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【立会外分売は買いか?】三協フロンテア(9639)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種の三協フロンテアです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ11/29(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年 11 月 30 日(木)
分売数量40,000 株
(発行済み株式総数 11,678,400 株の約0.34%
分売値段3,740 円
(11/29決定:終値 3,835 円
ディスカウント率2.48 %
(11/29決定
申込単位数量100 株
申込上限数量1,000 株
表1:三協フロンテア 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.34%少ない数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

2023年6月30日に開示された、IR資料「上場維持基準の適合に向けた計画書」によると、同社は東証スタンダードの上場維持基準のうち、2023年3月31日現在で「流通株式比率」が基準25.0%のところ24.7%で0.3%足りておらず

この基準を充足させるため、今回の立会外分売を実施する目論見です。

今回の分売株数は、発行済み株式総数の約0.34%ですので、この分売で流通株式比率の基準を満たす見込みです。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は60.2百株、25日平均は35.9百株(11/27時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(400百株)は、1日の出来高(25日平均)の約11倍となっており、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はやや多めといえます。

どんな会社?

創業当時から受け継がれてきた「フロンテア・スピリッツ(開拓の精神)」に基づき、常に社会のために何ができるかを考え、

オリジナルの自社製品によって社会に貢献することを基本理念とし、事業活動そのもので、社会に貢献するビジネスを展開している会社です。

事業内容は、ユニットハウス及び立体駐車装置等の製造・販売・レンタルの事業を主に行っています。

事業セグメントは、「ユニットハウス事業」と「その他」があり、それぞれ、

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、ほぼ「ユニットハウス事業」が占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期2Q(2023年4月~9月)の経営成績】

(2023年11月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2023年3月期
2Q累計
238
(△6.8)
2,544
(△51.5)
2,695
(△50.7)
1,569
(△52.1)
2024年3月期
2Q累計
241
(1.4)
3,391
(33.3)
3,477
(29.0)
2,063
(31.5)
2024年3月期
通期会社予想
530
(6.0)
7,600
(15.4)
7,600
(10.3)
4,800
(10.7)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
45.544.645.742.9
表2:三協フロンテア 2024年3月期2Q経営成績と2024年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は微増利益面は3割前後の増益でした。

2024年3月期通期の業績は、前期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は1割強の増益を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高、利益面ともに4~5割でそこそこです。

【2024年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

建設業界は、政府投資、民間投資、ともに堅調な見通しではあるものの、2024年問題への対応など、今後の影響が懸念される状況となっています。

このような情勢のなか、同社グループは、既存店舗のリニューアルやレンタルスペースなどの新規店舗を積極的にオープンさせるなど、計画に沿って店舗網を充実させており、

ホームページへの問い合わせを含めて顧客からの需要は堅調に推移しています。

また、原価低減活動を推進し利益向上に努め、体制の強化に取り組んでいます。

これらの結果、当2Q連結累計期間のユニットハウス事業の売上高は、240億円(前年同期比1.4%増その他の事業の売上高は149百万円(同4.5%減となり、

合計した当2Q連結累計期間の売上高241億円(同1.4%増となりました。

利益面は、営業利益3,391百万円(同33.3%増経常利益3,477百万円(同29.0%増親会社株主に帰属する四半期純利益2,063百万円(同31.5%増となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期2Q末時点で65.9%と前期末(67.6%)から1.7ポイント低下しました。

これは主に、それぞれ前期末比で、

したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2024年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2: フリーCFの説明

前期(2023年3月期2Q累計)のフリーCF(533百万円の支出)から3,048百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2024年3月期通期)業績予想】

今後の我が国経済は、引き続き、資源や原材料の価格は上振れリスクが懸念されるため、原価低減、経費抑制を推進し利益確保に努めていく方針です。

同社グループは、安定した製品の供給、製品品質の向上に取り組むとともに、幅広い客層の獲得を目指し

引き続き展示販売場及びトランクルーム店舗を計画的に出店して店舗網の整備を図っていく計画です。

これらにより、連結業績予想は、表2の数値の増収増益を見込んでいます。

なお、今2Q決算発表時点では、2023年5月15日の決算短信で公表された2024年3月期の連結業績予想の変更はありません

株価指標と動向

【2023/11/27(月)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ナガワ(9663) 27.6倍、東海リース(9761) 17.7倍と比較すると低い水準です。

配当利回りは4.08%で、東証スタンダードの単純平均2.28%(11/27時点) と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり100~160円で推移しており、2022年3月期までは増配していましたが、2023年3月期は減配しています。

配当性向は、20%台~30%台で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期10029.0
2020年3月期12028.6
2021年3月期13028.2
2022年3月期16028.0
2023年3月期15539.7
表3:三協フロンテア 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を重要な経営課題として位置付けており、長期的な観点から安定的な配当の継続を図ることを重視しています。

また、コスト競争力の維持強化を図るための投資及び財務体質強化のため、内部留保を充実することを基本の考えとしています。

同社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末100株以上保有の株主抽選で以下のチケットが進呈されます。

柏市のお近くにお住まいの方は、うれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2022年1月に高値(5,310円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、2023年1月に安値(3,080円)をつけました。

しかしその後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

8/28に高値(4,300円)をつけた後は、しばらくヨコヨコで推移していましたが、

10月に入り急落し、10/4に安値(3,720円)をつけました。

しかしその後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しています。

そして、今回の立会外分売発表の翌営業日(11/22)は、それほど反応はなく、前日比 10円高(+0.25%)で終了しました。

今後は、直近の安値(3,720円)を割り込まず上昇基調をキープするのか、割り込んで下落基調に転じるのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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