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【立会外分売は買いか?】メディア総研(9242)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースからサービス業種のメディア総研です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ5/9(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年5月 10 日(金)
分売数量30,000
(発行済み株式総数 1,224,900 株の約2.44%
分売値段1,590 円
(5/9決定:終値 1,639 円)
ディスカウント率2.99 %
(5/9決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:メディア総研(9242) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約2.44%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は17.4百株、25日平均は15.2百株(5/2時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(300百株)は、1日の出来高(25日平均:15.2百株)の約20倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

「不可能を可能に」という社是と、

「イノベーションとイノベーション人材で世界をフラットにする。」という経営理念を掲げ、

新卒学生を中心とする求職者に対して、独自の就職活動イベントやサービスを提供している会社です。

同社グループは、学生イベント事業の単一セグメントで、提供している主なサービスは以下です。

2023年7月期通期のサービス毎の売上高構成比は、

となっており、「就職活動イベント」が8割を占めています。

直近の経営概況

【2024年7月期2Q(2023年8月~2024年1月)の経営成績】

(日本会計基準(連結):2024年3月8日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年7月期
2Q実績(単体)
617
(21.8)
228
(10.5)
227
(10.8)
158
(15.1)
2024年7月期
2Q実績
770
(24.7)
263
(15.3)
264
(16.2)
172
(8.8)
2024年7月期
通期会社予想
1,232
(29.1)
289
(42.8)
291
(44.4)
202
(66.6)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
62.591.090.785.1
表2:メディア総研 2024年7月期2Q経営成績と2024年7月期通期予想

表2の通り、前期3Qから連結決算となっており単純比較はできませんが、前年同期比 増収増益で、売上高は2割強増利益面は1割前後の増益でした。

今期(2024年7月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は3割増利益面は4割強~7割弱の増益を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は6割強で順調利益面も9割前後で順調です。

【2024年7月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社グループの事業領域である人材・就職支援業界においては、2023年12月の有効求人倍率は1.27倍(前年同月は1.35倍。厚生労働省調査)、完全失業率が2.4%(前年同月は2.5%。総務省統計局調査)であり、

新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を上回ってはいないものの、改善傾向にあることから、

先行きは有効求人倍率・完全失業率の改善が続く可能性が高く、特に九州地区ではTSMC熊本工場の新設等も相まって、同社が主力としている「理工系新卒人材」の企業ニーズは、一層競争激化が進むものと想定しています。

このような環境のなか、同社の主力であるイベント企画「高専生のための合同会社説明会」及び「学内合同会社説明会」の販売活動と並行して個々のイベント運営の成功に向け、参加学生の動員を図りました。

また、このような理工系人材の希少性を鑑み、理工系人材の採用を軸に新たなサービスとして採用支援などの企画・サービスを進めています。

これらの結果、前年同期比 増収増益(※前期は単体決算)となりました。

なお、同社グループは、主たる事業である学生イベントの開催日が2Q、3Q連結会計期間に集中する傾向があり、

通常、2Q、3Qの売上高1Q、4Qの売上高と比べて著しく増加する傾向です。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年7月期2Q末時点で82.3%と前期末(87.1%)から4.8ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年7月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※3 フリーCFの説明:

前期(2023年7月期2Q累計(非連結))のフリーCF(120百万円の収入)から65.7百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2024年7月期通期)業績の見通し】

新型コロナウイルス感染症の影響が収束しつつあり、特に参加企業が希望していた対面形式のイベント開催が増加する見込みです。

また、高専生と参加企業をつなぐ情報サイト「高専プラス」の機能追加やサービス改善など、高専生及び参加企業の満足度が向上する仕組みが整備されたため、高専生向け就職活動イベントでは、高専生の動員数及び参加企業数が増加する見込みです。

なお、情報サイト「高専プラス」は、単に「就職情報」を提供するだけでなく、高専生に対して大学・大学院への「進学情報(編入学情報)」を提供しており、就職希望の学生だけでなく、進学希望の学生にも有益な機能を備えています。

また、企業が高専生にアルバイトを依頼できるサービス「高専プレワーク」などの機能追加により、差別化と市場の拡大を図っていく計画です。

大学生向けの就職活動イベントは、従来の「理工系業界研究セミナー(オンライン形式)」に加え、全国の理工系女子学生に限定した就職活動イベント「理工系女子学生のための企業交流会」や、

特定大学の大学生に限定した就職活動イベント「国立理工系学生のためのキャリア座談会」など、大学生情報を活用した独自のイベントを展開していく予定です。

2022年10月に技術系転職サイトサービス「転職スイッチ」を開始し、人材紹介事業に参入しています。

同社グループは、高専生及び高等専門学校の教員等との連携を活かし、高専を卒業した学生など理工系の学生に特化したサービスを提供しています。

しかしながら、高度な人材ニーズの高まりと人材不足が重なり、人材紹介事業の領域で同社グループが事業を拡大するためには、ブランドの確立や認知度の向上が求められており、有能な人材の獲得と効果的な広告費の投入が不可欠な状況です。

早期の収益化を目指しながら、収支状況を踏まえて適切に人員の補充や広告費の投入を予定しています。

2023年6月に、高専生のスタートアップ支援等を目的に株式会社FUNDINNOと資本業務提携を締結しています。

将来的には、日本国内の潜在的な課題であるアントレプレナー(事業家や起業家)育成支援を行い、同社が経営理念に掲げるイノベーション人材の輩出を見据えています。

まずは、高等専門学校や高専機構が主催するスタートアップイベントなどを通じて、受託案件などに繋げる支援を検討しています。

また、新型コロナウイルス感染症による業績への影響は軽微と想定し、オンライン開催限定のイベントを除き、すべて対面形式で実施することを想定して計画しています。

以上より、2024年7月期の業績予想は、表2の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時には、2023年9月13日に公表された通期業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/5/2(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、学情(2301) 13.8倍、スポーツフィールド(7080) 8.8倍、 i-プラグ(4177) 484倍と比較すると、低めの水準です。

表3のように、上場来無配となっています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年7月期
2020年7月期
2021年7月期
2022年7月期
2023年7月期
表3:メディア総研 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としています。

しかしながら、同社は成長過程にあることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、

事業拡大、事業効率化のための投資を行い、企業価値向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年5月に安値(980円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2024年2月に高値(2,550円)をつけています。

ただその後は、しばらく調整しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

2/27に年初来高値(2,550円)をつけた後は、下落基調で推移しており、直近で全ての移動平均線を下抜けました。

そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(5/2)は、分売による短期的な需給悪化懸念により、前日比 30円安(-1.76%)と下落しました。

今後は、この下落基調から抜け出し、ヨコヨコから上昇に転じていくのか、下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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