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【公募増資・売出(PO)は買いか?】フジオフードG本社(2752)

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから小売業種のフジオフードグループ本社です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募と第三者割当による増資です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は野村證券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、12/2(月)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2024 年 12 月 2日(月)から5日(木)までの間のいずれかの日
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2024 年 12 月10日(火)から 13日(金)までの間のいずれかの日。
ただし、発行価格等決定日の6営業日後の日
①公募による新株式の発行
一般募集
数量
普通株式 500 万株
発行済み株式総数 45,491,921  の約10.9%
②株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 75 万株(上限の数量)
野村證券が売出す。
③第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 75 万株
(申込みのなかった株数は発行されない。)
野村證券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)69.3 億円
発行価格(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券
表1:フジオフードG本社(2752) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約69.3億円については、以下に充当する予定です。

【新株式の発行数量/流動性】

また、今回の新株式の発行数量(第三者割当を含む)は、発行済み株式総数の最大12.6%で、

直近の新株式の発行を含むPOの発行株数比率(第三者割当を含む)は、地主 18.5%、コロワイド 22.4%、バルニバーニ 23.1%で、それらと比較すると少ない数量です。

新株式発行は1株利益の希薄化につながりますので、この要因が短期的に株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は8,005百株、25日平均は2,630百株(11/26時点)で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

「まいどおおきに食堂」「串家物語」「喫茶店 ピノキオ」「麺の庄 つるまる」「手作り居酒屋 かっぽうぎ」など、

各種業態の飲食店及びフランチャイズ・チェーン(以下「FC」)を展開している会社です。

事業セグメントは、「直営事業」及び「FC事業」の2つがあり、ぞれぞれ、

を行っています。

2023年12月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「直営事業」が9割強を占めています。

直近の経営概況

【2024年12月期3Q(2024年1月~9月)の経営成績】

(2024年11月14日発表:日本基準(連結))

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社
株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2023年12月期
3Q累計
222
(15.9)
312
(黒字
転換)
235
(黒字
転換)
△21
(赤字幅
縮小)
2024年12月期
3Q累計
234
(5.0)
1,149
(268)
1,024
(335)
471
(黒字
転換)
2023年12月期
通期会社予想
(2024年11月7日
修正)
309
(4.0)
1,217
(212)
1,062
(258)
483
(黒字
転換)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
75.694.496.497.5
表2:フジオフードG本社 2024年12月期3Q経営成績と2024年12月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益と経常利益は3.6~4.3倍の増益純利益は黒字転換でした。

今期(2024年12月期)通期の業績予想は、今3Q決算発表と同時に上方修正(表4参照)しており、

前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益と経常利益は3.1~3.5倍の増益純利益は黒字転換を予想しています。

この通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高は8割弱でそこそこ利益面は9割強で順調です。

【2024年12月期3Qの状況、経営成績の要因】

当3Q連結累計期間における外食産業は、人流の回復やインバウンド消費の拡大等により堅調な需要が続いているものの、食材やエネルギー価格等の各種コストの上昇や慢性的な人手不足等によって、厳しい経営環境が続いています。

このような状況の中、同社グループは、「大衆というカテゴリーで日本一の外食企業となる」という確固たる目標のもと、

既存事業の全体的な底上げを行うための商品開発、業態ごとの販売促進キャンペーン活動、店舗におけるサービス力向上を図るための教育・研修体制の強化等を行い、

「まいどおおきに食堂」、「神楽食堂 串家物語」を中心とした全業態の経営成績の向上に全社一丸となって取り組みました。

以上の結果、当3Q連結累計期間の経営成績は、表2の数値の前年同期比 増収増益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「直営事業」「FC事業」ともに前年同期比 増収増益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[億円]
(同)
直営221
(4.9)
2,378
(56.5)
FC12.0
(7.1)
816
(12.5)
表3:2024年12月期3Q セグメント別業績

各セグメントの状況は以下です。

直営事業

国内及び海外において「まいどおおきに食堂」、「神楽食堂 串家物語」、「麺乃庄 つるまる」、「さち福や」、「天麩羅 えびのや」等の事業展開を行っています。

当事業では、時間帯別売上分析による適切なシフトコントロールによってコスト削減を行うとともに、販売実績のABC分析から顧客ニーズを図りターゲットを狙った商品開発を行いました。

また、季節フェアキャンペーンの推進、既存店舗の美装改装、SNSやメディアを活用したブランド認知度の向上等による集客力向上施策を実施し、全ブランドの既存店の業績改善に努めました。

FC事業

フランチャイズ加盟企業及び社員独立による営業委託者とのコミュニケーションを図りながら問題点の洗い出し・解消を図り、さらなる集客・売上の向上を目指しています。

主な活動は、フランチャイズ加盟開発の強化現環境に適した業態への変更の提案等を行いました。

また、更なる事業規模拡大に向け、直営店の売却・営業委託を積極的に進めストック型のビジネスモデルへの転換に努めていく方針です。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年12月期3Q末時点で10.7%と前期末(7.0%)から3.7ポイント増加しました。

主な負債と純資産の、前期末比の増減は以下となっています。

自己資本比率の数値としては危険水域レベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年12月期通期)業績予想の修正】

今3Q決算発表と同時に、2024年12月期通期業績予想の修正を発表しています。

2024年12月期通期の業績予想は表4です。

 売上高
[億円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社
株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回
(2024/2/14)
発表予想
3068007111633.61
今回修正予想3091,2171,06248310.64
増減額2.9417351319
増減率[%]1.052.149.3195
表4:フジオフードG本社 2024年12月期通期業績予想数値の修正(2024年11月14日発表)

前回予想と比べ、売上高は微増利益面は5割~3倍弱増の修正をしています。

修正の理由は、

としています。

なお、配当金予想に関しては、変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/11/26(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、大戸屋ホールディングス(2705) 27.4倍、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 39.6倍と比較すると、高い水準です。

配当金予想は、会社予想は未定となっていますが、前期並みとして無配予想としています。

前期まで5期連続最終赤字となる中、致し方ないところでしょうか。

表5のように、直近5年間の配当金は、1株当たり0~11円で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年12月期11
(最終赤字)
2020年12月期2.5
(最終赤字)
2021年12月期2.5
(最終赤字)
2022年12月期
2023年12月期
表5:フジオフードG本社 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を重要課題の一つと認識しており、収益力の向上・財務体質の改善を図りながら業績に応じた機動的な配当及び利益還元を行うことを基本方針としています。

この方針に基づき業績及び配当性向を総合的に考慮して、利益配当額を決定するとともに、将来の更なる事業拡大のための投資を行っています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年6月末と12月末の年2回100株以上保有の株主は、

株主優待品(お食事券や自社PB商品等から選択)1セット(3,000円相当)が進呈されます。

※300株以上保有の場合:2セット(6,000円相当)、1,000株以上の場合:4セット(12,000円相当)

100株保有の場合、配当金+株主優待(3,000円×年2回=6,000円相当)利回りは4.97%となります。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年6月に高値(1,546円)をつけた後は、1,300~1,500円程度のレンジ内で推移していましたが、

直近でこのレンジを下抜けています。

<日足チャート(直近3か月間)>

1,300~1,400円程度のレンジ内で推移していましたが、

今回のPO発表の翌営業日(11/25)は、POによる1株利益の希薄化懸念により、窓を開けて出来高を伴い売られ前日比 140円安(-10.5%)と急落しました。

これで、年初来安値を更新しています。

今後は、再び年初来安値を更新せずヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
新株式の発行数量⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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