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【立会外分売は買いか?】ポールトゥウィンホールディングス(3657)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから情報・通信業種のポールトゥウィンホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ、10/28(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年10月29日(水)~31日(金)
分売数量215,000
(発行済み株式総数 38,156,000 株の約0.56%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:ポールトゥウィンHD(3657) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.56%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,085百株、25日平均は1,167百株(10/22時点)で、流動性は平均的な水準です。

そして、今回の分売数量(2,150百株)は、1日の出来高(25日平均:1,167百株)の約1.8倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

「人とテクノロジーを融合してお客様の課題を解決する」ことを理念に掲げ、

国内ソリューション、海外ソリューションの2つの業務領域において、エンターテインメント業界を中心に顧客のビジネスをサポートする事業を展開している会社です。

事業内容は、国内ソリューション」「海外ソリューション」「メディア・コンテンツの3つの業務があり、それぞれ、

を行っています。

2025年1月期通期の業務別売上高構成比は、

となっており、「国内ソリューション」が5割弱「海外ソリューション」が4割弱を占めています。

直近の経営概況

【2026年1月期2Q(2025年2月~7月)の経営成績】

(2025年9月12日発表:日本基準(連結))

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年1月期
2Q累計
242
(11.0)
359
(△36.2)
410
(△8.3)
△184
(赤字幅
縮小)
2026年1月期
2Q累計
246
(1.6)
△206
(赤字
転落
)
△481
(赤字
転落
)
△392
(赤字幅
拡大
)
2026年1月期
通期会社予想
(2025年9月12日
修正)
497
(△4.8)
1,124
(43.0)
825
(9.1)
316
(黒字
転換)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
49.6
表2:ポールトゥウィンHD 2026年1月期2Q経営成績(連結)と2026年1月期通期予想

表2のように、前年同期比 微増の増収で、利益面は営業利益と経常利益は赤字転落純利益は赤字幅拡大でした。

今期(2026年1月期)通期の業績は、今2Q決算発表時に下方修正しており、前期比 減収増益で、売上高は微減、利益面は営業利益と経常利益は1割~4割強増純利益は黒字転換を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割でそこそこ利益面は赤字からの挽回が必要な状況です。

【2026年1月期2Qの状況、経営成績の要因】

メディア・コンテンツ業務からの撤退により、今後の資金負担・業績ボラティリティ軽減を見込んでいます。

売上は、国内ソリューション予想比若干未達となっています。

海外ソリューション一部案件の下期ずれ込みにより予想比大幅未達も、足下7月以降は順調な売上で推移しています。

上期業績としては、長期的に前期比増収を継続しています。

国内ソリューション・海外ソリューションの増収が、メディア・コンテンツの減収を上回っています

営業利益・純利益は、業績予想を上回り着地しています。

主に国内ソリューションの販管費抑制メディア・コンテンツの撤退が寄与し、海外ソリューションは、オフショア拠点の立ち上げ関連費用268百万円の計上に、一部案件の下期ずれ込みが重なったため予想を下回りました。

これらの結果、当2Qの経営成績は、表2の数値の前年同期比 微増の増収で、利益面は営業利益と経常利益は赤字転落純利益は赤字幅拡大となっています。

【業務別の業績】

業務別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「国内ソリューション」前年同期比 増収減益

「海外ソリューション」増収赤字幅拡大

「メディア・コンテンツ」減収赤字幅縮小でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]

(同)
国内
ソリューション
128
(5.0)
658
(△35.1)
海外
ソリューション
97.5
(8.0)
△585
(赤字幅
拡大)
メディア・
コンテンツ
20.4
(△31.9)
△137
(赤字幅
縮小
)
表3:2026年1月期2Q 業務別業績

セグメント別の状況は以下です。

国内ソリューション

Tech市場向けソフトウェアテストやシステム開発は案件の大型化が進み、当業務の売上高成長を牽引しました。

利益面は、前期5月の高収益EC大型案件終了の影響で営業減益となりました。

海外ソリューション

海外のゲーム業界の環境が回復してローカライズやカスタマーサポートが増加したこと、

昨年9月のGhostpunch Games, LLCの事業譲受による連結寄与円安効果によって売上高が大きく増加しました。

利益面は、前期事業整理費用341百万円が剥落する一方で、当初見込んでいたスポット案件含めた一部案件の下期ずれ込みや、オフショア拠点拡大の先行費用により営業損失となりました。

メディア・コンテンツ

メディア・コンテンツ業務からの撤退を発表し、6月に株式会社HIKE及びその連結子会社グループをMBOにて株式譲渡したため、売上が落ち込みました。

利益面は、迅速に事業撤退を進め、営業損失を大幅に圧縮しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年1月期2Q末時点で44.6%と前期末(43.7%)から0.9ポイント増加しています。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年1月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2025年1月期2Q累計)のフリーCF(268百万円の収入)から1,193百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円)

投資活動によるCFの主な内訳(百万円)

【今期(2026年1月期)通期業績予想の修正】

今2Q決算発表と同時に、前回予想と比べ、2026年1月期通期の業績予想売上高を減額、利益面は営業利益と経常利益は減額当期純利益は増額修正しています。

2026年1月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回(2025/3/14)
発表予想
5501,2021,1583108.78
今回修正予想4971,1248253168.96
増減額△53.2△78△332
増減率[%]△9.7△6.5△28.72.1
表4:ポールトゥウィンホHD 2026年1月期通期業績予想数値の修正(2025年9月12日発表)

修正の理由は、

としています。

なお、配当予想に関しては修正はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/10/22(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、デジタルハーツHD(3676) 13.2倍、SHIFT(3697) 28.1倍、イー・ガーティアン(6050) 22.2倍と比較すると、高い水準です。

配当利回り4.77%で、東証プライムの単純平均2.41%(10/21時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株当たり13~16円で推移しており、累進配当を継続中です。

配当性向は、最終赤字の年を除き、20%台~70%で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年1月期1323.2
2022年1月期1423.9
2023年1月期1570.8
2024年1月期16
(最終赤字)
2025年1月期16
(最終赤字)
表5:ポールトゥウィンHD 年間配当金推移

この会社は、

キャッシュが積み上がりやすい事業特性、財務状況を踏まえ、安定的な株主還元の継続を基本方針とし、

純資産配当率(DOE)3%下限」、「総還元性向30%以上」を目標とした中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を実施することで、

各期の利益に左右されない安定的な配当を実現するとともに、利益に連動した株主還元を実現していく方針です。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年11月に高値(549円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、2025年4月に安値(299円)をつけました。

そしてその後は、300~400円程度のレンジ内での推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

8月に高値(386円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しています。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(10/22)は、それほど大きな反応はなく、前日比 4円安(-1.18%)で終了しました。

今後の株価は、直近につけた安値(326円)や年初来安値(299円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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