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【立会外分売は買いか?】田中建設工業(1450)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから建設業種の田中建設工業です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ3/12(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2024 年3月13 日(水)
分売数量150,000
(発行済み株式総数 4,349,800 株の約3.44%
分売値段1,910 円
(3/12決定:終値 1,989 円)
ディスカウント率3.97 %
(3/12決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:田中建設工業(1450) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.44%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は23.2百株、25日平均は21.6百株(3/6時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(1,500百株)は、1日の出来高(25日平均:21.6百株)の約69倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

1982年の設立以来、経営理念である「思いやり・信頼・感謝」の心を胸に、「子供たちに何が残せるか」を常に考え、地球環境に配慮した安心・安全な施工管理に努め、

建築構造物の解体工事並びにそれに付随する各種工事の施工管理を行っている会社です。

具体的には、長年にわたる建築構造物の解体工事を通じて得られた経験と、その間に蓄積したノウハウやアイデアを基に、現況調査、工法の提案、設計、施工計画、外注・資機材手配、施工管理、安全管理、原価管理、資金管理、行政対応、近隣対応等の業務全般を提供しています。

また、建物構造物解体工事に関連する土木工事、山留工事、基礎解体工事、杭抜き工事等の施工管理も行っています。

その他、工事に伴い発生する、アスベスト、PCB(※2)、ダイオキシン等の有害汚染物質の除去、地下水の浄化、土壌改良等に関して、豊富な経験を有しており、

関連法令・法規を遵守した、コスト・工期・安全性に優れた、様々な解体工事をワンストップで提案・提供しています。

※2:PCB(Poly Chlorinated Biphenyl)

ポリ塩化ビフェニルの略称で、旧式の電気機器に絶縁油等として使用された毒性の高い化学物質

同社は、解体事業の単一セグメントです。

直近の経営概況

【2024年3月期3Q(2023年4月~12月)の経営成績】

(2024年2月9日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
3Q実績
91.6
(22.3)
1,610
(47.8)
1,630
(47.8)
1,010
(47.3)
2024年3月期
3Q実績
75.3
(△17.8)
920
(△42.8)
950
(△41.7)
589
(△41.7)
2024年3月期
通期会社予想
120
(6.7)
1,385
(△11.2)
1,400
(△12.5)
945
(△13.0)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
62.866.467.862.3
表2:田中建設工業 2024年3月期3Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は2割弱減利益面は4割強減でした。

今期(2024年3月期)通期の業績は、前期比 増収減益で、売上高は1割弱増利益面は1割強減を予想しています。

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高は6割強で遅れ気味利益面は6~7割でそこそこです。

【2024年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社が属する建設業界は、建築受注が回復傾向にあるものの、建築資材価格の高騰や建設技能労働者の需給の逼迫によりコスト面で不安の残る状況です。

一方、解体工事は、高度経済成長時代に建築され、老朽化した建物の増加、市街地再開発、マンション建替えの活発化を背景に、引き続き堅調な受注環境が続いています。

このような中、同社は、創業40周年及び中期計画2期前倒し達成を機に、更なる飛躍を展望した長期ビジョン「TANAKEN “Vision NEXT 10”」にて10年後のあるべき姿を明確にしました。

その実現に向け、中期経営計画「TANAKEN “Vision NEXT 10” Primary Phase」を策定しました。

「Primary Phase」は、成長軌道を維持しながら更なる飛躍を遂げるための「基盤構築の3ヵ年計画」になります。

2024年3月期は、本社移転による就労環境の改善をベースに、競争力の源泉である人財、技術、アライアンスの拡充に注力し、「TANAKEN」ブランドの価値向上を目指しています。

この結果、当3Q累計期間の経営成績は、表2の数値の前年同期比 減収減益となりました。

堅調な受注環境を背景に受注残高は潤沢なものの、大型案件の着工が同期間比において減少したことに加えて、開発プロジェクト全体の遅れの影響等により、売上・利益共に同期間比マイナスの結果となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期3Q末時点で79.2%と前期末(77.5%)から1.7ポイント増加しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

今後の我が国経済は、景気の先行き不透明感は続くものの、防犯・安全の観点から建築の事業計画を待たずに老朽化建物の解体を先行させる傾向もあることから、解体市場は引き続き堅調に推移するものと思われます。

2024年3月期は、本社移転による就労環境の改善をベースに、競争力の源泉である人財、技術、アライアンスの拡充に注力し、「TANAKEN」ブランドの価値向上を目指しています。

今期の見通しは、前期からの繰越工事高(手持工事高)5,381百万円と現在営業中の案件をベースに、売上高120億円(前事業年度比6.7%増を見込んでいます。

売上原価率は、前期に一部大型工事の原価増等があったことを勘案し、前期比0.7%増の80%を見込んでいます。

また、販売費及び一般管理費は上記施策実施のため、人件費を中心に前期比242百万円増の1,014百万円を見込んでいます。

以上より、2024年3月期通期の業績見通しは、表2の前期比 増収減益を見込んでいます。

なお、今3Q決算発表時には、2023年5月12日付で公表された通期業績予想から変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2024/3/6(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ベステラ(1433) 35.5倍、エンビプロHD(5698) 13.2倍、イボキン(5699) 9.9倍と比較すると、低い水準です。

配当利回りは3.41%で、東証スタンダードの単純平均2.14%(3/6時点) と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり68~80円で推移しており、

配当性向は、30~33%で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期8030.8
2020年3月期8031.5
2021年3月期6830.1
2022年3月期7332.8
2023年3月期8032.0
表3:田中建設工業 年間配当金推移

この会社は、

継続的な成長と株主への利益還元を経営の最重要課題として位置付けており、

継続的な成長のための財務体質の強化株主への継続的かつ安定的な利益還元とのバランスを勘案しつつ、

株主への利益還元を充実して行くことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年4月に安値(1,600円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年3月に高値(2,780円)をつけました。

しかしその後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

昨年12/25に昨年来安値(1,905円)をつけるまで下落基調で推移していましたが、その後は急速に値を戻し今年1/26に高値(2,300円)をつけました。

そしてその後はしばらくヨコヨコの展開で、今回の立会外分売発表の翌営業日(3/6)は、分売による短期的な需給悪化懸念から窓を開けて売られ前日比 80円安(-3.60%)と急落しました。

今後は、節目の2,000円や昨年来安値(1,905円)を下抜けずに、上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索を継続するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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