こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2023年12月のダイダン、ピエトロ、2024年1月の稲畑産業です。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行(売出)価格とその後の株価推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
全ての銘柄は全ての段階で損益プラス、
でした。
特に、ダイダンは受渡日の大引で売却した場合、7.3%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに、私は今回は購入無しでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:ダイダン(1980)
この会社のPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)2Qの業績は、前期からの繰越工事が大型一般工事を中心に増加したことを受け、完成工事高が増加したが、一般管理費がDX投資などで増加したため、
前年同期比 増収減益で、売上高は1割増、利益面は2割前後の減益でした。
今期通期予想は、受注工事高及び完成工事高は増加し、完成工事総利益は増加するものの、働き方改革推進に伴うDX投資や継続的な採用増などによる経費の増加を受け、営業利益は小幅な上振れになると見込み、
前期比 増収増益で、売上高は1割弱増、利益面は営業利益は微増ですが、経常利益と純利益は微減を予想していました。
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこでしたが、利益面は4割前後で遅れ気味でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は4.42%(12/12時点) で、東証プライムの単純平均2.28%(12/11時点) と比較すると高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株当たり38~50円で推移しており、減配はしておらず増配傾向でした。
配当性向は、30%台前半で安定して推移していましたね。
会社の還元方針は、株主への更なる利益還元を進めるため、2024年3月期より配当性向35%以上を新たな配当方針としていました。
株価モメンタムは、2022年5月に安値(939円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、2023年9月に高値(1,545円)をつけていました。
直近では、9/28に年初来高値(1,545円)をつけた後は調整し、1,400~1,500円のレンジ内での推移でしたが、
今回のPO発表の翌営業日(12/12)は、POによる短期的な需給悪化を懸念され、窓を開けて出来高を伴い、前日比 181円安(-12.2%)と急落しました。
その後は、5月につけた安値(1,227円)や節目の1,200円を下抜けず、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】ダイダン(1980)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表翌営業日に株価は底をつき、それ以降は右肩上がりの上昇基調で推移して、PO発表前の株価に戻ってきており好調です。
要因分析:ピエトロ(2818)
この会社のPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐ |
新株式の発行数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)2Qの業績は、主力の商品事業、店舗事業ともに売上が好調で、利益面では商品事業において原材料や資材価格等の高騰影響はあったものの価格改定の効果や、利益構造改革により店舗事業が再黒字化を達成したこと等により、
前年同期比 増収増益で、売上高は1割増、利益面は黒字転換でした。
今期通期予想は、商品事業では、前期に実施した価格改定の定着を進めるとともに、さらなる生産性の向上に努め、店舗事業は、高付加価値メニューやディナーメニューの強化、ホスピタリティ向上による顧客満足度アップ、利益構造改革を図り、
前期比 増収増益で、売上高は1割強増、利益面は黒字転換を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割前後でそこそこでしたが、利益面は6割を超過しており順調でしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は1.31%(12/13時点) で、東証スタンダードの単純平均2.28%と比較すると低い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株当たり21~24円で推移しており、前年と同じ年もありますが、基本的には増配していましたね。
配当性向は、最終赤字の年を除き、40%台~80%台で推移していました。
また、株主優待があり、毎年3月末に100株以上保有の株主は、1,200円相当(300株以上保有の場合は5,000円相当)の自社商品(ドレッシング等)が進呈され、
また、毎年3月末と9月末の年2回、100株以上保有の株主は、自社通信販売商品が10%割引で購入でき、
100株保有の場合、配当金+株主優待(1,200円相当)で利回りは1.94%となる所は魅力的でしたね。
株価モメンタムは、2022年に入って数回、安値(1,750円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移し、2023年3月に高値(1,905円)をつけました。
しかしその後は調整し、1,800~1,870円程度の狭い範囲での値動きが続いていましたね。
直近では、9/21に高値(1,869円)をつけた後は下落に転じ、10/19と31日に安値(1,795円)をつけましたが、その後は1,810~1,840円のレンジ内で推移し、
今回のPO発表の翌営業日(12/13)は、最初は安く始まりましたが、その後は大陽線で前日比 26円高(+1.42%)と上昇しました。
その後は、5日移動平均線や25日移動平均線の上をキープし、上昇基調を継続するのか、これらを下抜けて下落に転じるのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】ピエトロ(2818)
【PO発表後の株価の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表後は、しばらくヨコヨコの展開でしたが、売出価格等決定日(12/20)以降は下落基調で推移しました。
そして、受渡日は何とか発行価格(1,785円)を割り込まずに底を打ち、その後は再びヨコヨコの展開で推移しています。
要因分析:稲畑産業(8098)
この会社のPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (⭐(最低)~ ⭐⭐⭐⭐⭐(最高)) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
株主還元 (配当、株主優待等) | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
株式の売出数量 | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」
今期(2024年3月期)2Qの業績は、主力の合成樹脂事業が中国における日系自動車向けや、東南アジアにおけるOA・家電関連向けの在庫調整による販売数量減により売上が減少しましたが、
化学品事業、生活産業事業が新規の連結子会社の影響により売上が増加したこと等により、
前年同期比 増収減益で、売上高は1割増、利益面は営業利益は微減ですが、経常利益と純利益は微増~3割増でした。
今期通期予想は、足元の経済環境や事業の状況、為替・金利の見通し等を考慮し、
前期比 増収増益で、売上高は1割弱増、利益面は微増~1割弱増を見込んでいました。
その通期業績予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高は5割程度でそこそこでしたね。
株主還元は、配当利回り(予想)は3.68%(1/5時点) で、東証プライムの単純平均2.22%と比較すると高い水準でした。
直近5年間の配当金は、年間1株当たり48~115円で推移しており、連続増配を継続中のところは魅力的でしたね。
そして、配当性向は、30%前後で安定して推移していました。
また、会社の中期経営計画「NC2023」期間中(2024年3月期まで)の株主還元の基本方針は、非減配で、総還元性向の目安を概ね50%と定めており、この点は安心感がありました。
さらに、株主優待があり、毎年9月末に100株以上保有の株主は、500円相当のオリジナルクオカードが進呈(保有期間、株数によって増加)され、
100株で6か月未満保有の場合、配当金+株主優待(500円分)で利回りは3.84%となっていました。
株価モメンタムは、長い間、右肩上がりの上昇トレンドで推移しており、2023年6月に上場来高値(3,375円)をつけました。
ただその後は、この高値を更新できていませんでした。
直近では、10/24に安値(2,971円)をつけた後は、しばらく3,050~3,200円のレンジ内でもみ合っていたが、2024年に入り直近の高値を更新しました。
その後は、今回の株式の売出しに伴う、短期的な需給悪化懸念による株価の下落が予想され、
10月につけた直近の安値(2,971円)や節目の2,900円を割り込まずに下げ止まり、上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】稲畑産業(8098)
【PO発表後の株価の動き】
PO発表の翌営業日(1/9)は、窓を開けて大きく売り込まれましたが、直近の安値(2,971円)を割り込まずに、その後はヨコヨコで推移しました。
そして、売出価格決定日(1/15)以降は上昇基調で推移し、その1週間後には全ての移動平均線を上抜けています。
まとめ
ダイダン(1980)、ピエトロ(2818)、稲畑産業(8098)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
ダイダン | 中立 | +98 (+7.3) | × |
ピエトロ | 中立 | +33 (+1.8) | 〇 |
稲畑産業 | 中立 | +146 (+4.9) | × |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省です(__)
どの銘柄もPO受渡日から受渡日までで株価は底を打ち、それ以降はPOによる1株利益の希薄化や短期的な需給悪化懸念が解消してきて、株価は上昇または下げ止まりました。
特に、ダイダンは株価の回復が早く、PO発表翌営業日の寄付以降から上昇基調で推移し全く危なげがなかったという印象です。
今後の動向ですが、
ダイダンは、PO発表後以降、上昇基調が継続し直近で年初来高値を更新しており絶好調といったところです。
この勢いで、どこまで上昇するか楽しみです。
ピエトロは、直近はヨコヨコの展開が続いています。
3月末に株主優待の権利取りも控えていますので、配当取りに向けての今後の上昇転換に期待です。
稲畑産業は、株式の売出し比率が多かったのですが、高配当の人気銘柄だけあって、すぐに上昇に転じてきました。
3月末の配当権利取りに向けて、もう一段の上昇が期待できそうです。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。