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【公募増資・売出(PO)は買いか?】日本電子材料(6855)

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから電気機器業種の日本電子材料です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募と第三者割当による新株式の発行です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、ゆうちょ銀行(6178) 2.08%、デンソー(3387) 3.02%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は野村證券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、3/10(火)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2026年3月10日(火)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2026年3月17日(火)
①公募による新株式発行(一般募集
数量
普通株式 1,739,200 株
発行済み株式総数 12,666,510 株 の約13.7%
②株式売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 260,800 実施決定(3/10)
野村證券が売出す。
③第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 260,800(申込のなかった数量は発行されない。)
野村證券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)140 億円
発行価格6,478 円
(3/10決定:終値 7,190 円)
ディスカウント率9.90 %
(3/10決定)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券
表1:日本電子材料(6855) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約140億円については、

2028年3月末まで全額を、AI関連半導体市場の拡大に伴って増加するメモリー向けMタイププローブカード(MEMS技術を用いたプローブカード)への需要に対応した生産キャパシティ拡大のための新工場の建設資金125億円の一部又は全部に充当する予定です。

手取概算額の合計額が上記新工場の建設資金を超過した場合は、当該超過額を2028年3月末までに半導体検査用部品関連の研究開発費に充当する予定です。

【新株式の発行数量/流動性】

今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約15.7%(第三者割当を含む)で、

直近の新株式を発行したPOの発行株数比率(最大)は、コロンビア・ワークス 11.1%、セグエグループ 16.5%、松屋フーズ 8.44%で、それらと比較すると大規模増資です。

新株式の発行1株利益の希薄化につながりますので、短期的に株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は10,271百株、25日平均は6,946百株(3/4時点)で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

創業以来、経営理念である「人類に幸福をもたらす技術の開発と製品化」を追求し、

そして1970年に日本で最初に半導体検査用部品であるプローブカードの製造を開始して以降、半導体産業の成長と発展に貢献している会社です。

事業内容は、半導体検査用部品(プローブカード)電子管部品(陰極、フィラメント(白熱電球などの発熱・発光部分))の開発、製造及び販売を行っており、

事業セグメントは、「半導体検査用部品関連事業」と「電子管部品関連事業」の2つがあります。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、ほぼ「半導体検査用部品関連事業」が占めています。

直近の経営概況

【2026年3月期3Q(2025年4月~12月)の経営成績】

(日本基準(連結):2026年2月6日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2025年3月期
3Q累計
147
(22.7)
2,832
(123倍)
2,938
(35倍)
2,052
(黒字
転換)
2026年3月期
3Q累計
206
(40.3)
5,028
(77.5)
4,893
(66.5)
3,468
(69.0)
2026年3月期
通期会社予想
(2026年2月6日
修正)
281
(17.9)
6,500
(41.8)
6,200
(33.6)
4,300
(24.5)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
73.577.378.980.6
表2:日本電子材料(6855) 2026年3月期3Q経営成績と2026年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は4割増利益面は7割弱~8割弱増でした。

今期(2026年3月期)通期の業績予想は、今3Q決算発表時に上方修正(表4参照)しており、前期比 増収増益で、売上高は2割弱増利益面は2割強~4割強増を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は7割強でそこそこ利益面は8割前後でそこそこです。

【2026年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社グループの主たる事業分野である半導体市場は、データセンター向け生成AIの画像処理半導体や広帯域メモリー(HBM)等の先端半導体旺盛な需要が継続する一方で、自動車向け等の回復は遅れる状況で推移しました。

このような事業環境の中、当3Q連結累計期間においては、メモリー向けプローブカードの拡販が大きく進んだことにより、

売上高は、前3Q累計期間を大きく上回る結果となりました。

利益面も、売上高の増加に加えて、国内工場の高い稼働率により、前3Q累計期間を大きく上回る結果となりました。

以上の結果、当3Q累計の経営成績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「半導体検査用部品関連事業」前年同期比 増収増益

「電子管部品関連事業」増収減益となっています。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
半導体検査用
部品関連
205
(40.7)
6,367
(69.5)
電子管
部品関連
1.6
(0.1)

(△19.0)
表3:2026年3月期3Q セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

半導体検査用部品関連事業

非メモリー向けプローブカードの需要は低調に推移しました。

一方で、メモリー向けプローブカードについては、国内外の先端半導体向けでの需要拡大に加え、回復しつつある主要顧客のニーズにも応えるべく、増産に努めました。

さらに、一昨年竣工した熊本第4工場の本格稼働も生産能力の向上に寄与しました。

これにより、全体の売上高前3Q累計期間を大きく上回る結果となりました。

利益面も、将来的な生産能力と製品力の強化を目的とした先行投資に伴うコスト増加があったものの、売上高の増加に加えて、国内工場の高い稼働率により、前3Q累計を大きく上回る結果となりました。

電子管部品関連事業>(言及無し)

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期3Q末時点で73.1%と前期末(70.0%)から3.1ポイント増加しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2026年3月期)通期業績予想の修正】

今3Qの決算発表時に、2026年3月期通期の業績予想を前回予想と比べ、売上高は1割弱増利益面は3割強~4割弱の増額修正をしています。

2026年3月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
1株当たり
年間配当金
[円]
前回(2025/11/7)
発表予想
2654,8004,5003,200252.9560
今回修正予想2816,5006,2004,300339.9180
増減額161,7001,7001,10020
増減率[%]6.035.437.834.433.3
表4:日本電子材料(6855) 2026年3月期通期連結業績予想数値の修正(2026年2月6日発表)

修正の理由は、

としています。

また、同社は株主に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしており、

2024-2026年度中期経営計画においては、設備投資と研究開発を中心に「将来に向けた成長投資」とのバランスを取りながら、株主へ安定的・継続的かつ利益に見合った配当を実施する方針です。

配当予想に関しても、期末配当を、2026年3月期通期連結業績予想の修正内容を勘案50円(20円増配:年間80円)に修正しています。

株価指標と動向

【2026/3/4(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、日本マイクロニクス(6871) 23.0倍と同水準です。

配当利回り1.14%で、東証スタンダードの単純平均 2.27%(3/4時点) と比較すると低い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株当たり15~40円で推移しており、累進配当を継続中です。

配当性向は、数%台~80%台で幅があります

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期157.9
2022年3月期4012.9
2023年3月期4019.3
2024年3月期4081.1
2025年3月期70
(記念配当
5円含む)
25.6
表5:日本電子材料(6855) 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしています。

2024-2026年度中期経営計画においては、設備投資と研究開発を中心に「将来に向けた成長投資」とのバランスを取りながら、株主へ安定的・継続的かつ利益に見合った配当を実施する方針です。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2025年4月に安値(1,252円)をつけるまでは下落基調で推移していましたが、

その後は高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しており、2026年2月には急上昇して上場来高値(10,270円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

昨年12月中旬に安値(3,460円)をつけた後は、しばらく緩やかに上昇していましたが、

今年2月に入り、今期2回目の業績の上方修正を発表した後2営業日連続寄らずのストップ高となり株価は急騰しました。

そして、2月下旬に上場来高値(10,270円)をつけて今回のPOが発表され、翌営業日(2/26)は、POによる1株利益の希薄化懸念により前日比 1,500円安(-15.0%)と急落しました。

そしてその翌営業日以降も続落しています。

今後の株価は、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
新株式の発行数量⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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