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【公募増資・売出(PO)は買いか?】関西電力(9503)

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから電気・ガス業種の関西電力です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募と第三者割当による増資自己株式の処分です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は野村證券シティグループ証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、11/26(火)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2024 年 11 月 26 日(火)から 29 日(金)までの間のいずれかの日
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2024 年 12 月3日(火)から 6日(金)までの間のいずれかの日。
ただし、発行価格等決定日の5営業日後の日
①公募による新株式の発行
一般募集
数量
普通株式 148,286,600
発行済み株式総数 938,733,028  の約15.7%
公募による自己株式の処分
一般募集
数量
普通株式 45,700,000 株
発行済み株式総数 938,733,028  の約4.86%
③株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 29,097,900 (上限の数量)
野村證券が売出す。
④第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 29,097,900
(申込みのなかった株数は発行されない。)
野村證券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)5,049 億円
発行価格(決定後記載)
ディスカウント率(決定後記載)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券、シティグループ証券
表1:関西電力(9503) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約5,049億円については、以下に充当する予定です。

としています。

【新株式の発行数量/流動性】

また、今回の新株式の発行数量(第三者割当を含む)は、発行済み株式総数の最大約18.8%自己株式の処分数量は、発行済み株式総数の約4.86%で、

です。

新株式発行自己株式の処分は1株利益の希薄化につながりますので、この要因が短期的に株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は50,204百株、25日平均は34,696百株で、流動性はかなり高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

1951年の創業以来、顧客と社会の役に立ち続けるため、エネルギー事業を中心に、情報通信や生活・ビジネスソリューションなど、暮らしや経済、産業を支えるさまざまな事業活動を展開している会社です。

事業内容は、電気事業、熱供給事業、電気通信事業、ガス供給事業 等を行っています。

事業セグメントは、「エネルギー事業」「送配電事業」「情報通信事業」「生活・ビジネスソリューション事業」の4つがあり、それぞれ、

を行っています。

2024年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「エネルギー事業」が8割強を占めています。

直近の経営概況

【2025年3月期2Q(2024年4月~9月)の経営成績】

(日本基準(連結):2024年10月30日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
経常
利益
[億円]
(同)
親会社株主
帰属する
当期純利益
[億円]
(同)
2024年3月期
2Q累計
20,730
(16.2)
4,882
(黒字
転換)
5,111
(黒字
転換)
3,710
(黒字
転換)
2025年3月期
2Q累計
21,365
(3.1)
2,972
(39.1)
3,192
(△37.5)
2,288
(△38.3)
2025年3月期
通期会社予想
44,500
(9.6)
3,300
(△54.7)
3,600
(△53.0)
2,600
(△41.2)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
48.090.088.688.0
表2:関西電力 2025年3月期2Q経営成績と2025年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は微増利益面は4割弱減でした。

今期(2025年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収減益で、売上高は1割増利益面は4~5割強の減益を見込んでいます。

そして、その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は5割弱でそこそこ利益面は9割弱で順調です。

【2025年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

収入面では、販売電力料収入が増加したことなどから、売上高は2兆1,365億円と、前年同期に比べて634億円の増収(+3.1%となりました。

支出面では、他社購入電力料が増加したことなどから、営業費用は1兆8,392億円と、前年同期に比べて2,544億円の増加(+16.1%となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「エネルギー事業」「送配電事業」は、前年同期比 増収減益

「情報通信事業」減収減益

「生活・ビジネスソリューション事業」増収増益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前年
同期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[億円]
(同)
エネルギー17,297
(1.0)
2,600
(△36.5)
送配電1,939
(10.8)
317
(△46.8)
情報通信1,103
(△0.8)
225
(△16.8)
生活・
ビジネスソリューション
1,025
(37.5)
172
(60.4)
表3:2025年3月期2Q セグメント別業績

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2025年3月期2Q末時点で27.2%と前期末(25.2%)から2.0ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2025年3月期)通期業績予想】

収入面では、総販売電力量の増加などにより増収を見込んでいます。

支出面では、総販売電力量の増加などにより火力燃料費他社購入電力料の増加を見込んでおり、

表2の数値の前期比 増収減益を予想しています。

なお、為替レートは145円/ドル程度を想定しています。(為替レート1円円安になると50億円の経常費用増加の影響)

なお、2Q決算発表時点では、2024年4月30日に公表された連結業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/11/14(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、東京電力HD(9501) 5.0倍、中部電力(9502) 5.9倍、九州電力(9508) 7.0倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回りは3.06%で、東証プライムの単純平均2.48%(11/13時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり50円で一定です。

ただ、今期の配当金は久々に年間1株あたり10円増配の予想です。

配当性向は、10~200%超で業績によってばらつきがあります。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年3月期5034.4
2021年3月期5041.0
2022年3月期5052.0
2023年3月期50252
2024年3月期5010.1
表4:関西電力 年間配当金推移

この会社は、

同社は関西電力グループとして企業価値の向上を図り、株主に対して経営の成果を適切に配分することを基本とし、

財務体質の健全性を確保したうえで、安定的に配当を実施することを株主還元方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年12月に安値(1,113円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2024年6月に高値(2,929円)をつけました。

しかしその後は調整しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

10/9に高値(2,691円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しており、

今回のPO発表の翌営業日(11/14)は、POによる1株当たり利益の希薄化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 442.5円安(-18.4%)と急落しました。

今後は、3月につけた安値(1,876円)年初につけた年初来安値(1,828.5円)を下抜けずに、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
新株式の発行数量
自己株式の処分数量
⭐⭐
総合判定⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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