取得価格ベース)の20%以内 - レジデンス
原則1物件当たり5億円以上。ただし、1物件の投資額は、ポートフォリオ全体(取得価格ベース)の10%以内
【ポートフォリオの概要】
ポートフォリオの合計 物件数:138物件、取得価格:2,682億円 (2026年3月2日現在) 、稼働率:97.4%(2026年4月30日現在)
<用途別比率>(2025年11月30日現在)
- オフィス 51.6%
- レジデンス 48.4%
- その他 0%
となっており、「オフィス」と「レジデンス」がほぼ半々です。
<エリア別比率>(同上)
- 都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区) 28.5%
- 東京23区 30.0%
- 首都圏 10.3%
- その他地域 31.2%
となっており、「その他地域」が最も多く3割強、次に「東京23区」が多く3割を占めています。
直近の運用概況
【2025年11月期の運用状況と2026年5月期以降の見通し】
(2026年1月19日発表)
| 決算期 | 営業 収益 [百万円] (前期比 増減率 [%]) | 営業 利益 [百万円] (同) | 経常 利益 [百万円] (同) | 当期 純利益 [百万円] (同) |
| 2025年11月期 実績 | 10,704 (5.4) | 5,985 (7.7) | 5,207 (6.7) | 5,206 (6.7) |
| 2026年5月期 法人予想 (2026年4月27日 修正) | 11,531 (7.7) | 6,588 (10.0) | 5,629 (8.1) | 5,628 (8.1) |
| 2026年11月期 法人予想 (2026年5月18日 修正) | 9,527 (△17.3) | 4,579 (△30.4) | 3,457 (△38.5) | 3,456 (△38.5) |
| 2026年5月期 法人予想 (2026年5月18日 発表) | 9,706 (1.8) | 4,724 (3.1) | 3,486 (0.8) | 3,485 (0.8) |
表3のとおり、前期(2025年11月期)は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに1割弱増でした。
今期(2026年5月期)は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに1割弱増を予想しています。
次期の2026年11月期(2026年6月~11月)は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 減収減益で、営業収益は2割弱減、利益面は3~4割弱減を見込んでいます。
【2025年11月期の運用状況】
<運用環境>
(オフィスビル賃貸マーケット)
三鬼商事の最新オフィスビル市況によれば、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルの平均空室率は、
新築ビルや既存ビルそれぞれで成約が進み、事業拡大による大規模成約や拡張移転の動き等も見られたことから、前期末(2025年5月末)の3.56%から当期末(2025年11月末)2.44%へと改善しました。
また、平均賃料については、2024年2月以降22ヵ月連続で上昇となり、前期末の20,776円/坪から当期末には21,308円/坪と改善しました。
空室率についても、拡張やグレードアップ、立地改善を目的とした移転や増床が進み、低い空室率が継続している状況です。
また、同投資法人の運用資産においても、高水準の稼働率の維持、好調なマーケットを捉えた賃料の上昇を目指しています。
(レジデンス賃貸マーケット)
アットホーム株式会社によれば、2025年11月の全国主要都市エリアのマンション平均募集家賃は、首都圏全エリア(東京23区・東京都下(東京23区を除きます。)・神奈川県・埼玉県・千葉県)及び名古屋市・京都市・神戸市・福岡市が全面積帯で前年同月を上回りました。
また、カップル向き・ファミリー向きマンションは全13エリアで前年同月を上回り、シングル向きでは東京23区が18ヵ月連続、大阪市が16ヵ月連続で最高値を更新しました。
また、2025年11月の「建築着工統計調査報告」によると新設住宅着工戸数(貸家)は、2025年6月~11月において、10月を除いては前年同月比で減少となりました。
東京都の人口流入の増加や昨今の新築マンションの価格高騰等により賃貸住宅の需給はひっ迫した状況が継続しており、
賃貸ニーズが好調に推移していることから賃貸マンションの需給環境は引き続き良好な状況が続くものと同投資法人は考えています。
その他の主要都市においても安定的な需要が継続しており、高い稼働率を維持すると考えています。
また、需給環境が良好であることに起因して、賃料の上昇傾向が継続的に見込まれることを踏まえ、さらなる収益向上を目指しています。
(不動産市況)
2025年9月に発表された2025年7月1日時点の都道府県地価調査における地価については、三大都市圏では全用途平均・住宅地・商業地はいずれも上昇が継続し、いずれも上昇幅が拡大しました。
東京圏及び大阪圏では、上昇幅の拡大傾向が継続し、名古屋圏では上昇幅がやや縮小しました。
また、地方圏では、全用途平均・住宅地・商業地がいずれも3年連続で上昇し、札幌市・仙台市・広島市・福岡市については上昇幅がやや縮小し、その他の地域では住宅地で継続していた下落傾向が横ばいに転じました。
同投資法人が投資対象と考えている地方における政令指定都市についても、住宅地、商業地ともに上昇傾向が継続しています。
<運用実績>
(外部成長)
同投資法人は、資産規模の拡大並びに財務基盤の強化を目的として、2025年6月に公募増資等を行いました。
ポートフォリオの収益性の改善及び質の向上を目指し、5物件(オフィス3、レジデンス2)の取得、2物件(オフィス1、レジデンス1)の譲渡を行いました。
この結果、当期末時点での運用資産は、オフィス45物件(取得価格の合計:1,320億円)、レジデンス88物件(取得価格の合計:1,240億円)の合計133物件(取得価格の合計:2,561億円)となっています。
(内部成長)
同投資法人は、従来から稼働率の維持向上に注力することにより、収益の向上に努めてきましたが、
当期においても、空室期間の短縮化に努めたテナントリーシング活動(物件の客付けやテナント付けのサポート)及びテナントニーズや物件毎の特性を踏まえた計画的なバリューアップ投資に取り組みました。
こうした取組みによって物件の競争力の維持向上に努めた成果もあり、全運用資産合計の稼働率は、当期末時点で97.8%(前期末比 0.7ポイント増)となり、前期末時点の97.1%から期中を通じて高稼働で安定的に推移させることができ、
期中月末平均稼働率は97.5%(前期末比 0.3ポイント増)と高水準となりました。
また、環境・省エネルギーへの配慮及び地域社会への貢献等を中心としてESGへの取り組みを推進しています。
そのほか、従来から継続して取り組んでいる運用資産の名称変更についても、当期首から2026年1月19日現在までに7物件において実施しました。
また、当期に取得した2物件において名称変更を実施する予定です。
名称変更により、既存テナントへの安心感の提供、テナント候補者への訴求力の向上、より効率的なリーシングを目指しています。
<資金調達>
同投資法人は、物件の取得資金等に充当することを目的として、2025年6月2日に公募増資(発行投資口数:54,000口、発行価額の総額:6,427百万円)及び2025年6月24日に第三者割当増資(発行投資口数:2,600口、発行価額の総額:309百万円)による資金調達を行いました。
借入金については、物件の取得資金等に充当することを目的として、期中において、合計7,333百万円の借入れを行い、
また、期中に元本返済期日を迎えた借入金及び一部期限前弁済(合計:7,379百万円)の返済資金に充当するため、7,379百万円の借入れを行いました。
また、2025年6月には合計4,850百万円の期限前弁済を行っています。
これらにより、当期末時点の平均借入期間は7.2年、平均残存期間は4.1年、平均借入金利は1.19%、有利子負債額(※1)は、1,283億円(期末総資産有利子負債比率(※2):47.0%)となりました。
※1:有利子負債額=短期借入金+1年内償還予定の投資法人債+1年内返済予定の長期借入金+投資法人債+長期借入金
※2:期末総資産有利子負債比率=期末有利子負債額/期末総資産額×100
【2025年5月期の見通し】
同投資法人は、基本理念である「運用資産の着実な成長」及び「中長期的な安定収益の確保」「平和不動産グループとの連携活用」により、投資主価値の極大化を目指すことを目的とし、
東京23区に所在するオフィス及びレジデンスを中心に、質の高いポートフォリオを構築・運営してきました。
また、今後は、「投資主還元の強化」、「内部成長の強化」、「資産回転型戦略の強化」に注力していく方針です。
今期以降も、上記方針に従い、ポートフォリオの安定的な運用を行いつつ、着実な成長戦略の推進によって、更なる投資主価値の極大化を目指しています。
<外部成長>
前々期から前期にかけて4物件を売却するとともに良質な新規10物件を取得することにより、ポートフォリオの量の拡大、質の改善と収益向上を図りました。
今後も、継続的な資産規模の拡大を図る一方で、資産の入替えの検討等も行い、中長期的なポートフォリオの質の向上を図り、投資主価値の極大化を目指しています。
資金調達環境や景気の回復に伴う物件価格の上昇については状況が変わる可能性はあるものの、競合他社の取得意欲の急速な減退は想定しにくく、物件の取得環境は引き続き厳しい環境が続く可能性があると考えられます。
そのために、平和不動産のパイプラインの活用及び資産運用会社独自の情報ルートの強化により、優良物件情報の早期入手に努めてます。
基本戦略として、平和不動産が保有・開発する物件取得や、他のデベロッパーが保有・開発する物件取得等、取得機会の増加に努め、中長期的な安定収益の確保に貢献するポートフォリオの拡大を目指しています。
<内部成長>
平和不動産グループ及びプロパティ・マネジメント会社が培ったデータベースや情報ネットワークを活用することにより、
賃貸マーケットの動向を迅速に把握し、きめ細やかなプロパティ・マネジメントを行うことで、運用資産の稼働率及び賃料水準の維持・向上を図ることが可能になると同法人は考えています。
オフィスビルの賃貸市場については、2022年に需要がプラスに転じて以降、その勢いはなおも拡大傾向にあります。
質の高いオフィスを求めるテナントニーズは一層の高まりを見せており、オフィス戦略を人材獲得のための投資として捉える向きが続いていると同投資法人は考えています。
そのような環境の下、今後もテナントニーズに応えるべく多様な貸し方を模索し価値の向上に根ざした運用を行う方針です。
また、レジデンスの賃貸市場については、東京都の人口流入の増加や新築マンションの価格高騰等により賃貸住宅の需給はひっ迫した状況が継続しており、賃貸ニーズが好調に推移していることから賃貸マンションの需給環境は引き続き良好な状況が続くものと考えています。
その他の主要都市においても安定的な需要が継続しており、高い稼働率を維持するものと考えています。
また、需給環境が良好であることに起因して、賃料の上昇傾向が継続的に見込まれることを踏まえ、都内のディンクス及びファミリー向きマンションにおいては、
テナント入替時、計画的にバリューアップ工事を実施し、さらなる収益向上を目指すとともに、物件競争力の更なる強化を進めていく方針です。
引き続きマーケット状況を注視しながら個別物件の特性に応じたきめ細かな運用を行っています。
運用においては、引き続き賃料水準の維持・向上及び退去者数低減に重点を置いたテナント対応や、退去者発生から新規入居者獲得までの期間短縮のための原状回復工事期間の短縮等のリーシング管理を行っていく計画です。
更に、物件競争力強化のための運用資産の修繕・改修工事については、物件毎の築年数や設備水準等を勘案し、中長期的な資産価値の維持・向上を図るためのバリューアップ投資を引き続き積極的に行っていく計画です。
<財務戦略>
財務基盤の安定化を図り、持続的な成長を可能とすることを目的とした施策に鋭意取り組んでいます。
投資口の発行は、既存の投資主の権利の希薄化及び投資口の取引価格に与える影響等を考慮しつつ資金調達手段の一つとして検討し、
調達した資金については、物件取得を通じた資産規模の拡大、ポートフォリオの収益性及び質の向上、あるいはLTVの引き下げによる財務基盤の強化等に充てることで、
中・長期的な視点での投資口価格、分配金及び1口当たりNAV等の投資主価値向上を目指しています。
借入金については、適切にLTVをコントロールしながら、引き続き借入期間の長期化・償還期限の分散化を図る一方で、今後の金利上昇リスクの低減や金融コストの低減を推進しています。
また、金融機関とのリレーション強化を行いながら、更なるバンクフォーメーションの強化を進め、金融コストの低減効果や金融マーケットの動向を注視しつつ、投資法人債の発行についても取り組んでいます。
投資主還元施策の一つとして、投資口価格の水準、手許資金の状況、財務状況及びマーケット環境等を総合的に勘案し、自己投資口の取得及び消却についても検討していく予定です。
これら施策、取組みを継続して行うことで、資金調達環境に左右されない健全な財務体質の構築に努めています。
【2026年11月期の運用状況及び分配金の予想の修正と2027年5月期の予想】
2026年6月に予定している新規資産取得(オフィスビル3物件)に伴い、
2026年11月期の運用状況と分配金予想の修正、2027年5月期の運用状況と分配金予想をしています。
2026年11月期の運用状況予想は表4です。
| 営業 収益 [百万円] | 営業 利益 [百万円] | 経常 利益 [百万円] | 当期 純利益 [百万円] | 1 口 当たり 分配金 [円] | |
| 前回 (2026/1/19) 発表予想 | 9,092 | 4,231 | 3,220 | 3,219 | 4,010 |
| 今回修正予想 | 9,527 | 4,579 | 3,457 | 3,456 | 4,010 |
| 増減額 | 435 | 348 | 236 | 236 | 0 |
| 増減率[%] | 4.8 | 8.2 | 7.3 | 7.3 | 0 |
前回発表予想から、営業収益は微増、利益面は1割弱の増額をしています。
また、分配金は前回予想から変わらずの予想で、前期(2026年5月期)比で20円増です。
2027年5月期の予想は、表3に記載のとおりです。
【格付けの状況】
(2026年1月19日現在)
日本格付研究所(JRC):長期発行体格付「AAー」(安定的)
(※AA:債務履行の確実性は非常に高い。)
投資口価格の動向
【2026/5/19(火)終値時点の数値】
- 投資口価格(1口当たり):141,400円
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):26.3倍
- 年間分配金(法人予想):8,040円(2026年11月 4,010円、2027年5月 4,030円)、利回り:5.68%
分配金利回りは5.68%で、上場株式の利回り(東証プライムの単純平均:2.15%(5/18時点))と比較すると、2倍超の高い水準で、
J-REITの平均予想利回り(4.78%(2026年4月末時点:一般社団法人 不動産証券化協会データより))と比較しても高い水準です。
直近5営業期間の分配金は、表5のように、1口当たり3,380~3,990円で推移しており、連続増配を継続中です。
| 決算期 | 1口当たり 分配金 [円] |
| 2024年5月期 | 3,380 |
| 2024年11月期 | 3,640 |
| 2025年5月期 | 3,850 |
| 2025年11月期 | 3,950 |
| 2026年5月期 (予想) | 3,990 |
【直近の投資口価格推移】
<週足チャート(直近2年間)>
2024年12月に安値(114,400円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、翌年の年末に高値(164,100円)をつけました。
しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しています。
<日足チャート(直近3か月間)>
今年2月下旬に高値(159,600円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しています。
そして、今回のPO発表の翌営業日(5/19)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念により最初は安く始まり年初来安値を更新しましたが、
その後は値を戻し、結局前日比 900円高(+0.64%)で終了しました。
今後の投資口価格は、再び年初来安値(139,300円)を更新せず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、年初来安値を更新し下値模索を継続するのか、要注目です。
まとめ
【ファンダメンタルズ】
- 東京都区部を中心に中規模オフィスとシングル・コンパクトタイプのレジデンスへの投資・運用を行っているJ-REITで、
「運用資産の着実な成長」と「中長期的な安定収益の確保」を着実に遂行し、投資主価値の最大化に向けて取り組んでいる。 - 多数の物件へ投資することで、ポートフォリオの分散を図って収益変動リスクを極小化しており、安定感がある。
- 前期(2025年11月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに1割弱増で着地。
- 次期(2026年11月期)の運用状況予想は、今回のPO発表と同時に修正しており、前期比 減収減益で、営業収益は2割弱減、利益面は3~4割弱減を見込んでいる。
- 今回の資金調達による資産取得により、次期(2026年11月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は微増、利益面は1割弱の増額修正をしている。
【インカムゲイン】
- 分配金の利回り(予想) 5.68%(5/19時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.15%(5/18時点)と比較して2倍超の高い水準で、J-REITの平均的水準と比べても高い水準。
- 直近5期の分配金は、1口当たり3,380~3,990円で推移しており、連続増配を継続中。
- 今回の増資後の2026年11月期の分配金は前回予想から変わらずで、前期比 20円増、翌2027年5月期は同20円増の予想。
【流動性】
- 直近の出来高の5日平均は4,538口、25日平均は3,267口(5/19時点)で、流動性は高い水準。
【投資口価格モメンタム】
- 週足レベルの投資口価格は、2024年12月に安値(114,400円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、翌年の年末に高値(164,100円)をつけた。
しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移している。 - 直近の投資口価格は、今年2月下旬に高値(159,600円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移している。
そして、今回のPO発表の翌営業日(5/19)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念により最初は安く始まり年初来安値を更新したが、その後は値を戻し、結局前日比 900円高(+0.64%)で終了した。 - 今後の投資口価格は、再び年初来安値(139,300円)を更新せず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、年初来安値を更新し下値模索を継続するのか要注目。
以上をふまえ、
| レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
| ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
| インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| 流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 投資口価格 モメンタム | ⭐⭐ |
| 総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
と判断しました。
参考になればうれしいです!最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。
