きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】東計電算(4746)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから情報・通信業種の東計電算です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

【PR】手数料無料でワン株買付!マネックス証券

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ5/14(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025 年 5 月 15 日(木)~ 19 日(月)
分売数量300,000
(発行済み株式総数 18,700,000 株の約1.60%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:東計電算(4746) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.60%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は219百株、25日平均は107百株(5/8時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(3,000百株)は、1日の出来高(25日平均:107百株)の約28倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

創業以来約50年にわたり、時代が情報産業に求めるITサービスを提供している会社です。

事業内容は、情報処理・ソフトウェア開発業務(ソフトウェア開発業務・システム運用業務・ファシリティサービス業務)、機器販売業務リース等その他の業務(各種事務用機器のリース、ビル・マンションの不動産賃貸業務)を行っています。

事業セグメントは、上記3つのセグメントで構成され、

2024年12月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「情報処理・ソフトウェア開発業務」が9割を占めています。

直近の経営概況

【2025年12月期1Q(2025年1月~3月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年5月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2024年12月期
1Q累計
47.8
(△1.1)
1,330
(6.7)
1,446
(10.7)
1,037
(16.0)
2025年12月期
1Q累計
52.5
(9.9)
1,589
(19.5)
1,707
(18.0)
1,251
(20.6)
2025年12月期
通期会社予想
209
(6.8)
6,074
(8.9)
6,916
(7.2)
4,803
(6.9)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
25.026.124.626.0
表2:東計電算 2025年12月期1Q経営成績と2025年12月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割増利益面は2割前後の増益でした。

今期(2025年12月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高、利益面ともに1割弱増を見込んでいます。

その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高利益面ともに2~3割でそこそこです。

【2025年12月期1Qの状況、経営成績の要因】

情報処理・ソフトウェア開発業界は、ユーザー企業における情報化投資計画は、業務のIT化、デジタル化への推進に関心が高まり、比較的堅調な水準にあるものの、

先行き、米国トランプ政権の関税政策の企業業績や投資計画に及ぼす影響が懸念されています。

このような環境のなかで、同社グループは、システムインテグレータとして、多様化する顧客ニーズに対応し、積極的に営業展開を進めました。

具体的には、同社の情報システム資産を活用したサービス商品の拡販を重点課題とし、商品化の促進やシステム運用業務売上の拡大に取り組みました。

以上の結果、当1Q連結累計期間の業績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「情報処理・ソフトウェア開発業務」前年同期比 増収増益

「機器販売業務」減収減益

「リース等その他の業務」増収減益となっています。

セグメント売上高
[百万円]

(前年
同期比

増減率
[%])
営業
利益
[百万円]

(同)
情報処理・ソフトウェア
開発業務
4,812
(11.9)
1,476
(24.1)
機器販売業務356
(△11.5)
96
(△20.7)
リース等
その他の業務
87
(12.7)
16
(△9.4)
表3:2025年12月期1Q セグメント別業績

セグメント毎の状況は以下です。

情報処理・ソフトウェア開発業務

システム運用業務及びソフトウェア開発業務が堅調に推移しました。

機器販売業務

前期の特需が一服したことにより反動減となりました。

リース等その他の業務

建設業界向け事務機器レンタル収入は堅調に推移したものの、

賃貸用不動産の修繕費等がかさみました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年12月期1Q末時点で83.7%と前期末(80.8%)から2.9ポイント増加しました。

負債及び純資産の、主な前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年12月期)通期業績の見通し】

今後の経済情勢は、米国トランプ大統領の就任により、関税を始めとする政策転換による影響、人手不足の深刻化、金利上昇への警戒感が懸念材料となっています。

当業界も、景気の不透明感がユーザー企業の情報化投資計画に及ぼす影響が懸念されるものの、AI、キャッシュレス対応、モバイル機器を活用したテレワーク、情報システムのクラウド化など、

社会の変化に伴うシステム開発の需要は今後も根強く存在するものと予想しています。

同社グループは、このような経営環境、産業動向のもと「コンピュータ市場の変化、技術の進捗状況に対応し、顧客のニーズにマッチしたサービスの提供ができるよう、常に変化を先取りし、積極的に提案する営業姿勢を全社的に徹底すること」を経営の基本姿勢として事業展開を図ることが重要であると考えています。

前期の業績は、システム運用業務の拡大により増収増益を確保しており、

今期においても同社の情報システム資産を活用した商品ライセンス販売に注力していく方針です。

以上により、表2の数値の前期比 増収増益を見込んでおり、セグメント別の見通し(売上高(百万円))は以下のとおりです。

なお、今1Q決算発表時点では、2025年2月3日の決算短信で公表された2Q期連結累計期間及び通期の連結業績予想に変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2025/5/8(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、オービック(4684) 32.6倍、アイネット(9600) 13.7倍、さくらインターネット(3778) 54.7倍と比較すると、低い水準です。

配当利回り3.21%で、東証スタンダードの単純平均2.64%(5/7時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり62.5~125円(2024年1月1日付1/2分割後換算)で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、40%台で安定して推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円)]
配当性向
[%]
2020年12月期62.546.0
2021年12月期8048.6
2022年12月期9549.6
2023年12月期11049.4
2024年12月期12549.7
表4:東計電算 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しています。

安定的な経営基盤の確保株主資本利益率の向上に努めるとともに、配当安定的な配当の継続を業績に応じて行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年12月末に100株以上保有の株主は、おこめ券2枚(440円×2=880円相当)が進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(880円相当)利回りは3.44%となります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年10月に安値(2,985円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、翌年9月に上場来高値(5,070円)をつけました。

しかしその後は調整しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

2/12に年初来高値(4,580円)をつけた後は下落基調で推移し、トランプ関税ショックで4/7に年初来安値(3,560円)をつけました。

そしてその後は上昇基調で推移しましたが、今回の立会外分売と今1Q決算発表の翌営業日(5/8)は、分売による短期的な需給悪化を嫌気され、出来高を伴い窓を開けて売られ前日比 380円安(-8.91%)と急落しました。

今後は、4月につけた年初来安値(3,560円)を割り込まずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

モバイルバージョンを終了