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【立会外分売は買いか?】アシードホールディングス(9959)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから小売業種のアシードホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

早ければ7/18(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023年7月19日(水)
分売数量200,000
(発行済み株式総数 13,495,248 株の約1.48%
分売値段569 円
(7/18決定:終値 586 円)
ディスカウント率2.90 %
(7/18決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:アシードホールディングス(9959) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.48%ほどほどの数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は30.2百株、25日平均は20.5百株(7/12時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(2,000百株)は、1日の出来高(25日平均:20.5百株)の約97倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

自販機運営リテイル、飲料製造、不動産運用を主な事業としている会社です。

事業内容は、それぞれ、

を行っています。

2023年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「自販機運営リテイル事業」が6割を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の経営成績】

(2023年5月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
(同)
2022年3月期
通期実績 ※2
192
(ー)
647
(ー)
903
(ー)
178
(ー)
2023年3月期
通期実績
212
(10.1)
675
(4.3)
926
(2.5)
602
(237)
2024年3月期
通期会社予想
225
(6.0)
750
(11.1)
1,000
(7.9)
650
(7.9)
表2:アシードホールディングス 2023年3月期通期経営成績と2024年3月期通期予想
※2:「収益認識に関する会計基準」等を2022年3月期の期首から適用しており、2022年3月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前期増減率は記載なし。

表2の通り、前期比 増収増益で、売上高は1割増利益面は微増~3.3倍の増益の結果で着地しました。

今期(2024年3月期)通期の業績前期比 増収増益で、売上高は1割弱増利益面は1割前後の増益を予想しています。

【2023年3月期通期の状況、経営成績の要因】

当連結会計年度におけるわが国経済は、エネルギーや原材料価格の上昇・高止まりの影響を受け、多くの商品の値上げが実施されたものの、

新型コロナ感染者の減少を受けた規制緩和コロナ禍の自粛で大幅に増加した貯蓄に支えられ、個人消費は回復基調を示しています。

この結果、表2の経営成績となっています。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に増加したのは、前期に計上した自販機等リース資産やのれんの減損損失が減少したためです。

【セグメント別の業績】

各セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「自販機運営リテイル」は増収黒字転換

「飲料製造」と「不動産運用」は増収減益

「その他」は増収赤字転落となりました。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)
自販機運営
リテイル
128
(3.6)
112
(前期
△54百万円)
飲料製造80.1
(21.8)
853
(△2.2)
不動産運用1.3
(1.2)
204
(△0.6)
その他2.3
(38.5)
△2
(前期
3百万円)
表3:2023年3月期通期 セグメント別業績

各セグメント別の状況は以下になっています。

自販機運営リテイル事業

生産・物流コストの高騰に対して生産性の向上を図ると共に、商品価格の改定を実施し、収益性の改善に取り組みました。

また、3月には国産果実のおいしさ届ける「アシードアスター 有田みかんのチューハイ」と、ワイン用ブドウ品種の果汁で作る「女王のノンアル スパークリングテイスト」を新発売し好評です。

加えてグループ一体で価値向上に取り組むアシードブランドの商品開発が認められ、「アシードアスター 沖縄シークヮーサーのチューハイ」が第61回ジャパン・フード・セレクションのグランプリを受賞しました。

飲料製造事業

昨年発表し準備を進めていた宝積飲料株式会社志和工場の製造設備更新が1月に完了し、アシードグループの西の製造拠点として缶・ビン炭酸飲料の製造能力を増強しました。

また、アシードブリュー株式会社宇都宮飲料工場では全体の照明の60%をLEDへ移行するなど、サステナビリティへの取組みを着実に推進しています。

不動産運用事業

同社及びアオンズエステート株式会社を中心に所有不動産の運用を行っています。

その他事業

国内消費の回復を受け、ロジックイノベーション株式会社の物流部門への引き合い増加に対応するとともに、グループ内各社の物流の課題への取組み強化を図っています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期末時点で33.9%と前期末(33.8%)から0.1ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で435百万円増加し、株主資本が合計で445百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としてはまだ問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※3 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期)通期のフリーCF(441百万円の収入)から983百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

4月より静岡ローストシステム株式会社とマルサン萩間茶株式会社がグループ入りしたことで、同社グループは9社の連結子会社、1社の持分法適用関連会社の体制となりました。

グループ各社が得意分野を伸ばすとともに、相互のシナジー効果を高めブランド価値の創造と生産性の向上適正な価格設定に取り組む計画です。

このような取組方針のもと、今年度(2024年3月期)の連結業績見通しは、売上高225億円営業利益750百万円経常利益1,000百万円親会社株主に帰属する当期純利益650百万円増収増益を予想しています。

株価指標と動向

【2023/7/12(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ダイドーグループHD(2590) 31.4倍、オノエンホールディングス(2533) 17.9倍と比較すると、低い水準です。

配当利回りは2.68%で、東証スタンダードの単純平均2.20%(7/11時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~16円で推移しており、

2020年3月期から2022年3月期まで3年間は同額ですが、その他の年は増配してます。

配当性向は、20%台~80%台で推移し上下の差があります

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期1024.7
2020年3月期1242.0
2021年3月期1248.8
2022年3月期1281.9
2023年3月期16
(内、記念配当
2円)
31.3
表4:アシードホールディングス 年間配当金推移

この会社は、

株主への利益還元を重要な経営課題と認識したうえで、事業の継続的な成長や資本効率の改善等による株主価値の向上に努めるとともに、

配当性向水準は30%程度を目標として継続的に実施していくことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末に100株以上保有の株主は、クオカード500円相当が進呈されます。

(500株以上:1,000円相当、1,000株以上:2,000円相当、2,000株以上:3,000円相当)

100株保有の場合、配当金+株主優待(500円相当)で利回りは3.51%になります。

個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2021年8月に安値(483円)をつけた後は、緩やかながら上昇トレンドで推移しています。

ただ、2023年4月に急騰してつけた高値(660円)をつけた後は、この高値を更新していません

<日足チャート(直近3か月間)>

4/19に急騰し年初来高値(660円)をつけた後、翌営業日に行ってこいとなり結局元の値に戻っています

しかし、その後は順調に株価を戻しており、上昇基調で推移しています。

そして、今回の立会外分売の発表の翌営業日(7/12)は、下落はしたものの大きくは下がらず、前日比 2円安(-0.33%)で終了し終値ベースでは5日移動平均線(緑線)を割り込んでいません

今後は、5日移動平均線を割り込まず、上昇基調を継続するのか、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)を割り込んで、下落基調に転換するのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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