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【公募増資・売出(PO)は買いか?】MIRARTHホールディングス(8897)

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから不動産業種のMIRARTHホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募と第三者割当による増資自己株式の処分です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~5%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回はSMBC日興証券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、5/29(水)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。

このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2024 年5月 29 日(水)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2024 年6月5日(水)
①公募による新株式の発行
一般募集
数量
普通株式 1,600 万株
発行済み株式総数 12,100 万株 の約13.2%
公募による自己株式の処分
一般募集
数量
普通株式 600 万株
発行済み株式総数 12,100 万株 の約4.95%
③株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)
数量
普通株式 330 万株実施決定(5/29)
SMBC日興証券が売出す。
④第三者割当による新株式発行
数量
普通株式 330
(申込みのなかった株数は発行されない。)
SMBC日興証券に割当。
調達資金手取り概算額(上限)117 億円
発行価格458 円
(5/29決定:終値 473 円)
ディスカウント率3.17 %
(5/29決定)
申込単位数量100 株
主幹事SMBC日興証券
表1:MIRARTHホールディングス(8897) PO概要

【資金調達の背景と目的】

としています。

【調達資金の使途】

今回の一般募集及び第三者割当増資に係る手取概算額合計上限約117億円については、

に充当するとしています。

また、今回の新株式の発行数量は、発行済み株式総数の最大約15.9%(第三者割当を含む)、自己株式の処分数量は、発行済み株式総数の最大約4.95%で、

です。

新株式発行は1株利益の希薄化株式の売出しは需給悪化につながりますので、この2つの要因が短期的に株価を押し下げる可能性があります。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は35,173百株、25日平均は11,579百株で、流動性は高い水準です。(1日 1,000百株を平均的な水準としています。)

どんな会社?

1972年、小さな工務店としてスタートし、

不動産事業を中心に、エネルギー事業・金融事業など、事業の多角化・融合を積極的に進め

2022年10月に持ち株会社体制に移行して、「タカラレーベン」から、「MIRARTHホールディングス」へ商号変更した会社です。

この新しい商号は、Mirai(未来)とEarth(地球)を組み合わせた社名として生まれました。

企業の存在意義であるパーパスには、「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」を掲げています。

同社は、マンション分譲を中心に事業活動を展開し、

事業セグメントは不動産事業エネルギー事業及びアセットマネジメント事業の3つがあり、それぞれ、

を行っています。

2024年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「不動産事業」が9割弱を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期通期(2023年4月~2024年3月)の経営成績】

(日本基準:2024年5月13日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
経常
利益
[億円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[億円]
(同)
2023年3月期
通期実績
1,534
(△5.7)
70.3
(△40.8)
50.3
(△50.9)
45.8
(△26.2)
2024年3月期
通期実績
1,851
(20.7)
154
(119)
129
(158)
81.7
(78.4)
2025年3月期
通期会社予想
2,057
(11.1)
170
(10.0)
160
(23.2)
107
(30.8)
表2:MIRARTHホールディングス 2024年3月期通期経営成績と2025年3月期通期予想

表2の通り、前期比 増収増益で、売上高は2割増利益面は2倍前後の増益で着地しました。

今期(2025年3月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は1~3割の増益を見込んでいます。

【2024年3月期通期の状況、経営成績の要因】

同社グループが属する不動産業界における事業環境は、新築分譲マンションにおいては、原材料高の影響などにより販売価格が上昇しているものの、依然として実需層の高い購買意欲は健在です。

引き続き単身世帯や共働き世帯の増加、価値観の変化等によりエンドユーザーのライフスタイルが多様化しており、立地や生活利便性に対するニーズに加えコンパクトマンション需要が増加傾向にあります。

一方、地方中核都市においては、コンパクトシティ化の流れもあり、引き続きアクティブシニア層を中心に高い需要があり、分譲マンション販売は堅調に推移しています。

不動産経済研究所の調べによると、2023年の全国におけるマンション供給戸数は65,075戸前年比で10.8%減少となりました。

年間供給戸数が7万戸を下回るのは3年ぶりとなりましたが、2023年のマンション平均価格は5,911万円で7年連続の上昇となり、1973年調査開始以来の最高値を更新しています。

建築費動向を考慮すると、新築分譲マンション市場は今後も、比較的良好な需給バランスの状態が続いていくものと同社は考えています。

そのような中、同社グループは2023年売主グループ別供給戸数ランキングで全国5位となり、不動産分譲市場において安定的に供給を行う役割を担っています。

このような中、当期の業績は、売上高 1,851億円(前期比20.7%増営業利益 154億円(同119%増経常利益 129億円(同158%親会社株主に帰属する当期純利益は 81.7億円(同78.4%と、過去最高益を更新しました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「不動産事業」前期比 増収増益

「エネルギー事業事業」増収黒字転換

「アセットマネイジメント事業」減収赤字転落

「その他事業」増収赤字幅拡大の結果でした。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[億円]
(同)
不動産1,628
(17.0)
137
(74.4)
エネルギー138
(53.1)
20.2
(黒字
転換
)
アセット
マネジメント
7.3
(△33.0)
△0.3
(赤字
転落)
その他78.0
(85.0)
△3.2
(赤字幅
拡大
)
表3:2024年3月期通期 セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

不動産事業

好調な販売進捗により、売上総利益・営業利益ともに計画を上回りました。

エネルギー事業

LS鳥取大山発電所の施設売却売上・利益に大きく寄与しています。

アセットマネイジメント事業

私募ファンド組成の遅れにより利益が減少しています。

その他事業

建設の請負大規模修繕工事の受注各種手数料収入等がありました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期末時点で19.5%と前期末(18.0%)から1.5ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域レベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※1 フリーCFの説明:

前期(2023年3月期累計)のフリーCF(470億円の支出)から575億円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(億円):

投資活動によるCFの主な内訳(億円):

【今期(2025年3月期通期)業績予想】

不動産事業

コア事業である新築分譲マンションで、首都圏のみならず地方の中心市街地における供給を積極的に推進し、

2,200戸(JV(ジョイント・ベンチャー)按分後の同社持分2,150戸)の引渡を想定しており、契約進捗率は61.5%と好調な進捗となっています。

エネルギー事業

既存の太陽光を始めとした陸上風力バイオマスなどの推進を行い事業の拡大を目指しています。

アセットマネジメント事業

グループシナジー及び第三者からの物件取得により運用資産の積み上げ運用報酬の拡大を目指しています。

以上の結果、今期の業績見通しは、表2の前期比 増収増益を見込んでいます。

株価指標と動向

【2024/5/23(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、野村不動産ホールディングス(3231) 9.6倍、東京建物(8804) 10.8倍、いちご(2337) 12.4倍と比較すると、低い水準です。

配当利回りは6.17%で、東証プライムの単純平均2.30%(5/22時点) と比較すると2倍以上の高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり14~24円で推移しており、

配当性向は、30%台~50%台です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年3月期1938.4
2021年3月期1432.4
2022年3月期1831.5
2023年3月期2252.5
2024年3月期2432.3
表4:MIRARTHホールディングス 年間配当金推移

この会社は、

利益還元については、会社の最重要課題の一つとして位置付けており、事業展開と経営基盤の強化に必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じた適正な配当を安定的、継続的に行うことを基本方針としています。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

2021年5月に策定した新中期経営計画(2025年3月期まで)において、配当性向を30%~35%程度とすることを掲げています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

長い間、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しており、2024年5月に高値(595円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

4/19に安値(468円)をつけた後は、しばらくヨコヨコの展開でしたが、

2024年3月期決算発表の翌営業日(5/14)は、これを好感されて、窓を開けて出来高を伴い急騰しました。

そしてその後も値を伸ばし、5/20に年初来高値(595円)をつけましたが、今回のPO発表の翌営業日(5/21)1株利益の希薄化懸念から、窓を開けて出来高を伴い前日比 91円安(-15.5%)と急落しました。

今後は、直近の安値(468円)を割り込まず、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・新株式の発行株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
新株式の発行数量
自己株式の処分数量
⭐⭐
総合判定⭐⭐
(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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