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【公募増資・売出(PO)は買いか?】ひろぎんHLDGS(7337)

djedjによるPixabayからの画像

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから銀行業種のひろぎんHLDGSです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、大株主(損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険東洋証券、他3社)からの株式の売出しです。売出価格等決定日や受渡期日、売出数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「売出価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、ゆうちょ銀行(6178) 2.08%、デンソー(3387) 3.02%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回はSMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、7/8(火)の夕刻に、会社側から売出価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

売出価格等決定日2025年7月8日(火)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2025年7月15日(火)
①株式売出し(引受人の買取引受による売出し)
数量
普通株式 10,867,900 株
発行済み株式総数 308,775,621  の約3.51%
②株式の売出し(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 1,500,000 株実施決定(7/8)
SMBC日興証券が売出す。
売出価格1,138.5 円
(7/8決定:終値 1,174 円)
ディスカウント率3.02 %
(7/8決定)
申込単位数量100 株
主幹事SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券
表1:ひろぎんHLDGS(7337) PO概要

【株式売出しの目的】

としています。

【株式の売出し数量/流動性】

今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大約4.00%(OAを含む)で、

直近の株式の売出のみのPOの売出株数比率(OAを含む)は、テレビ朝日ホールディングス 8.32%、パルグループHLDGS 3.1%、いすゞ自動車 4.71%でしたので、それらと比較するとやや少ない数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は11,896百株、25日平均は6,855百株(7/1時点)で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

「お客さまに寄り添い、信頼される〈地域総合サービスグループ〉として、地域社会の豊かな未来の創造に貢献します」という経営ビジョンのもと、

広島県、岡山県、山口県、愛媛県を主要な営業基盤とし、各種金融ソリューションに加え、IT 関連や人事労務コンサルティングをはじめとした非金融ソリューションを提供している会社です。

事業セグメントは、株式会社広島銀行において展開している「銀行業ひろぎんリース株式会社において展開している「リース業の2つがあり、それぞれ、

を行っています。

2025年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「銀行業」が8割強を占めています。

直近の経営概況

【2025年3月期通期(2024年4月~2025年3月)の経営成績】

(日本基準(連結):2025年5月12日発表)

決算期経常収益
[億円]
(前期比
増減率
[%])
経常
利益
[億円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[億円]
(同)
2024年3月期
通期実績
1,860
(16.1)
341
(81.8)
276
(121)
2025年3月期
通期実績
2,013
(8.2)
521
(52.8)
358
(29.4)
2026年3月期
通期会社予想
(予想無し)570
(9.2)
400
(11.6)
表2:ひろぎんHLDGS 2025年3月期通期経営成績と2026年3月期通期予想

表2の通り、前期比 増収増益で、経常収益は1割弱増利益面は3~5割強増で着地しました。

今期(2026年3月期)通期の業績予想は、前期比で1割前後の増益を見込んでいます。

【2025年3月期通期の状況、経営成績の要因】

連結経常収益は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことから、前年度比153億円増加2,013億円となりました。

連結経常費用は、資金調達費用や営業経費が増加したものの、貸倒引当金繰入額の減少によりその他経常費用が減少したことから、前年度比28億円減少1,491億円となりました。

その結果、連結経常利益は前年度比180億円増加521億円親会社株主に帰属する当期純利益前年度比82億円増加358億円となり、過去最高益となりました。

【セグメント別経常収益】

セグメント別の経常収益は、表3の結果になりました。

主力の銀行業「リース業」前期比 増収

「その他」減収でした。

セグメント経常収益
[億円]

(前期比
増減率
[%])
銀行業1,670
(10.2)
リース業226
(2.6)
その他116
(△6.2)
表3:2025年3月期通期 セグメント別経常収益

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本の額/リスク・アセットの額の合計額×100)

2025年3月期末時点で11.04%と前期末(11.04%)から変わらずです。

前期末比の増減は以下となっています。(単位:億円)

銀行業の自己資本比率の目安として、国際統一基準では、バーゼル合意に基づき、達成すべき自己資本比率を8%以上としていますので、それに対しては高い水準です。

ご参考までに、競合他社の以下の銀行の2025年3月期末時点の自己資本比率は、

となっており、それらと比較すると低い水準になっています。

キャッシュ・フロー>2025年3月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※1 フリーCFの説明:

前期(2024年3月期)通期のフリーCF(6,639億円の収入)から1兆7,639億円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(億円):

投資活動によるCFの主な内訳(億円):

株価指標と動向

【2025/7/1(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、山口フィナンシャルG(8418) 10.2倍、ちゅうぎんフィナンシャルG(5832) 9.4倍、いよぎんHLDGS(5830) 8.6倍と比較すると、低い水準です。

配当利回り4.64%で、東証プライムの単純平均2.63%(6/30時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり24~48円で推移しており、2023年3月期以降は連続増配を継続中です。

配当性向は、30%台~60%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2021年3月期
(広島銀行の配当)
2434.6
2022年3月期2432.5
2023年3月期2767.1
2024年3月期3741.0
2025年3月期4840.5
表4:ひろぎんHLDGS 年間配当金推移

この会社は、

地域総合サービスグループとして地域社会や顧客のあらゆる課題解決に徹底的に取り組み、地域の持続的成長に貢献していくため、

株主還元とともに内部留保の充実にも意を用い、親会社株主に帰属する当期純利益に応じた配当を実施するとしています。

また、内部留保は、収益力強化に向けた資本活用(地域課題解決・地域の持続的成長に向けた成長投資、人的資本への投資拡充等)とのバランスをとり運用することで、経営基盤の拡充や経営体質の一層の強化を図るとしています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末100株以上保有の株主は、以下のものが進呈されます。

表5:ひろぎんHLDGS 株主優待品(ひろぎんHLDGS HPより抜粋)

100株保有の場合、配当金+株主優待(ギフトカード(クオカード) 500円券)利回りは5.07%となります。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年7月に安値(814.1円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、翌年6月に上場来高値(1,299円)をつけました。

そしてその後は、1,000~1,300円程度のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

4/7に年初来安値(895円)をつけた後は上昇基調で推移し、6/4に高値(1,285.5円)をつけました。

その後は、ほぼヨコヨコで推移していましたが、今回のPO発表の翌営業日(7/1)は、POによる短期的な需給悪化を懸念され、出来高を伴い窓を開けて、前日比 44円安(-3.65%)と急落しました。

今後の株価は、節目の1,100円や1,000円を割り込まずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
株式の売出数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐
(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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