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【立会外分売は買いか?】エコム(6225) <2025年12月実施>

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、名証メインから機械業種のエコムです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大500株まで購入できます。

早ければ、12/18(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2025年12月19日(金)~ 23日(火)
分売数量30,000 株
(発行済み株式総数 1,920,000
株の約1.56%
分売値段(決定後記載
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
申込上限数量500 株
表1:エコム(6225) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.56%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ない、としています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は26.8百株、25日平均は15.4百株(12/12時点)で、流動性はかなり低い水準です。

そして、今回の分売数量(300百株)は、1日の出来高(25日平均:15.4百株)の約19倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多めといえます。

【過去の立会外分売結果】

ご参考までに、この会社は、昨年12月にも立会外分売を実施しており、その時の分売値段と分売日以降の株価の動きは、表2のようになっています。

(※売買手数料は考慮していません。)

分売日分売
株数
[万株]
分売
値段
[円]
ディス
カウント

[%]
分売日
始値
[円]
(騰落率

[%])
分売日
終値
[円]
(同)
1週間後の
始値[円]
(日付)
損益[円]
(騰落率

[%])
2024/
12/20
1,2472.961,273
(+2.1)
1,255
(+0.6)
1,250
(12/27)
+3
(+0.2)
表2:エコム 過去の分売値段とその後の株価

分売値段で購入し、分売日の寄付や大引分売日1週間後の寄付で売却した場合の騰落率+0.2+8.5%でした。

その時の地合いの良し悪しも影響してくるとは思いますが、ご参考まで。

【参考記事】

(前回(2024年12月実施)の分売):【立会外分売は買いか?】エコム(6225)

(前回予想の振り返り):【2024年12月 立会外分売】騰落率ランキング✨

どんな会社?

1985年、工業用ガスバーナのメンテナンスを祖業に、

乾燥炉、焼成炉などの工業炉の設計から稼働後の保守サービスまで全工程を一貫して行う、「熱技術総合エンジニアリング企業」です。

エコムという社名Ecology(環境) & Combustion(燃焼)から派生する造語で、

「熱のスペシャリスト集団」として、工場の省エネルギー化を実現「加熱技術とDXで環境問題に取り組む企業」を企業目標に掲げています。

事業内容は、①工業炉の開発・設計・製造を行う産業システム事業と、②工業炉の点検、監視、改造工事を行う保守サービス事業で構成されています。

2025年7月期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「産業システム事業」が6割強を占めています。

直近の経営概況

【2026年7月期1Q(2025年8月~10月)の経営成績】

(2025年12月11日発表:日本基準(非連結))

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2025年7月期
1Q累計
613
(89.6)
88
(44倍)
88
(44倍)
67
(67倍)
2026年7月期
1Q累計
393
(△35.9)
48
(△45.0)
50
(△43.2)
32
(△51.6)
2026年7月期
通期会社予想
2,800
(6.1)
401
(7.2)
409
(8.7)
288
(9.7)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
14.011.912.211.1
表3:エコム 2026年7月期1Q経営成績と2026年7月期通期予想

表3の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は4割弱減利益面は4割強~5割強減でした。

今期(2026年7月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高、利益面ともに1割弱増を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は1Q終了時点で、売上高、利益面ともに1割強で遅れ気味です。

【2026年7月期1Qの状況、経営成績の要因】

当1Qは産業システム事業の売上高の減少により、前年同期比 減収減益での着地となりました。

一方で保守サービス事業粗利率の高いメンテナンスサービスが大きく伸長したことにより、全体の粗利率を押し上げる結果となりました。

なお、今期の産業システム事業の売上高の計上は収益認識の関係上下期に集中しており期首に策定した事業計画に対しては計画通りに進捗しています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表4の結果になりました。

主力の「産業システム事業」前年同期比 減収減益

「保守サービス事業」増収増益となっています。

セグメント売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]

(同)
産業システム105
(△75.5)

(△93.0)
保守サービス287
(59.1)
79
(77.4)
表4:2026年7月期1Q  セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

産業システム事業

半導体製造に必要な付帯設備の大型受注があり、受注高は大幅に増加しました。

一方で売上高及びセグメント利益は、収益認識の関係上、下期に集中しており1Qとしては前年同期比で減収減益となりますが、

期首に策定した事業計画に対しては計画通りに進捗しており、業績は想定の範囲内で推移しています。

保守サービス事業

売上高総利益率(粗利率)の高いメンテナンスサービスが大きく伸長したことに加え、

カーボンニュートラルを見据えた省エネ改造工事も堅調に推移し、売上高、セグメント利益ともに大幅に増加しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2026年7月期1Q末時点で81.8%と前期末(81.0%)から0.8ポイント増加しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。(単位:百万円)

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2026年7月期)通期業績の見通し】

アメリカの関税政策による輸出減速、中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の上昇、中国での供給過剰による設備投資の慎重化等の影響から、同社を取り巻く経営環境は、依然不透明な状況が続くものと予想しています。

しかしながら、自動車の電動化の復調、AI関連需要等に起因する世界的な半導体需要の拡大等を受け、製造設備への投資が期待されています。

また、カーボンニュートラルへの構造的投資意欲は根強く大手メーカーを中心にCO2排出量削減を実現するための生産設備の更新改造工事への投資需要今後さらに高まっていくことが見込まれています。

同社においては、今後もカーボンニュートラルに対応したオーダーメイド型製品や省エネ改造工事の提案強化アライアンス効果を活かした販路拡大を継続し、業績の拡大に努めていき、

創業以来過去最高の売上高、利益にチャレンジしていく方針です。

なお、今1Q決算発表時は、2025年9月4日に公表された「2025年7月期 決算短信」に記載された業績予想から変更ありませんでした。

株価指標と動向

【2025/12/12(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、中外炉工業(1964) 8.7倍、三浦工業(6005) 13.4倍、テスホールディングス(5074) 18.8倍と比較すると中間的な水準です。

配当利回りは1.86%で、東証スタンダードの単純平均2.41%(12/11時点) と比較すると低い水準です。

同社は2023年3月に上場し、直近4年間の配当金(表5参照)は年間1株あたり5~32円で推移しており、連続増配を継続中です。

配当性向は、数%~20%台です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2022年7月期8.7
2023年7月期2516.0
2024年7月期2824.2
2025年7月期3222.2
表5:エコム 年間配当金推移

この会社は、

剰余金の配当は、将来の事業展開と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。

なお、2030年までは累進配当とし、連続増配を実施するとしています。

期末配当の年1回を基本的な方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2024年8月に安値(850円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

翌年12月に上場来高値(1,905円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しており、直近12/10に上場来高値(1,905円)をつけました。

そして今回の立会外分売と今1Qの決算発表があった翌営業日(12/12)は、最初は安く始まりましたが、出来高を伴い前日比 5円高(+0.27%)と上昇しました。

今後の株価は、上昇基調をキープ再び上場来高値を更新していくのか、失速し下落基調で推移するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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