きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】アイスコ(7698)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから卸売業種のアイスコです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、500株単位で最大1,000株まで購入可能です。

早ければ、11/26(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年11月27日(木)〜12月1日(月)
分売数量90,000 株
(発行済み株式総数 3,917,600 株の約2.29%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量500 株
表1:アイスコ(7698) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約2.29%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は45.8百株、25日平均は34.8百株(11/14時点)低い水準です。

そして、今回の分売数量(900百株)は、1日の出来高(25日平均:34.8百株)の約26倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

I Care Everybody Company ~あらゆる人々に慈しみの心をもって接する企業でありたい~」という企業理念を掲げ、

アイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行うフローズン事業食品スーパーマーケットの運営を行うスーパーマーケット事業を通して、

食を通じた社会貢献を目標に、常に顧客に喜んでもらうことを目指して事業を行っている会社です。

事業内容は、フローズン事業」「スーパーマーケット事業の2つがあり、それぞれ、

を行っています。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「フローズン事業」が9割弱を占めています。

直近の経営概況

【2026年3月期2Q(2025年4月~9月)の経営成績】

(2025年11月13日発表:日本基準(非連結))

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年3月期
2Q累計
291
(9.2)
551
(△5.6)
587
(△4.6)
382
(△3.8)
2026年3月期
2Q累計
307
(5.7)
704
(27.7)
708
(20.6)
448
(17.2)
2026年3月期
通期会社予想
570
(4.2)
656
(4.6)
691
(0.0)
445
(△7.5)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
53.9107102100
表2:アイスコ 2026年3月期2Q経営成績と2026年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は2割弱~3割弱増でした。

今期(2026年3月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益は微増経常利益は変わらず純利益は1割弱減を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割強でそこそこ利益面は既に通期予想を超過しており順調です。

【2026年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社が属する食品流通業およびスーパーマーケット業界においては、円安基調が継続する中で、物流コストや原材料価格の高止まりが続き、食品価格は引き続き高水準で推移しています。

このような経営環境のもと、同社は「ICECO VISION 2030」の達成に向けて、第二次中期経営計画のもと、物流体制の強化をはじめ、人財への投資や新規事業への取り組みを通じて、将来に向けた成長基盤の構築を進めています。

特に物流体制の強化策の一環として、2025年4月に横浜営業所を稼働し、関東エリアの売上増加への対応と配送効率の向上に取り組んでいます。

また、2025年9月より関東マザーセンター(仮称)の建設に着手し、2026年12月に稼働を予定しています。

さらに、新規事業である冷凍食品専門店「FROZEN JOE’S」については、2025年9月に「調布PARCO」内に4号店を開店し、今後も事業拡大に向けた展開を進めていく計画です。

以上の結果、主要取引先との取引が堅調に推移し、アイス販売の好調で収益性が向上しました。

また、関東マザーセンター資金調達費用および横須賀営業所固定資産売却損を計上し、今2Qの経営成績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

「フローズン事業」「スーパーマーケット事業」ともに前年同期比 増収増益となっています。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
(同)
フローズン272
(6.0)
674
(24.2)
スーパー
マーケット
35.3
(3.1)
30
(3.7倍)
表3:2026年3月期2Q セグメント別業績

各セグメントの状況は、以下のようになっています。

フローズン事業

主要取引先であるドラッグストアの新規出店等の影響により、売上高及びセグメント利益は堅調に推移しました。

スーパーマーケット事業

低価格商品へのニーズに対応しつつ、同社の強みである商品の鮮度・品質・品揃えに徹底してこだわった販売を行い、販売力の強化に努めました。

また、管理コストの削減を進めた結果、セグメント利益は前期比で増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期2Q末時点で21.0%と前期末(22.1%)から1.1ポイント低下しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2025年3月期2Q累計)のフリーCF(1,071百万円の収入)から1,329百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2026年3月期)通期業績の見通し】

2025年3月期を初年度とする第二次中期経営計画をスタートし、重点テーマとして「人的資本経営の実践」、「収益力の改革加速」及び「新規事業の育成」の3つを掲げ、取り組んでいく方針です。

フローズン事業における経営環境は、相次ぐ値上げの影響で消費者の節約志向は高まっているものの、即食簡便な冷凍食品需要は旺盛であり、引き続き拡大傾向です。

また、同社の主要な得意先であるドラッグストア業態においても引き続き出店が続くことが予想され、

また、小売業全体においても省人化・効率化のニーズは依然として高まることが見込まれるため、売上高は好調に推移すると見込んでいます。

このような追い風の市場環境を踏まえ、2025年4月稼働の横浜営業所への設備投資を皮切りに、同社における過去最大の投資である2026年12月稼働予定の関東マザーセンター(仮称)への設備投資など、事業拡大を見据えた攻勢のフェーズに移行していく計画です。

引き続き倉庫機能の自動化や配送の効率化に向けて、積極的な設備投資を行う方針です。

次期以降、大型の設備投資にともなう減価償却費の増加や、政策金利の引き上げに伴う支払利息の増加など、一時的な利益面の伸び悩みが懸念されますが、

中長期における業績拡大を見据え、フローズン市場における競争力の強化を狙っていく方針です。

スーパーマーケット事業においては、節約志向の高まりによる個人消費の低迷や、業種の垣根を越えた激しい競争が続いていますが、

現場主義を徹底し、顧客目線に立った売り場づくりを行った結果、前事業年度に黒字化を達成しました。

また、出店については前事業年度は行っていませんが、立地条件等を精査し、収益性が高まると判断した場合には新規出店を行う方針です。

このような状況のもと、2026年3月期の業績予想は、売上高570億円(前期比4.2%増)営業利益656百万円(同4.6%増経常利益691百万円(同0.0%増当期純利益445百万円(7.5%減を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、上記予想の修正はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/11/14(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、伊藤忠食品(2692) 16.5倍、加藤産業(9869) 14.3倍と比較すると高い水準です。

配当利回りは0.94%で、東証スタンダードの単純平均2.40%(11/14時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金年間1株あたり12~19.5円(2024年10月1日付1/2分割後換算)で推移しており、累進配当を継続中です。

配当性向は、数%台~50%で推移しています。

決算期年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期127.4
2022年3月期18.527.4
2023年3月期18.549.1
2024年3月期1923.1
2025年3月期19.515.8
表4:アイスコ 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元が経営の重要政策の一つであると考えており、業績や将来の事業展開、収益力の向上、財務体質の強化のための内部留保などを総合的に勘案しつつ、

安定した配当及び株主優待を継続することを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待制度があり、3月末と9月末の年2回100株以上保有の株主に、

ハーゲンダッツギフト券4枚(1枚でミニカップ、クリスピーサンドバーのいずれか2個と交換可(638円相当))が進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(638円×4枚×年2回=5,104円相当)利回りは3.35%になります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年11月に安値(701円)をつけた後は、しばらくヨコヨコでの推移でしたが、

翌年5月に急上昇しはじめ、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2025年11月に上場来高値(2,186円:2024年10月1日付1/2分割後換算)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

8月中旬に安値(1,808円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、11/13に上場来高値(2,186円)をつけました。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/14)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、出来高を伴い前日比 58円安(-2.67%)と売られました。

今後の株価は、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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