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【公募増資・売出(PO)は買いか?】Speee(4499)

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?足元の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから情報・通信業種のSpeeeです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募増資大株主からの株式の売出しです。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は野村證券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、1/21(火)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2025年1月21日(火)から24日(金)までの間のいずれかの日
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2025年1月30日(木)又は31日(金)のいずれかの日。
ただし、発行価格等決定日が2025年1月21日(火)、22日(水)又は23日(木)の場合は1月30日(木)、
24日(金)の場合は31日(金)とする。
①公募による新株式の発行
一般募集
数量
普通株式 650,000 株
発行済み株式総数 10,676,100  の約6.08%
②株式の売出し
(引受人の買取引受による売出し)
数量
普通株式 650,000 株
発行済み株式総数 10,676,100 株 の約6.08%
③株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 195,000 株(上限の数量)
野村證券が売出す。
④第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 195,000
(申込みがなかった株数は発行されない。)
野村證券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)40.3 億円
発行価格(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券
表1:Speee(4499) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【株式売出しの目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約40.3億円については、以下に充当する予定です。(支払予定時期:2025 年2月~2027 年1月)

  1. 金融 DX 事業サービス拡大に伴う人件費、業務委託費及び採用費等
    金額:27.6億円
  2. 人材採用リソースの拡大に伴う費用(1.を除く)
    金額:9.1億円
  3. 事業規模拡大に伴うシステム・セキュリティ強化費用
    金額:3.6億円

【新株式の発行数量/流動性】

今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約7.91%(第三者割当含む)、株式の売出数量は、発行済み株式総数の最大約6.08%(OAを含む)で、

です。

新株式発行1株利益の希薄化株式の売出し需給悪化につながりますので、この2つの要因が短期的に株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は1,015百株、25日平均は1,137百株(1/15時点)で、流動性は平均的な水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

「解き尽くす。未来を引きよせる。」というミッションのもと、テクノロジーを活かしながら既存のビジネスを柔軟に組み合わせ、新しいサービスを生み出すことで、新しい価値を提供し続けていくとともに、

成果を積み重ねていくことの連鎖でより大きな課題に立ち向かい、未来を引きよせたいと考えており、

このようなミッションのもと、多様な産業領域のデジタルトランスフォーメーションを推進している会社です。

事業セグメントは、「レガシー産業DX事業」「DXコンサルティング事業」「金融DX事業」の3つがあり、それぞれ、

2024年9月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「レガシー産業DX事業」が7割を占めています。

直近の経営概況

【2024年9月期通期(2023年10月~2024年9月)の経営成績】

(2024年11月14日発表:日本基準(連結))

決算期売上高
[億円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年9月期
通期実績
136
(21.1)
810
(△48.1)
846
(△46.7)
△1,042
(赤字
転落)
2024年9月期
通期実績
157
(15.6)
537
(33.7)
594
(△29.8)
244
(黒字
転換)
2025年9月期
通期会社予想
180
(14.6)

(△99.9)
△0
(赤字
転落
)
△614
(赤字
転落
)
表2:Speee 2024年9月期通期経営成績と2025年9月期通期会社予想

表2の通り、前期比 増収減益で、売上高は2割弱増、利益面は営業利益と経常利益は3割前後の減益純利益は黒字転換でした。

今期(2025年9月期)通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は1割強増、利益面は営業利益と経常利益はほぼ0純利益は赤字転落を見込んでいます。

【2024年9月期通期の状況、経営成績の要因】

同社グループを取り巻く事業環境は、多くの企業におけるDXを活用した業務改善などが活発化した影響もあり、同社サービスに対するニーズが高まりました。

ビジネスにおける営業及びコンサルティング活動のオンライン化が定着したことにより事業機会が拡大しています。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、表2の前期比 増収減益となっています。

なお、同社グループでは、事業基盤の強化や拡大を積極的に目指していく中、

各国の会計基準の差異にとらわれることなく企業比較が可能なEBITDA(税金等調整前当期純利益+支払利息+減価償却費+のれん償却費)を経営指標として重視しており、

当連結会計年度のEBITDAは717百万円(前期はEBITDA△884百万円)となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「レガシー産業DX事業」前期比 増収増益

「DXコンサルティング事業」増収減益

「金融DX事業」減収赤字幅拡大でした。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]

(同)
レガシー産業DX110
(17.6)
1,313
(15.8)
DX
コンサルティング
46.5
(12.8)
1,891
(△3.8)
金融DX0.0
(△97.7)
△440
(赤字幅
拡大
)
表3:2024年9月期通期  セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

レガシー産業DX事業

レガシー産業DX事業は、デジタル化が進んでこなかった市場において、

デジタル化を通じて生活者(消費者)と事業者を最適な形でマッチングすることを目指しており、「イエウール」「ヌリカエ」「ケアスル 介護」が属しています。

営業活動が堅調であることに加え、自社サービスの拡充及び提携先メディア等とのアライアンスの強化を行った結果、加盟業者数、ユーザ数ともに順調に増加しており、高い売上成長率を実現しました。

また今後の持続的な成長のため、各領域における新規事業(サービス)の展開へ向けて、ソフトウエア開発等に関する投資を強化しています。

DXコンサルティング事業

DXコンサルティング事業は、顧客企業のデータ資産を利活用し、マーケティング活動を高度化することに加え、DX化を総合的に支援するコンサルティングサービスを提供しています。

顧客企業におけるデジタルマーケティングの強化及びデータ活用意欲の高まりにより、案件獲得が堅調に推移しました。

金融DX事業

金融DX事業には、「Data Platform事業」が属しており、ステーブルコインの早期実用化を目指すなかで、ステーブルコイン等デジタルアセット関連のプロダクト開発のために積極的な開発投資を進めてきました。

株式会社Progmatと共同でクロスボーダーステーブルコイン送金基盤構築プロジェクト「Project Pax」を始動させ、国内外金融機関との実証実験を開始しており、

ステーブルコインを活用することで、高速かつ安価で 24時間365日稼働可能なクロスボーダー送金の実現を目指しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年9月期末時点で53.5%と前期末(44.6%)から8.9ポイント増加しました。

負債及び純資産の、主な前期末比の増減は以下となっています。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年9月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2023年9月期)のフリーCF(87.4百万円の支出)から1,471百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2025年9月期)通期業績の見通し】

レガシー産業DX事業営業費DXのさらなる拡大を目指し、継続してプロダクト投資を計画しています。

またアライアンスを通じた規模拡大や、ユーザとのオフライン接点の開発などの投資も見込んでいます。

ユーザ数増加及び提供プロダクト増加により、増収増益となる見通しです。

DXコンサルティング事業は培ったデータ分析・AI技術・顧客基盤を活用し、顧客の企業変革を長期的に支援していくべく、

DXソリューションのカバレッジを広げて、単一商材だけでなく包括的なDXコンサルティングを提供する計画です。

各事業ともに堅調な成長を見込んでおり、増収増益となる見通しです。

また、金融DX事業においては、ステーブルコインの早期実用化を目指しており、クロスボーダー送金基盤構築、デジタルアセット関連のプロダクト開発に取り組んでいます。

Project Paxのクロスボーダー送金基盤に関して、プロトタイプを用いて開始予定の実証実験には、国内外の主要金融機関の関与が既に決定しており、

より多くの国・金融機関へと連携を拡大しながら、2025年の商用化を目指しています

ステーブルコインの実用化以降はコインの発行・流通量の増加に伴い、ステーブルコイン発行に伴う運用収益のレベニューシェア(※3)や、国際送金手数料の獲得により売上を計上していく方針です。

※3:レベニューシェア

事業収益を発注者と受注者が事前に定めた配分率で分け合う契約方式を指す。

この契約形態では、双方がリスクと報酬を共有し、成果や売上に応じて報酬が決定される。

収益モデルが確立してきたことを踏まえ、国内だけでなく、グローバルな巨大市場における先行優位性の構築を目指し、開発投資を拡大し積極的な人員投資を行っていく方針です。

それにより2025年9月期は減益を見込んでいます。

以上により、2025年9月期の同社グループの業績は、売上高は180億円前年比14.6%増)、営業利益0百万円(同99.9%減を見込んでいます。

株価指標と動向

【2025/1/15(水)終値時点の数値】

同業で時価総額が近い会社のPERは、ベイカレント(6532) 28.5倍、GMOペイメント(3769) 29.3倍、ブレインパッド(3655) 21.9倍です。

表4のように、直近5年間の配当金無配で、上場来無配です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年9月期
2021年9月期
2022年9月期
2023年9月期
2024年9月期
表4:Speee 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けていますが、

財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると認識しています。

このことから創業以来配当は未実施で、今後においても当面は内部留保の充実を図る方針です。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年8月に上場来安値(886円)をつけた後は、急速に値を戻して同年12月にこの安値の6倍超の高値(5,780円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

昨年10月に安値(2,250円)をつけた後は、上昇基調で推移し、12/16に年初来高値(5,780円)をつけました。

その後はヨコヨコで推移していましたが、今回のPO発表の翌営業日(1/15)はPOによる1株利益の希薄化と短期的な需給悪化懸念により、寄らずのストップ安で、前日比 1,000円安(-18.5%)で終了しました。

今後は、75日移動平均線(青線)や節目の3,000円程度で下げ止まりヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
新株式の発行数量
株式の売出し数量
⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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