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【立会外分売は買いか?】ゼロ(9028)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから陸運業種のゼロです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大4,000株まで購入できます。

早ければ8/19(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2024 年8月 20 日(火)
分売数量222,500
(発行済み株式総数 17,560,242 株の約1.26%
分売値段1,940 円
(8/19決定:終値 2,000 円)
ディスカウント率3.00 %
(8/19決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量4,000 株
表1:ゼロ(9028) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

2023年9月28日に開示された、IR資料「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」によると、

同社は、2023 年6月末時点において、東証スタンダードの上場維持基準の指標の内、「流通株式比率」の基準が25.0%のところ10.2%この基準を満たしておらず

各種取組みを行い、2025年6月末までに上場維持基準の適合を目指すとしています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.26%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

そして、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は335百株、25日平均は90.5百株(8/9時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

さらに、今回の分売数量(2,225百株)は、1日の出来高(25日平均:90.5百株)の約24.5倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多いといえます。

どんな会社?

1961年に日産自動車の子会社として、日産陸送株式会社が設立。

2001年に日産自動車から独立し株式会社ゼロとして自動車の流通を支える総合サービスプロバイダーとして前進し続けている会社です。

事業内容は、主に新車や中古車の輸送を行っています。

事業セグメントは、「国内自動車関連事業」、「ヒューマンリソース事業」、「一般貨物事業」、「海外関連事業」の4つがあり、それぞれ、

を行っています。

2024年6月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「国内自動車関連事業」が5割弱「海外関連事業」が3割強を占めています。

直近の経営概況

【2024年6月期通期(2023年7月~2024年6月)の経営成績】

(IFRS(国際会計基準:連結):2024年8月8日発表)

決算期売上
収益
[億円]
(前期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
税引前
利益
[百万円]
(同)
親会社の
所有者に
帰属する
当期利益

[百万円]
(同)
2023年6月期
通期実績
1,328
(24.1)
5,074
(29.7)
5,080
(28.7)
3,437
(35.6)
2024年6月期
通期実績
1,407
(5.9)
6,222
(22.6)
6,227
(22.6)
4,150
(20.7)
2025年6月期
通期会社予想
1,350
(△4.1)
8,100
(30.2)
8,100
(30.1)
5,500
(32.5)
表2:ゼロ 2024年6月期通期経営成績と2025年6月期通期会社予想

表2の通り、前期比 増収増益で、売上収益は1割弱増利益面は2割強の増益で着地しました。

今期(2025年6月期)通期の業績予想は、前期比 減収増益で、売上高微減利益面は3割強の増益を見込んでいます。

【2024年6月期の状況、経営成績の要因】

国内の自動車市場は、新車販売台数合計は前連結会計年度比で97.6%(日本自動車工業会統計データ)と減少しました。

2023年の年末より相次いで発生した、一部完成車メーカーでの不正問題による出荷停止の影響を受けています。

中古車登録・販売台数は、上半期までの新車販売の回復に加え、円安によって中古車輸出が旺盛となったことにより、前年同期比で102.3%と増加しました。

これらを背景に、同社は売上収益・営業利益共に、国内自動車関連事業を中心に増収・増益となりました。

この結果、同社グループの業績は、表2の数値の前期比 増収増益となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3です。

主力の「国内自動車関連事業」「ヒューマンリソース事業」前期比 増収増益

「海外関連事業」増収減益

「一般貨物事業」減収減益

となっています。

セグメント売上収益
[億円]
(前期比
増減率
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
国内自動車
関連
637
(9.6)
6,994
(38.2)
ヒューマン
リソース
216
(4.9)
810
(8.0)
一般貨物63.9
(△0.5)
790
(△33.4)
海外関連489
(2.7)
76
(△84.4)
表3:2024年6月期通期 セグメント別業績

セグメント別の概況は以下のとおりです。

国内自動車関連事業

売上収益は、主幹事業である車両輸送事業において、上半期における中古車業界の混乱に加え、下半期においては一部新車メーカーの不正問題による出荷停止の影響を受けながらも、

中古車登録・販売台数の回復に伴って中古車輸送の受託台数が増加したことから、国内自動車関連事業全体でも増収になりました。

コロナ禍が明けたことに伴って乗務員の有効求人倍率が増加している環境下で消費者物価指数や最低賃金の上昇を受けて、採用費及び労務費単価を引き上げていることに加えて、EV化を見据えた輸送機材の投資に伴って車両費が増加しました。

一方で、2024年1月に車両輸送事業において料金改定を行ったことに加え、整備事業における納車前整備点検の台数が増加したこと、

また、建機回送事業において能登半島地震に伴ってレンタル建機会社からの回送依頼が増加し、

加えて株式会社ソウイングを2023年11月に連結子会社化したことにより同社の利益が純増となったことから、セグメント利益は増益となりました。

これらの結果、国内自動車関連事業は表3の前期比 増収増益となりました。

車両輸送事業は、2024年6月期までの中期経営計画で掲げている「デジタル化」「グリーン化」「ニューノーマル」への対応を引き続き進めています。

ヒューマンリソース事業

送迎事業は、新規契約の獲得及びMaaS(Mobility as a service)事業の増車に伴い増収となりました。

人材サービス事業は、ドライバーの派遣人員数が増加したことから増収になり、

空港関連人材事業航空機発着回数が回復したこと及び外国人採用を進めたことによって派遣人員数が増加したことから増収になりました。

セグメント利益は、各事業の増収に伴い増益となりました。

これらの結果、ヒューマンリソース事業は表3の前期比 増収増益となりました。

一般貨物事業

港湾荷役事業は、バイオマス発電所向けの燃料荷役について、新たな発電所向けの荷役を獲得したことから増収になりましたが、

運輸・倉庫事業は、不採算顧客から撤退したことによって減収となり、一般貨物事業全体でも僅かに減収となりました。

セグメント利益は、港湾荷役事業において増収に伴い増益となりましたが、

2024年1月11日に同社川崎複合物流センターにおいて発生した火災に対する損失を計上した結果、一般貨物事業全体で減益となりました。

これらの結果、一般貨物事業は表3の前期比 減収減益となりました。

海外関連事業

中古車輸出事業は、上半期においては円安を背景に日本からの新車輸出が旺盛になったことに伴い自動車運搬専用船の船枠が限られ、マレーシア向けの中古車輸出台数を制限せざるを得ない状況でしたが、

下半期においては、十分に船枠を確保することができたため増収となりました。

また、中国における車両輸送事業は、新規顧客を獲得したことで増収となりました。

一方、CKD事業は、下半期において梱包台数が減少したことから減収となりました。

セグメント利益は、中古車輸出事業と中国における車両輸送事業は増収に伴い増益となりました。

一方、CKD事業は、CKD部品の向け先である顧客がASEAN事業における方針を転換したことに伴い減損テストを実施した結果、

主に足利パーツロジスティクスセンター(倉庫)の使用権資産の減損損失を計上することになったことから、海外関連事業全体で減益となりました。

これらの結果、海外関連事業全体は表3の前期比 増収減益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年6月期末時点で52.6%と前期末(58.9%)から6.3ポイント低下しています。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年6月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2023年6月期累計)のフリーCF(6,611百万円の収入)から41百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円)

投資活動によるCFの主な内訳(百万円)

【今期(2025年6月期通期)業績の見通し】

売上高においてマレーシア向けの中古車輸出は為替の動向も踏まえた上で、現地の需要が一服すると見込んでいます。

営業利益は、車両輸送事業の効率化を推進することに加えて、料金改定の効果が通年寄与することから増益を見込んでいます。

これらを加味した2025年6月期の業績見通しは、売上収益1,350億円営業利益81億円税引前利益81億円親会社の所有者に帰属する当期利益55億円前期比 減収増益を見込んでいます。

【中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)】

今期から3か年の中期経営計画において、下記の経営数値目標を掲げています。

※()内は2024年6月期実績

株価指標と動向

【2024/8/9(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ニッコンホールディングス(9072) 13.3倍と比較すると、低い水準です。

配当利回り5.54%で、東証スタンダードの単純平均 2.59%(8/8時点)と比較すると2倍超の高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり35.6~61.4円で推移しており、

配当性向は、25%で一定です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年6月期35.625.0
2021年6月期54.125.0
2022年6月期37.725.0
2023年6月期5125.0
2024年6月期61.425.0
表4:ゼロ 年間配当金推移

この会社は、

内部留保に留意し事業領域の拡大と企業体質の強化を図りつつ、株主に対する利益還元と利益処分の公明性を持たせるため、配当可能利益の範囲において、以下を基本としています。

基本的 1 株当たり当期利益に応じた、1株当たりの年間配当金は以下のとおりです。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年8月に安値(1,010円)をつけた後は、長期間、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

緩やかな上昇基調で推移していましたが、7月末の日銀政策決定会合後の株価急落時に、他の銘柄と同様大きく下落し、8/5に年初来安値(1,327円)をつけました。

しかし今回の立会外分売発表の翌営業日(8/9)は、2024年6月期決算を好感され、窓を開けて出来高を伴い、前日比 287円高(+17.3%)と急騰し、

これで上場来高値を更新しています。

今後は、この急騰の勢いを保ちさらなる上値追いをしていくのか、勢いが失速し、急騰前の元の値に戻るのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐
(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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