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【立会外分売は買いか?】ジィ・シィ企画(4073)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから情報・通信業種のジィ・シィ企画です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ8/21(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年8月 22 日(木)
分売数量50,000
(発行済み株式総数 2,506,160 株の約1.99%
分売値段673 円
(8/21決定:終値 693 円)
ディスカウント率2.89 %
(8/21決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:ジィ・シィ企画(4073) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.99%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は201百株、25日平均は179百株(8/16時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(500百株)は、1日の出来高(25日平均:179百株)の約2.8倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

電子マネーの急速な普及に伴い多様化するカード取引に対応するシステムを開発し、

「キャッシュレス決済サービス事業」としてカード会社加盟店や企業への導入及びクラウドによる決済ASP(Application Service Provider)サービスを行っている会社です。

同社の事業は「ペイメントインテグレーション事業」、「ペイメントサービス事業」、「その他事業」の3つのセグメントがあり、それぞれ、

を行っています。

2024年6月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「ペイメントインテグレーション事業」と「ペイメントサービス事業」がほぼ半々となっています。

直近の経営概況

【2024年6月期通期(2023年7月~2024年6月)の経営成績】

(日本基準(非連結):2024年8月14日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社に
帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年6月期
通期実績
1,549
(△2.5)
△273
(赤字幅
拡大)
△297
(赤字幅
拡大)
△773
(赤字幅
拡大)
2024年6月期
通期実績
1,740
(12.3)
58
(黒字
転換)
44
(黒字
転換
)
72
(黒字
転換
)
2025年6月期
通期会社予想
1,907
(9.6)
61
(5.9)
36
(△19.5)
34
(△52.4)
表2:ジィ・シィ企画 2024年6月期通期経営成績と2025年6月期通期会社予想

表2の通り、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は黒字転換で着地しました。

今期(2025年6月期)通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高1割増、利益面は営業利益は1割弱の増益ですが、経常利益と純利益は2~5割強の減益を見込んでいます。

【2024年6月期の状況、経営成績の要因】

同社が属する情報サービス産業においては、少子高齢化・生産年齢人口減少の影響等を受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、

あらゆる産業において、業務効率化や情報セキュリティの強化のためのIT投資意欲は引き続き拡大傾向です。

同社の主要な事業領域であるクレジットカード業界は、個人消費の持ち直しやクレジットカードの利用機会の増加により、クレジットカード業の取扱高は、前年の水準を引き続き上回り推移しています。

このような環境の中、同社はスーパーマーケット・ディスカウントストア等、小売業の新規・既存顧客を中心に、マルチ決済システムの導入、決済端末の販売、新たな決済手段やサービス開始の提案等を引き続き進めるとともに、

マルチ決済端末のサブスクリプションサービス「サクラ」を開始し、マーケットターゲットの拡大を進めています。

また、デジタルペイメントソリューションの世界的大手プロバイダーであるNewland Payment Technology International (Singapore) Pte Ltd.と販売店契約を締結し、

同社の端末販売及びサブスクサービスのラインアップを充実させ、キャッシュレスでの国内シェア拡大を進めています。

さらに、2024年2月に株式会社トランザクション・メディア・ネットワークスと資本業務提携を行いました。

決済事業領域において同社のサービス・機能と組み合わせ、顧客への提案力強化を図るとともに、開発リソースの融通等、効率化を行うことで、事業の拡大を目指しています。

以上の結果、当事業年度の経営成績は、表2の数値の前期比 増収黒字転換となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3です。

「ペイメントインテグレーション事業」とは前期比 増収黒字転換

「ペイメントサービス事業」増収増益

「その他事業」赤字幅縮小(売上高は前期に引き続き0百万円)

となっています。

セグメント売上
[百万円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
ペイメント
インテグレーション
774
(23.0)
82
(黒字
転換)
ペイメント
サービス
965
(5.0)
56
(46.2)
その他
(前期
0百万円)
△80
(赤字幅
縮小
)
表3:2024年6月期通期 セグメント別業績

セグメント別の概況は以下のとおりです。

ペイメントインテグレーション事業

主要取引先からのリプレース大型案件を受注し、機器販売、受託開発ともに、好調に推移しました。

ペイメントサービス事業

決済ASPサービス、保守運用サービスの提供等であり、本事業のストック売上は、フロー収益の案件が納品された後から売上計上されます。

前事業年度で獲得したフロー案件からストック売上に繋がり、堅調に推移しました。

その他事業

主に、ヘルスケアアプリの設計・開発・販売・サービスの提供を行っており、各種イベントに出展、共創パートナーの募集に取り組みました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年6月期末時点で23.5%と前期末(21.7%)から1.8ポイント増加しています。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険水域に近いレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年6月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2023年6月期累計)のフリーCF(3,950百万円の支出)から2,677百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円)

投資活動によるCFの主な内訳(百万円)

【今期(2025年6月期通期)業績の見通し】

今後の我が国経済の見通しは、個人消費やインバウンド需要等によって景気が上向くことが期待されるものの、

国際情勢における地政学リスクの増大や物価上昇、急激な為替変動など、予断を許さない状況が続くものと同社は考えています。

一方で、IT投資意欲については、活発に推移するものと考えています。

このような状況のもと、同社は、キャッシュレス決済サービス取扱ペイメント及び取扱端末を拡充し、マーケットターゲット拡大を進めています。

また、営業アライアンス先を拡充、営業力の強化を図り、継続的な売上となるストック売上の成長に力を注いでいます。

成長戦略である国際ブランド決済ネットワーク接続サービスマルチ決済端末のサブスクリプションサービスについては、引き続き経営資源を投下し、売上確保に努める一方、

固定費を中心としたコスト低減には継続して取り組んでいく方針です。

これらをふまえ、2025年6月期の業績は、表2の数値の前期比 増収増益を見込んでいます。

株価指標と動向

【2024/8/16(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、インテリジェントウェイブ(4847) 15.5倍、GMOフィナンシャルゲート(4051) 51.7倍、スマレジ(4431) 28.8倍と比較すると、高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり0~700円で推移しており、

配当性向は、最終赤字の年を除き、20%台~500%です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年6月期700531
2021年6月期1626.1
2022年6月期10
(最終赤字)
2023年6月期
2024年6月期
表4:ジィ・シィ企画 年間配当金推移

この会社は、

株主への利益還元を重要課題の一つとして認識し、経営基盤、財務体質強化に向けた内部留保の確保に留意しつつ、財務状況及び業績等を総合的に勘案し、継続的に安定した配当を実施することを基本方針としています。

剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2023年12月に上場来安値(478円)をつけるまでは、下落トレンドで推移していましたが、

その後は上昇に転じ、2024年6月に高値(1,391円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

6/10に年初来高値(1,391円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移し、8/5に安値(571円)をつけました。

そしてその後は一旦は上昇に転じましたが、今回の立会外分売と2024年6月期決算発表の翌営業日(8/15)は、分売による需給悪化懸念と決算の内容が好感されず、窓を開けて前日比 82円安(-10.5%)と急落しました。

今後は、直近の安値(571円)を下抜けず上昇に転じるのか、下抜けて下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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