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【立会外分売は買いか?】マミーマート(9823) <2025年9月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから小売業種のマミーマートです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ9/18(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年9月19日(金)~ 25日(木)
分売数量10 万株
(発行済み株式総数 10,796,793 株の約0.92%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:マミーマート(9823) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.92%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は101百株、25日平均は123百株(9/12時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(1,000百株)は、1日の出来高(25日平均:123百株)の約8.1倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

【過去の立会外分売結果】

ご参考までに、この会社は、約4年前の2021年6月と11月に立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減[円])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2021/
6/3
2,1842.982,225
(+1.9)
2,226
(+1.9)
2,228
(6/10)
+44
(+2.0)
2021/
11/26
102,1862.972,153
(-1.5)
2,162
(-1.1)
2,150
(12/3)
-36
(-1.6)
表2:マミーマート 過去の分売値段とその後の株価

2021年6月実施分は、分売日の寄付や大引分売日1週間後の寄付で売却した場合は1.9~2.0%の損益プラス

11月実施分は、分売日の寄付や大引分売日1週間後の寄付で売却した場合は1.1~1.6%の損益マイナス

の結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2021年11月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】マミーマート(9823) ※今年2回目

(前回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】滝沢ハム(2293)、アズマハウス(3293)、マミーマート(9823)

(前々回(2021年6月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】マミーマート(9823)

(前々回予想の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】マサル(1795)、マミーマート(9823)

どんな会社?

埼玉県が地盤で、生鮮食品を中心に、加工食品・惣菜・日用雑貨等の販売を主体とするスーパーマーケット事業を展開している会社です。

その他にも、子会社が「温浴事業」「葬祭事業」を行っています。

2024年9月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、ほぼ「スパーマーケット事業」が占めています。

直近の経営概況

【2025年9月期3Q(2024年10月~2025年6月)の経営成績】

(2025年8月8日発表:日本基準(連結))

決算期営業収益
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2024年9月期
3Q累計
1,191
(11.3)
5,535
(26.5)
5,975
(25.5)
4,029
(35.7)
2025年9月期
3Q累計
1,424
(19.6)
6,094
(10.1)
6,414
(7.3)
4,334
(7.6)
2025年9月期
通期会社予想
(2025年5月9日
修正)
1,900
(18.2)
6,700
(4.1)
7,150
(2.8)
5,000
(5.6)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
74.990.989.786.6
表3:マミーマート 2025年9月期3Q経営成績(連結)と2025年9月期通期予想

表3のように、前年同期比 増収増益で、売上高は2割増利益面は1割前後の増益でした。

今期(2025年9月期)の業績は、今2Q決算発表と同時に上方修正(表5参照)しており、前期比 増収増益で、売上高は2割弱増利益面は微増~1割弱増を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高は7割強でそこそこ利益面は9割前後で順調です。

【2026年9月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社は「先行投資フェーズ」を掲げる中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)の2年目として、新規出店5店舗既存店の改装6店舗を当3Q連結累計期間で実施しました(前年同期は既存店の改装8店舗)。

このように投資を多く実施する中でも、売上・利益ともに過去最高となった要因としては、「既存店」の継続的な業績成長が、同社の安定した事業基盤を築き

それがさらなる成長に向けた新規出店と改装へとつながる好循環を生み出している結果です。

4Qは、新規出店1店舗既存店の改装4店舗を予定しています(前4Qは新規出店2店舗、改装2店舗)。

また、顧客の買い物環境の向上や、従業員がより働きやすい環境整備を目的とした設備投資を積極的に実施する予定です。

以上により、当3Q期間における同社グループの業績は、表3の数値の前年同期比 増収増益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「スーパーマーケット事業」「その他(温浴・葬祭事業)」ともに前年同期比 増収増益でした。

セグメント売上高
[億円]

(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]

スーパー
マーケット
1,404
(19.9)
6,029
(9.7)
その他3.5
(17.1)
65
(75.7)
表4:2025年9月期3Q セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

スーパーマーケット事業

「既存店」の売上高前年同期比で9.9%増と大きく伸長し、これに新規出店により売上高が上乗せとなったことで好調に推移しています。

また、「既存店」の客単価前年同期比で3.1%増に対して客数が6.6%増と、客単価の伸びを上回る結果となりました。

これは、同社が創出した二つの新フォーマット(『生鮮市場TOP!』『マミープラス』)が、”商品開発力”と”競争力ある価格”を活かし

価値ある商品の品揃え顧客の節約志向に対するニーズを的確に捉えた結果、顧客から高い支持をもらえる店舗へ成長した成果です。

販売費及び一般管理費は、新規出店と既存店の改装による設備投資出店関連費用の増加に加え、人への投資・処遇改善等を行ったことで賃金も増加しています。

しかし、従来より取り組んでいるローコストオペレーション運営の施策であるLSP(Labor Scheduling Program)や、効率化を目的としたRPAをはじめとするデジタル関連への投資も行い、

人員の適正配置の精度をあげた結果人件費率を適正に推移させることができました。

また、「既存店」の成長が想定以上の成果を生み出したことで、これらのコスト増加を十分に吸収し、最終的な利益への貢献につながっています。

2025年6月30日現在の店舗数は、85店舗マミーマート他38店舗生鮮市場TOP!31店舗マミープラス14店舗温浴事業1店舗葬祭事業1店舗)となっています。

(前年同期比増減 マミーマート6店舗減生鮮市場TOP!6店舗増マミープラス7店舗増

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年9月期3Q末時点で50.2%と前期末(51.6%)から1.4ポイント低下しました。

負債及び純資産の、主な前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年9月期)通期業績予想の修正】

今2Q決算発表と同時に、2025年3月期通期の業績予想売上高を微増利益面を1割弱の増額修正をしています。

2025年9月期通期の業績予想は表5です。

営業
収益
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
1株当たり
年間配当金
[円]
前回(2024/11/12)
発表予想
1,8506,2506,7004,750475.0095
今回修正予想1,9006,7007,1505,000499.86100
増減額50450450250
増減率[%]2.77.26.75.35.2
表5:マミーマート 2025年9月期通期業績予想数値の修正(2025年5月9日発表)

修正の理由は、

としています。

また、配当予想に関しても、同社は、株主に対する利益還元及び安定的な配当の維持を経営の最重要政策として位置付け、

あわせて、小売業界における競争の激化に応じた積極的な新規出店と魅力ある売場づくりを維持・強化するための改装等の設備投資や、人材の育成・採用など、事業基盤の強化を図るために内部留保の充実等も勘案して決定していくこととしており、

最近の業績動向を踏まえ年間配当額は5円増額となり、1株あたり年間100円(中間42円、期末58円)とする予定です。

なお、今3Q決算発表時には、2025年5月9日に公表された「通期連結業績予想の修正並びに剰余金の配当(中間配当)及び期末配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/9/12(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ヤマナカ(8190) 17.0倍、ヤマザワ(9993) 41.3倍と比較すると、低い水準です。

配当利回り1.39%で、東証スタンダードの単純平均2.35%(9/12時点) と比較すると低い水準です。

表6のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり48~95円で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、20%前後で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年9月期4819.6
2021年9月期6016.2
2022年9月期6520.2
2023年9月期8320.2
2024年9月期9520.1
表6:マミーマート 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の最重要政策として位置付けており、

小売業界における競争激化に対応した積極的な新規出店と魅力ある売り場づくりを維持・強化するとともに、業績に裏付けられた成果配分を行うこととしています。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末と9月末の年2回100株以上保有の株主は、保有株数に応じて①買物優待券(1,000円の買物で1枚利用可)又は②同社オリジナル商品詰合せ又は③生鮮ギフトいずれか1点が進呈されます。

なお、2025年10月1日付けで1/5の株式分割を予定しており、上記は2025年9月末権利の場合のみとなっています。(それ以降は別途案内あり)

100株保有の場合、配当金+株主優待(買物券の場合:2,000円×年2回=4,000円相当)利回りは1.95%となります。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年10月に安値(2,900円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

2025年9月に上場来高値(7,380円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

6月下旬に安値(5,340円)をつけた後は、しばらくヨコヨコの推移でしたが、

8月上旬から上昇基調で推移し、9/8に上場来高値(7,380円)をつけています。

そして、立会外分売発表の翌営業日(9/16)以降の株価は、分売による短期的な需給悪化懸念により、軟調な展開が予想されますが、

25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)の上をキープし、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐
(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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