きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】名糖産業(2207)

チョコレート

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから食料品業種の名糖産業です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大8,000株まで購入できます。

早ければ5/19(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023年5月22日(月)
分売数量250,000
(発行済み株式総数 3,975,300 株の約1.44%
分売値段1,563 円
(5/19決定)
ディスカウント率2.98 %
(5/19決定:終値 1,611 円)
申込単位数量100 株
申込上限数量8,000 株
表1:名糖産業(2207) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.44%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は124百株、25日平均は106百株(5/12時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(2,500百株)は、1日の出来高(25日平均:106百株)の約24倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

1945年2月、主に家庭用の薬品を製造販売する会社からスタート

その後、製菓部門を持ち、チョコレート、粉末飲料などを手掛け、現在は化成品、食品に不動産を加えた3つの事業を柱としている会社です。

創立75周年を迎えた2020年度に企業価値向上を目指し、チャレンジ&チェンジをスローガンとした中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2023」をスタート。

この計画では、加速度的に変化する経理環境の中で、これまで「堅実」を持ち味とした経営から、新たに「挑戦と変化」を求める組織文化を生みだしブランド価値の向上や高品質・高付加価値商品を創り出すことを目指しています。

各事業セグメントでは、それぞれ、

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、食品事業が9割弱を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の経営成績】

(2023年5月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年3月期
通期実績 ※2
211
(ー)
350
(△13.2)
1,233
(△9.0)
1,816
(77.4)
2023年3月期
通期実績
227
(7.5)
95
(△72.8)
1,132
(△8.2)
700
(△61.4)
2024年3月期
通期会社予想
233
(2.5)
100
(5.2)
1,200
(5.9)
800
(14.1)
表2:名糖産業 2023年3月期経営成績と2024年3月期会社予想
※2:前連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、この結果、2022年3月期の売上高は前年同期と比較すると大きく減少しているため、比較可能性の観点から売上高の増減率の記載は省略

表2の通り、前期比 増収減益で、売上高は1割弱増利益面は1割弱~7割強の減益で着地しました。

今期(2024年3月期)の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は1割前後の増益を予想しています。

【2023年3月期の概況、経営成績の要因】

同社グループの中核事業の一つである菓子・食品の市場は、エネルギー・原材料価格の高騰や円安などに起因する各種商品の値上げが続き、消費者の節約志向が一段と高まるなど、企業にとって厳しい経営環境が続きました。

こうした情勢のもと、同社グループは、感染症対策に万全を期す中で、商品の安全性確保と品質の向上に引き続き注力しつつ、

おいしさ・たのしさ・健康を追求した高付加価値商品の提供に努めるとともに、テレビCMやSNSプロモーション、増量企画などの販売促進策によるブランド強化に取り組みました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比7.5%増の227億円となりました。

営業利益は、原材料価格やエネルギーコストの高騰などにより、72.8%減の95百万円となりました。

また、経常利益は、受取配当金や投資有価証券売却益が増加しましたが、営業利益が減少したことなどにより、8.2%減の1,132百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益130百万円を、特別損失に投資有価証券評価損106百万円や減損損失98百万円などを計上した結果、61.4%減の700百万円となりました。

【セグメント別の状況】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「食品事業」と「化成品事業」前期比 増収減益

「不動産事業」は減収減益でした。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
増減率[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
食品194
(7.5)
263
(△41.6)
化成品30.0
(8.4)
436
(△20.8)
不動産2.8
(△1.4)
101
(△7.3)
表3:2023年3月期通期 セグメント別業績

各セグメント別の状況は以下です。

食品事業

原材料価格やエネルギーコストの高騰などの厳しい経営環境により、食品事業では一部商品の内容量の変更などを実施しましたが、

主力の菓子部門は、テレビCMやSNSプロモーション、増量企画などの販売促進活動に取り組み増収となりました。

チョコレート類は、「アルファベットチョコレート」などのファミリーサイズ(大袋)の商品や「ぷくぷくたい」などのポケットサイズ(個食)の商品も好調に推移したことに加え、受託商品の売上も伸長したことにより増収となりました。

また、キャンディ類は、4Qに売上が大きく伸びて、自社商品・受託商品ともに増収となりました。

そのほか、連結子会社の株式会社エースベーカリーは、主力のバウムクーヘン類やゼリー類が順調に売上を伸ばしたことにより増収となりました。

粉末飲料部門は、テレビCMやプレゼントキャンペーン、増量企画などの販売施策を実施した結果、分包アソートタイプの「スティックメイト」シリーズや「香り高いミルクココア」などの売上が伸びて増収となりました。

主として九州地区で製造・販売している冷菓部門は、一部商品の内容量の変更や価格改定を行いましたが、テレビCMなどの広告宣伝活動を展開し、自社商品・受託商品ともに売上が拡大して増収となりました。

これらの結果、食品事業の売上高は前連結会計年度比7.5%増の194億円となりました。

営業利益は、売上高の拡大や一部商品の内容量の変更などによる利益改善に努めましたが、原材料価格やエネルギーコストの高騰などにより41.6%減の263百万円となりました。

化成品事業

酵素部門は、海外を主な市場としており、円安の追い風を受けるなかで積極的な営業活動を展開した結果、

チーズ用凝乳酵素「レンネット」・脂肪分解酵素「リパーゼ」ともに海外市場を中心に売上を拡大したことにより増収となりました。

薬品部門は、医薬品、X線フィルムなどの原料用の「デキストラン」は売上を落としましたが、

乳癌転移検出用医療機器で使用される「デキストランマグネタイト」の売上が大きく伸びて増収となりました。

これらの結果、化成品事業の売上高は前連結会計年度比8.4%増の30.0億円となりましたが、

営業利益は、エネルギーコストや輸出運賃の高騰などにより同20.8%減の436百万円となりました。

不動産事業

賃貸事務所を2021年7月に売却しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期末時点で63.5%と前期末(63.1%)から0.4ポイント増加しています。

これは主に、長期借入金が前期末比で765百万円減少し、

固定負債が合計で514百万円減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※3 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期累計)のフリーCF(2,102百万円の収入)から980百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円)

投資活動によるCFの主な内訳(百万円)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

同社グループの関連事業は、更なる原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇が続き、

また、人口減少や高齢化に伴う国内市場の縮小や消費者の根強い低価格志向による販売競争の激化、人件費や物流費の上昇など、今後も厳しい経営環境が続くものと予想しています。

このような状況下で、同社グループは、2020年度からスタートした中期経営計画の実現に向けて、成長戦略に掲げる①売上・利益拡大、②ブランド強化、③工場の生産性・品質の向上、④組織・人事活性化、⑤M&A等による事業拡張に取り組んでいく予定です。

以上により、2024年3月期の見通しは、売上高は233億円(前連結会計年度比2.5%増、原材料価格やエネルギーコストの更なる高騰が予想されますが、一部商品の内容量変更や価格改定を予定していることなどにより、

営業利益は100百万円(同5.2%増経常利益は1,200百万円(同5.9%増親会社株主に帰属する当期純利益は800百万円(同14.1%増を見込んでいます。

セグメント別の売上高の見通しは、食品事業は200億円(前連結会計年度比2.9%増化成品事業は30億円(同0.3%減不動産事業は3.0億円(同6.2%増を見込んでいます。

株価指標と動向

【2023/5/12(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ブルボン(2208) 23.2倍、中村屋(2204) 105倍、井村屋グループ(2209) 16.7倍と比較すると、中間的な水準です。

配当金の利回り(予想)は1.49%で、東証プライムの単純平均 2.31%(5/12時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり20~26円で推移しており、前期と同額の年もありますが、基本的には増配しています。

配当性向は、20%台~60%台で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期2060.3
2020年3月期2261.1
2021年3月期2439.6
2022年3月期2624.2
2023年3月期2662.7
表4:名糖産業 年間配当金推移

この会社は、

将来の経営基盤強化に向けた内部留保を図りつつ、株主に対しては安定的な配当を維持継続することを基本方針とし、さらに会社業績などに応じて増配を実施しています。

このほか、有効な利益還元策として、自己株式の取得や消却などの財務諸施策を状況に応じて機動的に実施するとしています。

内部留保金は長期間にわたる研究開発投資や製造設備投資に充当し、今後の事業拡大に活用しています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、同社商品または同社グループ会社商品を下記のとおり進呈されます。

毎年9月末

100株以上保有で1,500円相当の商品

(1,000株以上:3,000円相当、5,000株以上:5,000円相当)

毎年3月末

200株以上保有で、2,000円相当の商品

200株保有の場合、配当金+株主優待(1,500円+2,000円=3,500円相当)で利回りは2.49%になります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

週足ベースの株価は、2021年9月に高値(1,827円)をつけた後は調整し、

1,550~1,750円のレンジ内で推移しています、

<日足チャート(直近3か月間)>

直近の株価は、3月末に安値(1,618円)をつけた後は上昇基調で推移しており、

現時点(5/12)では、全ての移動平均線の上に位置しています。

今後は、この上昇基調を維持して、5/10につけた年初来高値(1,749円)を上抜けるのか、立会外分売による需給悪化を懸念され下落に転じるのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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