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【立会外分売は買いか?】ファンデリー(3137)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから小売業種のファンデリーです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大500株まで購入できます。

早ければ、7/1(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年7月2日(水)~8日(火)
分売数量244,100 株
(発行済み株式総数 6,470,100 株の約3.77%
分売値段(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量500 株
表1:ファンデリー(3137) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

2025年1月6日に開示された、IR資料「「ファン株主2万人構想」策定に関するお知らせ」によると、

同社は、企業の持続的成長を実現するにあたり、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努める必要があり、

同社の持続的な企業価値創造には、さらなる株主との協創が重要であると捉え、成長を後押ししてもらえる存在である株主の増加に向けた取り組みを行っていくとしています。

2024 年9月期末時点の株主数は2,241名で、目標の期限に関しては言及はありませんでしたが、この10倍近くもの株主数増加を目指しています。

この実現のため、2025年中に、株主試食会イベント、株主優待制度の開始、流動株式比率増加等の取組みを実施するとしています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.77%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は893百株、25日平均は1,022百株(6/25時点)で、流動性は平均的な水準です。

そして、今回の分売数量(2,441百株)は、1日の出来高(25日平均:1,022百株)の約2.4倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

「一人でも多くのお客様に健康で楽しい食生活を提案し、豊かな未来社会に貢献します。」をビジョンとし、

主に健康食宅配事業を行っている会社です。

その他にも、CID事業(旬や国産の食材にこだわった冷凍食宅配事業)及びマーケティング事業(カタログ誌面の広告枠販売、サンプリング等の業務受託、健康食レシピ情報サイトの運営)を展開しています。

セグメント別の事業内容は、それぞれ、

を行っています。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、MFD事業が8割を占めています。

直近の経営概況

【2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の経営成績】

(2025年4月30日発表:日本基準(非連結))

決算期売上高
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2024年3月期
通期実績
2,646
(△5.8)
58
(黒字
転換)
55
(黒字
転換)
66
(黒字
転換)
2025年3月期
通期実績
2,464
(△6.9)
△133
(赤字
転落)
△182
(赤字
転落
)
△183
(赤字
転落
)
2026年3月期
通期会社予想
2,992
(21.5)
86
(黒字
転換)
28
(黒字
転換
)
26
(黒字
転換
)
表2:ファンデリー 2025年3月期通期経営成績と2026年3月期通期予想

表2の通り、前期比 減収赤字転落でした。

今期(2026年3月期)通期の業績は、前期比 増収黒字転換を見込んでいます。

【2025年3月期通期の状況、経営成績の要因】

同社が属する食事宅配市場は、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化、女性の社会進出、食料品の購入や飲食に不便を感じる高齢者を中心とする買物弱者の増加といった社会的背景や、

新型コロナウイルスの感染拡大による生活様式の変化に伴って、宅配や冷凍食品への需要が増加しているため堅調に推移しています。

同社が主な顧客としている生活習慣病患者は年々増加傾向にあり、また、少子高齢化が進むことにより65歳以上の高齢者のみの世帯が増加するなど市場の成長が見込める経営環境となっています。

そのため、食事宅配市場を今後の更なる成長が見込める有望市場と捉えて、新規参入する企業が増加しており、引き続き競争の激化が進んでいます。

このような環境の中、同社はMFD事業において、定期購入サービスである「栄養士おまかせ定期便」の利用者拡大及び健康食通販カタログ『ミールタイム』及び『ミールタイム ファーマ』の紹介ネットワーク拡大を軸に推し進め、新規・定期購入顧客数の拡大に努めました。

CID事業においては、旬や国産の食材にこだわった冷凍食品である国産ハイブランド冷食『旬をすぐに』を同社の埼玉工場で製造し、主にWEBサイトを通じて販売しており、他社とのコラボレーションの実施等による製品の品質向上に加え、

小売店舗での販売等によるサービス認知度の向上及び新規顧客の獲得に努めました。

マーケティング事業においては、健康食通販カタログ『ミールタイム』及び『ミールタイム ファーマ』の2誌に掲載する広告枠の販売

健康食通販カタログ『ミールタイム』の紹介ネットワークを活用した業務受託における新規クライアントの開拓及び既存クライアントからの複数案件の獲得に努めました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、表2の数値の前期比 減益赤字転落となりました。

【セグメント別の業績】

各セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「MFD事業」「マーケティング事業」前期比 減収減益

「CID事業」減収赤字幅拡大となりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
MFD1,970
(△4.6)
290
(△10.5)
CID156
(△36.1)
△389
(赤字幅
拡大)
マーケティング391
(△17.7)
269
(△21.2)
表3:2025年3月期通期 セグメント別業績

各セグメント別の状況は以下になっています。

MFD事業

季節ごとの商品入れ替えや、同社の管理栄養士・栄養士による食事相談サポート付き「私のおせち」の販売、紹介ネットワークの管理栄養士・栄養士に向けた「ミールタイム栄養士スキルアップセミナー」の実施に加え、

2024年4月にブランド開始20周年、2025年4月に21周年を迎えるにあたり各種商品の価格改定を2024年3月・2025年3月に実施し、認知度の向上及び新規顧客の獲得に努めました。

また、医療機関への営業活動を本社・大阪支社・神奈川支社の3拠点体制で実施し、紹介ネットワークの拡大と深耕を通じて新規顧客の獲得に努めるとともに、

同社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病、制限数値、嗜好に合わせて食事を選び定期購入できるサービス「栄養士おまかせ定期便」への積極的な移行を中心として販売に注力しました。

しかしながら、定期購入顧客数が前期比で減少していることや、仕入原価の高騰等の要因で、前期比で収益が悪化しました。

CID事業

高品質・高価格の製品ラインナップを充実させるとともに、販路の拡大を目的として一部小売店舗での販売により、新規顧客の獲得及び販売数の拡大に努めました。

また、セグメント間取引として、MFD事業におけるミールタイム商品の一部を製造し、販売数の拡大に努めました。

しかしながら、依然として損益分岐点に達していないことと、前期の販売数を下回ったことから、前期比で収益が悪化しました。

マーケティング事業

健康食通販カタログ『ミールタイム』及び『ミールタイム ファーマ』の2誌による広告枠の販売

また、紹介ネットワークを活用した業務受託において複数の案件を獲得しました。

業務受託においては、新規案件及び既存案件の獲得数が減少したため、前期比で収益が悪化しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年3月期末時点で5.3%と前期末(8.8%)から3.5ポイント低下しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては危険水域レベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2025年3月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2024年3月期)通期のフリーCF(74.4百万円の収入)から173百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2026年3月期通期)業績の見通し】

近年の共働き世帯や単身世帯の増加、高齢者の増加、女性の社会進出、新型コロナウイルスの感染拡大を経たライフスタイルの変化による宅食・冷凍食品需要の増加など、同社を取り巻く市場環境にプラスの影響がある一方、

原材料の価格高騰、物流費の上昇、食事宅配市場への新規参入企業の増加など、同社を取り巻く市場環境にマイナスの影響も存在しており、先行きが不透明な状況が続いています。

従前の中期経営計画で掲げていた同社の各事業における戦略方針(事業構造の転換、大型契約の獲得推進、自社の強みを活かした新事業の創出)に基づいて事業活動を行った結果、当初計画と実績の乖離が大きくなっていたため、

今後の収益拡大に向けた新たな戦略方針を立案し、中期経営計画を策定するための検討を進めています。

新たな中期経営計画が策定でき次第、公表される予定です。

このような状況の中、今期の見通しは、表2の数値の前期比 増収黒字転換を見込んでいます。

【継続企業の前提に関する重要事象等】

同社は、CID事業の損益分岐点売上高の未達及び将来の販売見通しに基づいた事業年度末時点での販売不能見込みを製品評価損として織り込んだことにより、前々事業年度以前に多額の営業損失及び経常損失を計上しました。

その結果、当事業年度においても、長期借入金に係る財務制限条項の一部に抵触しており、当該財務制限条項に該当した場合には期限の利益を喪失することになります。

このため、同社は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。

同社は、当該状況を解消すべく、取引金融機関と定期的に意見交換を行うことで良好な関係を構築しています。

また、2023年3月期において埼玉工場の土地及び建物に対して同金融機関を第一順位とする根抵当権を設定しており、同金融機関との協議を通じて上記の期限の利益の喪失に係る権利行使をしないことについての同意を得られる見通しです。

さらに、これらの対応策に加えて、前期末から12ヶ月間の資金繰りについても検討し、

MFD事業及びCID事業の販売数量について、保守的な仮定を採用した場合の売上予測を基礎として作成した資金繰り計画を考慮した結果、前期末の翌日から12ヶ月間の資金繰りに関して重要な懸念はないと判断しています。

したがって、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。

株価指標と動向

【2025/6/25(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ショクブン(9969) 41.0倍、ライドオンエクスプレスHD(6082) 22.7倍、オイシックス・ラ・大地(3182) 14.5倍と比較すると、高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり0~3円で推移しており、2022年3月期以降は無配を継続中です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期
(最終赤字)
2022年3月期
2023年3月期
2024年3月期
2025年3月期
表4:ファンデリー 年間配当金推移

この会社は、

利益配分は、企業体質の強化及び将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としています。

また、剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本方針としています。

2025年3月期の期末配当は、CID事業の損益分岐点未達が主な要因となり2023年3月期に当期純損失を計上して以降、配当原資となる利益剰余金がマイナスの状態が続いていることから、無配となりました。

今期の剰余金の配当は、経営成績・財政状態の改善に向けた取り組みを推進していますが、

配当原資となる利益剰余金の確保への先行きが不透明であることを踏まえて、2025年3月期決算発表時点においては無配を予定しています。

【株主優待】

この会社は、2024年12月に株主優待制度の新設が発表され、毎年3月末に100株以上保有の株主は、保有株式数に応じて、同社サービスである国産ハイブランド冷食『旬をすぐに』で利用できるお食事クーポンが進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(3,000円分)利回りは7.63%となります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年8月に上場来安値(197円)をつけた後は、200~300円程度で推移していましたが、2025年に入り数回急騰しながら、同年4月に高値(861円)をつけました。

しかし、その後は急騰前の元の値の400円前後で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

4/7に年初来安値(276円)をつけた後は急上昇し、4/22に年初来高値(861円)をつけましたが、その後は、400~500円程度で推移しています。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(6/25)は、分売による短期的な需給悪化を懸念され、窓を開けて出来高を伴い、前日比 31円安(-7.31%)と急落しました。

今後の株価は、節目の300円や年初来安値(276円)を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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