きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】川崎設備工業(1777)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、名証メインから建設業種の川崎設備工業です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

【PR】手数料無料でワン株買付!マネックス証券

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ3/26(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年 3 月 27 日(水)
分売数量160,800
(発行済み株式総数 12,000,000 株の約1.34%
分売値段648 円
(3/26決定:終値 668 円)
ディスカウント率2.99 %
(3/26決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:川崎設備工業(1777) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.34%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は44.4百株、25日平均は31.7百株(3/21時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,608百株)は、1日の出来高(25日平均:31.7百株)の約51倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

関電工グループの一員として、「空気と水のクリエイト」をキャッチフレーズに、

空調・給排水・電気設備の設計・施工・保守(リニューアル)のワンストップサービスの提供を通じて、社会の発展、環境の保全と改善への貢献を目指している会社です。

同社の事業は、受注・施工体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており東部」「中部」「西部」の3つを報告セグメントとして、それぞれ、

となっています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「中部」が4割強を占めています。

また、サービス毎の売上高構成比は、

となっており、「一般ビル工事」が7割を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期3Q(2023年4月~12月)の経営成績】

(2024年1月31日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
3Q実績
141
(△18.7)
630
(△38.7)
655
(△37.4)
425
(△38.6)
2024年3月期
3Q実績
156
(10.4)
725
(15.0)
740
(13.0)
485
(14.3)
2024年3月期
通期会社予想
235
(12.9)
1,100
(5.7)
1,120
(4.2)
754
(6.6)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
66.465.966.064.3
表2:川崎設備工事 2024年3月期3Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高(完成工事高)は1割増利益面は1割強増でした。

今期(2024年3月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は1割弱の増益を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高、利益面ともに6~7割でそこそこです。

【2024年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

建設業界において、公共投資および民間設備投資は一定の水準で推移していますが、

原材料価格の高騰にともなう建設コストの上昇技術者不足の影響など、引き続き注視が必要な状況が続いています。

このような状況のもと、同社は、目標達成と持続的成長に向け、

などの施策を推進しました。

その結果、当3Qの受注高は249億円(前年同期比 37.6%増)となり、経営成績は、表2の数値の増収増益となりました。

【地域/工事種別の売上(完成工事)高】

地域別の売上高(完成工事高)は、表3です。

主力の「中部」「東部」前年同期比 増収

「西部」減収となっています。

セグメント完成工事
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
東部6,246
(40.8)
中部6,381
(6.3)
西部2,987
(△19.5)
表3:2024年3月期3Q累計 地域別売上高

工事種別の売上高(完成工事高)は、表4です。

主力の「一般ビル」「電気工事」前年同期比 増収

「産業施設」減収となっています。

セグメント完成工事高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
一般ビル11,507
(16.1)
産業施設2,898
(△5.7)
電気工事1,209
(4.0)
表4:2024年3月期3Q累計 工事種別売上高

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期3Q末時点で58.7%と前期末(59.7%)から1.0ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

建設業界は、公共投資は補正予算の効果もあって底堅く推移すると予想しています。

民間設備投資においても堅調な企業収益等を背景に持ち直し傾向が続くと予想しており、

建設資材費は高騰が続くものとみられ、また、慢性的な人手不足による人材確保が喫緊の課題となっています。

このような状況のなかで、同社は、

などの施策を講じながらESG経営を推進し、社会に貢献し夢のある会社の実現に向け、黒字安定経営の継続を目指しています。

当期の受注高は270億円(前期比 13.6%増)を予想し、表2の数値の増収増益を見込んでいます。

なお、今3Q決算発表時には、2023年4月28日に公表された通期業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/3/21(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、三機工業(1961) 15.3倍、大気社(1979) 11.8倍、高田工業所(1966) 7.5倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回りは2.64%で、東証スタンダードの単純平均2.16%(3/19時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~18円で推移しており、

配当性向は、10~30%程度です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期1010.9
2020年3月期1010.5
2021年3月期1016.0
2022年3月期1825.3
2023年3月期1830.5
表5:川崎設備工業 年間配当金推移

この会社は、

創業以来一貫して株主への利益還元を経営の重要課題と認識しており、

企業体質の改善、経営基盤の強化を図りながら、安定配当の継続を行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年4月に安値(396円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2024年1月に高値(709円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

今年1月末に年初来高値(709円)をつけるまでは上昇基調で推移していましたが、

その後はこの高値を超えられず、ヨコヨコで推移しています。

そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(3/21)は、出来高は増加しましたが、それほど株価は変動せず、前日比 13円安(-1.87%)と下落しました。

今後は、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)をキープし、上昇基調を継続するのか、下抜けて下落トレンド入りするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

モバイルバージョンを終了