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【立会外分売は買いか?】大村紙業(3953)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからパルプ・紙業種の大村紙業です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ3/18(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2024 年3月19 日(火)
分売数量177,000
(発行済み株式総数 3,561,676 株の約4.96%
分売値段778 円
(3/18決定:終値 802 円)
ディスカウント率2.99 %
(3/18決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:大村紙業(3953) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

2023年6月30日に開示された、IR資料「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」によると、

同社は、2023 年3月末時点において、東証スタンダードの上場維持基準の指標の内、「流通株式時価総額」の基準が10億円のところ4.9億円この基準を満たしておらず

各種取組みを行い、2025年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしています。

今回の分売で、同社株式総数の4.96%分を市場に流通させ、流通株式時価総額」を増加させる目論見です。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.96%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は72.6百株、25日平均は91.4百株(3/12時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,770百株)は、1日の出来高(25日平均:91.4百株)の約19倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

段ボール製品(シート・ケース・段ボールパレット)、ラベル製品等の紙製の容器・パッケージ、梱包資材等の製造販売をしている会社です。

同社は、紙器梱包資材等の製造販売の単一セグメントで、

2023年3月期通期の製品・サービス毎の売上高構成比は、

となっており、「段ボールシート」と「段ボールケース」を合わせて8割強を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期3Q(2023年4月~12月)の経営成績】

(2024年2月13日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
3Q実績
4,069
(7.3)
229
(△6.6)
231
(△7.7)
146
(△9.5)
2024年3月期
3Q実績
4,369
(7.4)
260
(13.5)
265
(14.8)
176
(19.9)
2024年3月期
通期会社予想
6,221
(14.7)
301
(12.2)
300
(10.8)
210
(701)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
70.286.388.383.8
表2:大村紙業 2024年3月期3Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は1~2割増でした。

今期(2024年3月期)通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は1割~8倍の増益を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は7割でそこそこ利益面は8割強で順調です。

【2024年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

当3Q累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、緩やかに景気回復が継続しています。

一方で、雇用・所得環境の改善インバウンド需要の回復等に前向きな動きがあるものの、原材料価格や資源価格の高止まりが続くなど依然として厳しい状況が続いています。

このような状況下において、同社の生産量は、段ボールシート37百万㎡(前年同四半期比3.8%減)段ボールケース25百万㎡(同0.4%減)となりました。

【販売品目別の売上高】

販売品目別の売上高は、表3です。

主力の「段ボールケース」「段ボールシート」「その他」前年同期比 増収

「ラベル」減収

となっています。

セグメント売上高
[百万円]
(前年
同期比
増減率
[%])
段ボール
シート
795
(6.7)
段ボール
ケース
2,810
(9.1)
ラベル140
(△1.4)
その他
(主に包装資材)
623
(2.8)
表3:2024年3月期3Q累計 販売品目別売上高

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期3Q末時点で65.1%と前期末(66.7%)から1.6ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

原材料価格の動向や物価の上昇、資源・エネルギー価格の高騰等、依然として先行きは厳しい状況が続きますが、

新型コロナウイルス感染症の分類引き下げにより経済活動の正常化を同社は期待しています。

この様な状況のもと、同社は小ロット・多品種・短納期でも最高のサービスと高品質を届ける事をスローガンとして掲げ顧客の段ボールニーズに対し、いち早く・的確に応えていく計画です。

この様な見通しのもと、2024年3月期の通期業績予想は、表2の増収増益を見込んでいます。

なお、今3Q決算発表時には、2023年5月12日の「2023年3月期決算短信[日本基準](非連結)」で公表された通期業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/3/12(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ダイナパック(3947) 7.5倍、中央紙器工業(3952) 11.6倍と比較すると、高い水準です。

配当利回りは3.65%で、東証スタンダードの単純平均2.18%(3/11時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10円で一定ですが、今期はその3倍の30円の配当予想となっています。

配当性向は、30~140%です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期1039.6
2020年3月期1031.3
2021年3月期1029.4
2022年3月期1036.9
2023年3月期10139
表4:大村紙業 年間配当金推移

この会社は、

2023年11月に、株主還元方針の変更を発表し、株主還元策について必要に応じた追加または強化策の実施を検討した結果、1株当たり配当金の下限値を設置することとし、

安定的な経営基盤の確立に努めるとともに内部留保を充実させ、配当は1株当たり年間配当金の下限を30 円とした安定配当の維持を基本方針としています。

株主にとっては、安心な内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年の年末に安値(501円)をつけた後は、緩やかながら上昇基調で推移していましたが、

2023年11月に株主還元方針の変更が発表され、それ以降急伸し、2024年1月に高値(1,080円)をつけました。

しかしその後は調整しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

昨年末に安値(727円)をつけた後は、上昇基調で推移し、今年1/26に年初来高値(1,080円)をつけました。

しかしその後は調整しており、今回の立会外分売発表の翌営業日(3/12)は、分売による需給悪化を嫌気され、前日比 15円安(-1.80%)と急落しました。

この下落で、75日移動平均線(青線)を下抜けています。

今後は、昨年末の安値(727円)を割り込まず上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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