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【立会外分売は買いか?】プログリット(9560)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースからサービス業種のプログリットです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ、10/19(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2023 年 10 月 20 日(金)
分売数量475,000 株
(発行済み株式総数 11,907,492 株の約3.98%
分売値段924 円
(10/19決定:終値 942 円)
ディスカウント率1.91 %
(10/19決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:プログリット(9560) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.98%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の流動性は、直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は2,498百株、25日平均は2,145百株で、流動性はやや高い水準です。

そして、今回の分売数量(4,750百株)は、1日の出来高(25日平均:2,145百株)の約2.2倍で、この銘柄の平均的な出来高からすると分売数量は多くないといえます。

どんな会社?

「世界で自由に活躍できる人を増やす。」をミッションに掲げ、本質的な英語学習体験を提供している会社です。

具体的には、「英語コーチングサービス」と「サブスクリプション型英語学習サービス」を提供しており、それぞれ、

を行っています。

同社は、英語コーチング事業の単一セグメントで、

2023年8月期のサービス別売上高構成比は、

となっており、「英語コーチングサービス」が7割を占めています。

直近の経営概況

【2023年8月期通期(2022年9月~2023年8月)の経営成績】

(2023年10月12日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2022年8月期
通期実績
2,252
(13.7)
326
(黒字
転換)
320
(黒字
転換)
187
(黒字
転換)
2023年8月期
通期実績
3,023
(34.2)
497
(52.5)
492
(53.6)
360
(92.9)
2024年8月期
通期会社予想
3,800
(25.7)
610
(22.7)
610
(23.7)
440
(21.9)
表2:プログリット 2023年8月期通期経営成績と2024年8月期通期会社予想

表2の通り、前期比 増収増益で、売上高は3割強増利益面は5割強~9割強の増益で着地しました。

今期(2024年8月期)通期の業績前期比 増収増益で、売上高は3割弱増利益面は2割強の増益を予想しています。

【2023年8月期通期の状況、経営成績の要因】

当事業年度における同社を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同等の「5類」に移行し、対面を含む英語学習需要の回復傾向が見られました。

また、2022年10月からは新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和を受け訪日外客数も徐々に増え始めるなど、国際間の移動の再開も確認されています。

このことから、企業における海外転勤や個人の海外渡航への意欲が回復傾向にあるものと見ています。

さらに、国内市場の縮小や少子高齢化への懸念を持つ企業の海外市場への進出、グローバル人材の確保といった中長期的視点での英語学習への意欲は依然として高く

期待した成果を上げられていなかった従来型の英会話サービスから英語コーチングサービスへの乗り換えの動きも散見されるようになりました。

このような動きに対応する形で、従来型の英会話サービス提供会社が英語コーチングサービスを展開する等、着実に英語コーチング市場が拡大しているものと見ています。

また、個人での英語学習だけでなく、従業員育成・福利厚生の一環として英語学習の導入を検討する企業のニーズも存在することから、中長期的に英語学習市場全体が堅調に推移していくものと考えています。

このような環境の中、英語コーチングサービス「プログリット」において、集中学習によって飛躍的に英語力を向上させるために、

  1. 顧客ごとにカスタマイズしたカリキュラムの設計
  2. 英語学習を継続させる習慣を身につけるためのコンサルタントによるサポート

という主に2つの特徴において、継続的な品質向上と改善に取り組んでいます。

当事業年度においては、2022年9月29日に東京証券取引所グロース市場への上場後積極的に取り組んだメディア対応等を通じた知名度向上により、特に個人顧客の予約数・契約数は増加傾向です。

また、サブスクリプション型の英語学習サービスである「シャドテン」はYouTuberとのタイアップ動画等の効果的なプロモーションによる申込数の増加、学習コンテンツの拡充やアプリの顧客体験改善等による平均継続期間の増加等により、

有料課金ユーザーは増加の一途を辿っており同社の収益基盤として順調に成長しています。

以上の結果、2023年8月期の経営成績は表2のとおり増収増益となりました。

また、サービス別の売上高は、「英語コーチングサービス」は2,092百万円(前期比 18.6%増「サブスクリプション型英語学習サービス」は931百万円(同90.9%増となっており、「サブスクリプション型英語学習サービス」の伸びが大きくなっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年8月期末時点で41.5%と前期末(27.0%)から14.5ポイント増加しています。

これは主に、利益剰余金が前期末比で360百万円増加し、株主資本が合計で683百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年8月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年7月期)通期のフリーCF(507百万円の収入)から272百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2024年8月期通期)業績の見通し】

2020年より猛威をふるっていた新型コロナウイルス感染症の影響は収束傾向にあり、現状では特に人々の行動制限を設けない方針であることから、

同社が現在主力事業領域としている成人向け外国語教室市場規模は回復が続いていくことを予想しています。

また、ビジネスで人を動かすための熱量を自らの言葉で直接伝えることの重要性が失われることは当面なく、ビジネスシーンを意図した英語学習へのニーズは今後も堅調に推移するものと同社は考えています。

従業員育成・福利厚生の一環として英語学習の導入を検討する企業のニーズも存在することから、法人企業のニーズを的確に捉えた法人向けの「プログリット(PROGRIT)」の導入拡大を推進しており、前事業年度対比で増加しています。

さらには、高単価な短期集中の英語コーチングサービスでのシェア拡大を目指すとともに、ターゲット顧客層の拡大及び既存顧客の顧客生涯価値の最大化のために、中低価格帯のサービスにも事業を拡大しています。

2024年8月期においては、「シャドテン」に加え新たに2つのサブスクリプション型英語学習サービスの提供開始を予定しており、より幅広い英語学習者層への認知拡大と、顧客生涯価値の向上を目指しています。

上記より、2024年8月期の見通しは、売上高3,800百万円(前事業年度比25.7%増営業利益610百万円(同22.7%増経常利益610百万円(同23.7%増当期純利益は440百万円(同21.9%増増収増益を見込んでいます。

株価指標と動向

【2023/10/13(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、レアジョブ(6096) 13.8倍、アルー(7043) 14.8倍と比較すると高い水準です。

表3のように、直近の配当金は上場来無配が継続しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2020年8月期
2021年8月期
2022年8月期
2023年8月期
表3:プログリット 年間配当金推移

この会社は、

現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指しています。

そのため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来配当は実施していません

しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当は、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを図りながら検討していくとしています。

内部留保資金は、今後の事業戦略に応じて、新規顧客獲得のための広告宣伝活動採用に伴う人件費等に充当する方針です。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年9月に上場後、同年の年末に上場来安値(221.7円:※3)をつけた後は、右肩上がりの急上昇し、2023年6月に上場来高値(2,500円:※3)をつけました。

しかしその後は急下降し、直近では1000円前後のヨコヨコで推移しています。

※3:2023年7月1日に1/3の株式分割を考慮した株価

<日足チャート(直近3か月間)>

7/14に高値(1,212円)をつけたあとは下落し、8/2に安値(888円)をつけ、その後は1,000円前後のほぼヨコヨコで推移しています。

そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(10/13)は、立会外分売による需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い前日比 90円安(-8.53%)と急落しました。

今後は、8月につけた直近の安値(888円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐
(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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