きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】はごろもフーズ(2831) <2025年11月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから食料品業種のはごろもフーズです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ、11/20(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2025 年11月21日(金)~26日(水)
分売数量40,000 株
(発行済み株式総数 10,325,365 株の約0.38%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:はごろもフーズ(2831) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.38%少ない数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は18.6百株、25日平均は14.9百株(11/14時点)低い水準です。

そして、今回の分売数量(400百株)は、1日の出来高(25日平均:14.9百株)の約27倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売結果】

ご参考までに、この会社は、2021年11月以降5回、立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

※売買手数料は考慮していません。

分売日分売株数
[万株]
分売値段
[円]
ディス
カウント
[%]
分売日
始値
[円]
(増減率[%])
分売日
終値
[円]
(同)
一週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2021年
11月22日
3,0123.003,010
(-0.1)
3,005
(-0.2)
2,984
(11/30)
-28
(-0.9)
2022年
5月30日
2,9932.992.995
(+0.1)
2,998
(+0.2)
2,995
(6/6)
+2
(+0.1)
2022年
11月28日
2,9443.002,955
(+0.4)
2,971
(+0.9)
2,963
(12/5)
+19
(+0.6)
2023年
11月28日
3,0073.003,050
(+1.4)
3,045
(+1.3)
3.040
(12/5)
+33
(+1.1)
2024年
11月22日
2,9882.993,025
(+1.2)
3,045
(+1.9)
3,075
(11/29)
+87
(+2.9)
表2:はごろもフーズ 過去5回の分売価格とその後の価格

分売値段で購入し、分売日の寄付又は大引分売日1週間後の寄付で売却した場合、2021年実施分損益マイナスでしたが、

それ以外0.1~2.9%の損益プラスの結果でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2024年11月)の記事):【立会外分売は買いか?】はごろもフーズ(2831) <2024年11月実施>

(前回の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】トヨクモ(4058)、オカムラ食品工業(2938)、はごろもフーズ(2831)

(前々回(2023年11月)の記事):【立会外分売は買いか?】はごろもフーズ(2831) <2023年11月実施>

(前々回の振り返り):【結果検証:立会外分売は買いか?】ビーイングホールディングス(9145)、はごろもフーズ(2831)、Eストアー(4304)

どんな会社?

ツナ缶でおなじみの『シーチキン』が主力商品で、

缶詰・レトルト食品・ギフト・パスタ・パスタソース・包装米飯などの各種食品の製造・販売をしている会社です。

その他にも、ペットフード・フィッシュミール等の製品を幅広く販売をしています。

事業セグメントは、食品事業の単一セグメントで、

2025年3月期通期の製品群別売上高構成比は、

となっており、「家庭用食品」の「ツナ」が5割弱を占めています。

直近の経営概況

【2026年3月期2Q(2025年4月~9月)の経営成績】

(2025年11月13日発表:日本基準(連結))

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年3月期
2Q累計
387
(3.3)
2,193
(57.3)
2,454
(50.9)
1,792
(38.1)
2026年3月期
2Q累計
389
(0.5)
2,204
(0.5)
2,567
(4.6)
1,821
(1.6)
2026年3月期
通期会社予想
763
(2.2)
2,800
(△1.7)
3,400
(0.0)
2,300
(△6.5)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
51.078.775.579.1
表3:はごろもフーズ 2026年3月期2Q経営成績と2026年3月期通期予想

表3の通り、前年同期比 増収増益で、売上高、利益面ともに微増でした。

今期(2026年3月期)通期の業績は、前期比 増収減益で、売上高は微増、利益面は営業利益と純利益は微減~1割弱減経常利益は変わらずを予想しており、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割強でそこそこ利益面は8割弱で順調です。

【2026年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

食品業界においては、物価上昇により顧客の生活防衛意識が高まり節約志向が強まる中で、高付加価値商品と値ごろ感のある商品との消費の二極化がより顕著になり販売競争が激化する等、厳しい経営環境が続きました。

このような中、同社グループは、中期経営計画「Challenge & Change for 100th! ~もっとおいしく、もっと便利に、もっと優しく、そしてもっと元気に!~」の優先課題であるブランド価値向上のため、

健康志向や簡便性・利便性といった機能を追求した製品の販売新製品の開発に注力しました。

あわせて、主力のシーチキンにおいては、「シーチキンで今日をおいしく」をテーマに、

毎日の食事を特別なものにするシーチキンと野菜の組み合わせに着目したサラダやサンドイッチ、ディップメニューを紹介する新テレビコマーシャルと連携した売り場やメニュー提案により、さらなる製品の需要喚起とブランド価値の訴求に努めました。

そのほかのカテゴリーにおいても、テレビコマーシャルや動画配信と連動した販売促進活動を実施し、ブランド認知の拡大に努めました。

一方で主原材料や容器包装資材、物流費等の値上がりにより製造コストが上昇したことから、一部の製品において価格改定を実施しました。

この結果、家庭用食品の販売は、価格改定による買い控え等の影響はありましたが、

新価格の定着と機能性を追求したパウチタイプの製品や、明確な製品コンセプトを打ち出した製品顧客に支持されたこと等により増加しました。

業務用食品の販売は、コンビニエンスストアおよび給食向けが減少し、当中間連結会計期間の売上高は389億円(前年同期比0.5%増となりました。

利益面では、売上総利益および広告宣伝費の増加販売奨励金等の減少等により、営業利益は2,204百万円(同0.5%増

受取配当金が増加したこと等により、経常利益は2,567百万円(同4.6%増親会社株主に帰属する中間純利益は1,821百万円(同1.6%増となりました。

【製品群別の売上高】

製品群別の売上高は、表4の結果になりました。

家庭用食品の「デザート」「業務用食品」「その他」前年同期比 減収

それ以外の主力の「ツナ等」を含めた製品増収となっています。

製品群製品売上高
[億円]
(前年同期比
増減率
[%])
家庭用食品(全体)314
(2.0)
ツナ等185
(3.6)
デザート26.0
(△6.1)
パスタ
&ソース
33.5
(1.1)
総菜34.9
(1.0)
削りぶし・のり
・ふりかけ類
18.9
(0.6)
ギフト
・その他食品
15.7
(4.3)
業務用食品61.8
(△6.6)
ペットフード
・バイオ他
10.6
(2.7)
その他1.7
(△6.4)
表4:2026年3月期2Q 製品群別売上高

個別の状況は、以下のようになっています。

ツナ等

主力の油漬缶詰が好調で、さらに開けやすく後片付けが簡単なパウチタイプの「シーチキンSmile」シリーズが伸長しました。

デザート

「朝からフルーツ」パウチシリーズは伸長しましたが、

主力の「朝からフルーツ」缶詰その他フルーツパウチが低調でした。

パスタ&ソース

ソースは主力のミートソース缶詰が低調でしたが、

パスタは主力の結束タイプのスパゲッティ「ポポロスパ」が好調で、さらにマカロニ類が伸長しました。

総菜

主力の「シャキッと!コーン」缶詰は低調でしたが、

パウチタイプの「シャキッと!コーン」と、さば・さんま・いわし調理品が伸長しました。

削りぶし・のり・ふりかけ類

削りぶしと焼のりは低調でしたが、かつおパックが好調で、さらにきざみのりが堅調でした。

ふりかけ類では、「のり弁慶ふりかけ」や「天下無添ふりかけ」シリーズ等が伸長しました。

ギフト・その他食品

シーチキンや乾物ギフトは低調でしたが、電子レンジで簡単に調理可能な包装米飯「パパッとライス」が好調でした。

業務用食品

コンビニエンスストア給食向け販売が低調でした。

ペットフード・バイオ他

エキス等のバイオ製品は低調でしたが、

スティックタイプの愛猫用おやつ「無一物舌福」や、愛猫・愛犬用「無一物」シリーズをはじめとするペットフードが伸長しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年3月期2Q末時点で60.1%と前期末(60.2%)から0.1ポイント低下しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2026年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2025年3月期2Q累計)のフリーCF(1,670百万円の収入)から512百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2026年3月期)通期業績の見通し】

今期(2026年3月期)の国内食品業界は、物価上昇により消費者の節約志向が強まる中で、原材料価格の高止まり為替相場の変動等により、厳しい経営環境が続くものと想定しています。

同社グループの主要な原材料であるまぐろ・かつお類は、漁獲量が不安定なうえに世界的な需要の拡大から、今後も価格の高値傾向が続くと同社は予想しています。

その他の原材料においても多くが農水産物のため、需給バランスや市場価格、為替相場の変動等により上昇することを予想しています。

加えて、関係国の関税政策等による影響や、製造・物流業における人材不足による人件費等の上昇も懸念しています。

このような状況の中、同社グループは、原材料等の市場状況を注視し、適宜的確に対応を検討するとともに、安全・安心な製品の安定的な供給を可能とする生産・品質保証体制の一層の強化をはかる方針です。

一方で、顧客の日常の課題解決に役立つ健康志向や利便性・簡便性を重視した新製品の開発を積極的に進め、「キッチンでもっとも愛されるブランド」へ、ブランド価値の向上に努めています。

また、価格改定により減少した販売数量拡大のため、各品群において一層のシェアアップをはかり、各カテゴリーにおける№1製品の育成と強化に努める方針です。

以上により、今期の連結業績予想は、表3の数値の前期比 増収減益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、原材料やエネルギー価格および為替相場の動向が不透明のため、2025年5月13日の発表から変更せずとしています。

株価指標と動向

【2025/11/14(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、マルハニチロ(1333) 10.5倍、ニッスイ(1332) 14.2倍、ニチモウ(8091) 8.1倍と比較すると高めの水準です。

配当利回りは2.13%で、東証スタンダードの単純平均2.40%(11/14時点) と比較するとやや低い水準です。

今期の配当金は、今2Q決算発表時に、中間期配当は創業95周年記念配で当初予想から5円増配期末配当普通配当を5円増配し、1株当たり年間10円増配となっています。

また、表5のように、直近5年間の配当金年間1株あたり50~60円で推移しており、前期(2025年3月期)久々に増配しています。

配当性向は、最終赤字の年を除き10%台~20%台で推移しています。

決算期年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期5015.8
2022年3月期5023.4
2023年3月期50
(最終赤字)
2024年3月期5026.9
2025年3月期6023.0
表5:はごろもフーズ 年間配当金推移

この会社は、

財務体質の強化のために内部留保の充実を図るとともに、安定した配当を続けることを基本としています。

内部留保は、一層の品質向上と生産合理化のための投資安定的な配当の維持への備えに充てていく方針です。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待(対象者拡大)】

この会社は株主優待制度があり、3月末と9月末の年2回500株以上保有の株主に、

継続保有期間3年未満の場合3,000円相当3年以上の場合5,000円相当の様々な自社製品(缶詰、パスタ等)が進呈されていましたが、

今2Q決算発表と同時に、同社の株主数増加を目的対象者を拡大することが発表され、100株以上500株未満保有の株主は、600円相当の同社製品が進呈されることになりました。

100株保有の場合、配当金+株主優待(600円×年2回=1,200円相当)利回りは2.50%

500株を3年未満保有の場合は、配当金+株主優待(3,000円×年2回=6,000円相当)利回りは2.50%3年以上継続保有の場合:2.74%)になります。

少しハードルは高いですが、個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年3月の高値(3,465円)同年8月の安値(2,850円)を除き、

ほぼ3,000~3,400円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

9月下旬に年初来高値(3,405円)をつけた後は、配当と株主優待の権利落ち日以降は急落し、10/10に安値(3,210円)をつけました。

その後は、3,240~3,330円前後のレンジ内で推移しています。

そして、今2Q決算と株主優待の対象者拡大発表の翌営業日(11/14)は、株価は上下しましたが、結局前日比変わらずで終了しました。

今回の立会外分売発表翌営業日(11/17)以降の株価は、分売による短期的な需給悪化が懸念されますが、

節目の3,100円や3,000円程度で下げ止まりヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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