きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】トヨクモ(4058)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから情報・通信業種のトヨクモです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ11/20(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2023 年 11 月 21 日(火)
分売数量384,100
(発行済み株式総数 10,996,000株の約3.49%
分売値段1,272 円
(11/20決定:終値 1,311円)
ディスカウント率2.97 %
(11/20決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:トヨクモ 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.49%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,059百株、25日平均は336百株(11/15時点)で、流動性はやや低い水準です。

そして、今回の分売数量(3,841百株)は、1日の出来高(25日平均:336百株)の約11倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はやや多めといえます。

どんな会社?

クラウドを使ったテクノロジーとアイデアで、すべての人を非効率な仕事から解放する、そんな製品をつくり続けている会社です。

事業内容は、ビジネス向けのクラウドサービス企業として、 「安否確認サービス」「サイボウズkintoneに連携するサービス」「スケジューラー」の提供を行なっています。

具体的なサービス内容は、以下のとおりです。

同社は、「法人向けクラウドサービス事業」の単一のセグメントです。

直近の経営概況

【2023年12月期3Q(2023年1月~9月)の経営成績】

(2023年11月13日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年同期比
増減率
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年12月期
3Q累計 ※2
1,404
(ー)
523
(40.0)
522
(38.7)
360
(37.9)
2023年12月期
3Q累計
1,764
(25.7)
663
(26.8)
663
(27.0)
459
(27.6)
2023年12月期
通期会社予想
(2023年11月13日
修正)
2,430
(25.4)
840
(31.4)
840
(31.5)
580
(35.8)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
72.578.978.979.1
表2:トヨクモ 2023年12月期3Q経営成績と2023年12月期通期予想
※2:「収益認識に関する会計基準」等を2022年12月期の期首から適用しているため、2022年12月期3Qの売上高は対前年同四半期増減率を記載なし。

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高、利益面ともに3割弱増でした。

2023年12月期通期の業績予想は、今3Q決算発表と同時に上方修正しており、前期比 増収増益売上高は3割弱増利益面は3~4割の増益を予想しています。

通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高は、利益面ともに3/4程度でそこそこです。

【2023年12月期3Qの状況、経営成績の要因】

今3Q累計では、契約数が順調に積み上がり売上⾼は前年同期⽐ 25.7%増、堅調に増収、増益を達成しました。

3Qのみでは、契約数が順調に積み上がり売上⾼は同25.1%増。昨年以上に広告費、⼈件費へ投資し、販管費が増加するも、昨年程度の利益で着地しています。

直前四半期(2023年12月期2Q)比較では、売上⾼は直前四半期⽐ 5.8%増加し、広告宣伝費への集中投資により、利益は直前四半期と⽐較して減少しています。

ただ、3Qのこの投資は計画通りの進捗となっています。

以上の結果、表2の数値の前期比 増収増益となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年12月期3Q末時点で66.7%と前期末(62.7%)から4.0ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で389百万円増加し、株主資本が合計で434百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2023年12月期通期)業績の見通し】

今3Q決算発表と同時に、2023年12月期通期業績予想の上方修正を発表しています。

2023年12月期通期の業績予想は表3です。

売上高
[百万円]
営業
利益
[百万円]
経常
利益
[百万円]
親会社
株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回
(2023/2/13)
発表予想
2,33072072049046.26
今回修正予想2,43084084058054.76
増減額10012012090
増減率[%]4.316.716.719.0
表3:トヨクモ 2023年12月期通期業績予想数値の修正(2023年11月13日発表)

前回予想と比べ、売上高は微増利益面は2割弱の増額修正をしています。

修正の理由は、

としています。

配当金予想に関しては、変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2023/11/15(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、チームスピリット(4397) 0倍、Chatwork(4448) 0倍、サイボウズ(4776) 49.7倍と比較すると、低い水準です。

配当利回りは0.75%で、東証グロースの単純平均 0.50%(11/15)と比較するとやや高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり0~7円で推移しており、2021年12月期に初配した後は、連続増配を継続中です。

配当性向は、20%弱程度で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年12月期
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期17.7
2022年12月期16.6
表4:トヨクモ 年間配当金推移

この会社は、

株主への利益還元を重要な経営課題のひとつとして認識しています。

また、財務体質の強化及び事業競争力を確保するため、将来の事業拡大に必要な内部留保を確保しつつ、配当を実施することとしています。

配当方針は、期末当期純利益の20%程度の配当性向を基準として、株主への継続的な利益還元を実施する方針としています。

また、同社の業績や取り巻く環境及び財政状態や将来の事業展開等を総合的に勘案し、適宜見直しを行っています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2021年11月に高値(2,650円)をつけた後は、右肩下がりの下落トレンドで推移し、2023年1月に安値(1,071円)をつけました。

しかしその後は、高値を切り上げながら推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

8/30に高値(1,663円)をつけた後は、下落基調で推移し、10/4に安値(1,300円)をつけました。

その後は、ヨコヨコから一旦は上昇に転じましたが続かず、

今回の立会外分売と今3Q決算発表、そして通期業績の上方修正発表の翌営業日(11/14)は、立会外分売による需給悪化を嫌気されたのか、出来高を伴い前日比 141円安(-9.44%)と急落しました。

今後は、10月につけた直近の安値(1,300円)1月につけた年初来安値(1,071円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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