きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】アップコン(5075)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、名証ネクストから建設業種のアップコンです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ、10/7(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年10月8日(水)~10日(金)
分売数量18 万株
(発行済み株式総数 4,237,200
株の約4.24%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:アップコン(5075) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.24%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は33.2百株、25日平均は51.3百株(10/2時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(1,800百株)は、1日の出来高(25日平均:51.3百株)の約35倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

「ニッポン上げろ!」を合言葉に2003年に創業して以来、

「沈下で困っている人を助ける」をミッションとして、ウレタン樹脂の発泡圧力を利用したアップコン工法(コンクリート床スラブ沈下修正工法)による施工ウレタンを使った新技術の研究開発を行っている会社です。

アップコン工法は“コンクリート床を壊さず”に“短工期”で修正することで、既存のコンクリート構造物や社会インフラの長寿命化を実現する工法で、

施工プラント車1台で施工が可能、機動力に優れたアップコン工法は大地震や台風などの自然災害の復旧・復興工事で数多く採用されています。

同社は、沈下修正事業の単一セグメントです。

直近の経営概況

【2026年1月期2Q(2025年2月~7月)の経営成績】

(2025年9月12日発表:日本基準(非連結))

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年1月期
2Q累計
601
(23.2)
204
(210)
208
(205)
138
(188)
2026年1月期
2Q累計
673
(12.0)
261
(28.1)
265
(27.5)
189
(37.0)
2026年1月期
通期会社予想
(2025年7月15日
修正)
1,200
(0.4)
228
(△31.3)
231
(△31.6)
153
(△37.4)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
56.0114114123
表2:アップコン 2026年1月期2Q経営成績と2026年1月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は3割弱~4割弱増でした。

今期(2026年1月期)通期の業績は、2025年7月に上方修正(表3参照)しており、前期比 増収減益で、売上高は微増利益面は3割強~4割弱減を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は6割弱でそこそこ利益面は既に通期予想を超過しており順調です。

【2026年1月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社が属する建設業界においては、堅調な公共投資、民間設備投資の持ち直しの動きがみられますが、

資材価格や労務費の高騰、人手不足、労働規制など、業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いています。

このような状況のもと、同社は、大型案件の受注工事を複数獲得し、調査無料キャンペーンも大好評で、受注高が堅調に推移しました。

以上の結果、当2Qにおける連結業績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年1月期2Q末時点で89.2%と前期末(85.8%)から3.4ポイント増加しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。

(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年1月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2025年1月期)2Q累計のフリーCF(370百万円の収入)から178百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2026年1月期)通期業績予想の修正】

2025年7月に、2026年1月期通期の業績予想売上高は2割利益面は3~4割強の増額修正をしています。

2026年1月期通期の業績予想は表3です。

売上高
[百万円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回(2025/3/14)
発表予想
1,00017517710823.44
今回修正予想1,20022823115336.11
増減額200535445
増減率[%]20.030.330.541.7
表3:アップコン 2026年1月期通期業績予想数値の修正(2025年7月15日発表)

修正の理由は、

としています。

なお、今2Q決算発表時には、2025年7月15日に公表された通期業績予想からの変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/10/2(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、SAAFホールディングス(1447) 51.3倍、マサル(1795) 13.0倍、日本乾溜工(1771) 10.7倍と比較するとやや高い水準です。

配当利回りは0.22%で、東証グロースの単純平均0.81%(10/1時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり1.67~8.33円(2025年10月1日付の1/3の株式分割後換算)で推移しています。

配当性向は、数%台~20%で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年1月期8.6
2022年1月期1.6717.3
2023年1月期16.9
2024年1月期3.3320.8
2025年1月期8.33
(特別配当
5円含む)
14.4
表4:アップコン 年間配当金推移

この会社は、

剰余金の処分については、株主への利益還元を図り、かつ将来の事業展開及び財務体質の充実に必要な内部留保を確保するため、業績に対応した配当を行うことを基本方針としています。

また、剰余金の配当年1回の期末配当を基本としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年12月に安値(349.9円)をつけた後は、しばらく緩やかな上昇トレンドで推移しました。

そして、2025年7月中旬頃から急上昇し、9月中旬に上場来高値(1631.7円:10/1付1/3分割後換算)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、9/18に上場来高値(1,631.7円)をつけました。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(10/2)は、出来高はそれほど増えず、分売による短期的な需給悪化懸念により下落すると思いきや、前日比 15円高(+1.01%)と上昇しました。

今後の株価は、5日移動平均線(青線)や25日移動平均線(赤線)の上をキープ上昇していくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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