こんにちは!
直近で公募増資・売出(以下、PO)を実施した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益は出たのか?
受渡期日当日と1週間後の結果を検証しました。
今回は、受渡期日が2023年10月の大和証券リビング、11月のNTT都市開発リート、投資法人みらいです。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです💖
発行価格とその後の投資口価格推移
まずは、発行価格で買って1週間(5営業日)後まで保有した場合、含み益なのか含み損なのか?確認していきましょう!
※売買手数料は考慮していません。
受渡期日の寄付又は大引けと1週間(5営業日)後の結果は、
全ての銘柄は全ての段階で損益プラスでした。
特に、大和証券リビングは受渡日の1週間後(5営業日後)の寄付で売却した場合は、9.2%の利益が出ています。
POで購入し、利益が出た方おめでとうございます!
ちなみに私は購入なしでした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
それでは個別に見ていきましょう!
要因分析:大和証券リビング(8986)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表2のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
「すべての人の生活・暮らしを支える」ために快適な居住空間を総合的に提供し、住居又はヘルスケア施設(高齢者を入居・利用の対象とした介護施設及び居住施設)に対して投資を行っているJ-REITとして、
ワンルームタイプ及びファミリータイプの2つの賃貸住宅カテゴリーの中から安定収益を生み出すと考える不動産を選別投資し、
東京都23区及び3大都市圏を中心に、その他の地域にも存在する賃貸住宅の底堅い需要を取り込み、収益機会を獲得し、特定エリアに集中投資するリスクを低減するため、全国に分散投資しており、安定性がありました。
前々期(2023年3月期)の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益、利益面ともに微増で着地していました。
前期(2023年9月期)は、前期比 増収増益で、営業収益は1割弱増、利益面は1割強の増益で着実な成長を見込んでおり、
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年3月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は1割、利益面は2割前後の増額修正をしました。
今回の公募増資による新規取得資産は取得金額で約9.2%の増加率からすると、営業収益の増額は今回の資産取得にほぼほぼ見合っていましたが、利益面は資産取得以上の増額といえました。
分配金の利回り(予想) 4.26%(10/3時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.25%(10/2時点)と比較して高い水準で、J-REITの平均予想利回りと比べても高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり2,160円~2,230円で推移しており、2022年3月期と同年9月は同額でしたが、それ以降は増配していました。
今回の増資後の2024年3月期の分配金は前回予想から1口当たり100円増で、前期(2023年9月期)比で70円増、次期の2024年9月期は同変わらずの予想でした。
また、投資主優待があり、9月末と3月末の年2回、1口以上保有の場合、(株)アズパートナーズが運営している施設の入居一時金20万円割引、月額利用料に含まれる管理費2か月分の割引や体験入居無料(3泊4日)など、様々なヘルスケア施設の優待があり、魅力的でしたね。
投資口価格モメンタムは、2022年1月に安値(101,800円)をつけた後は上昇に転じ、同年8月に高値(126,600円)をつけましたが、その後は調整しており、105,000~120,000円のレンジ内で推移していました。
直近の投資口価格は、7/27に高値(117,200円)をつけた後は調整しており、108,000~116,000円のレンジ内で推移し、
今回のPO発表の翌営業日(10/3)は、1口当たり利益の希薄化懸念により、窓を開けて出来高を伴い、前日比 2,400円(-2.18%)と売られ、8月の直近の安値(108,300円)を割り込んでいました。
PO発表後は、3月につけた年初来安値(106,000円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】大和証券リビング投資法人(8986) <2023年10月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表以降、発行価格等決定日(10/5)までは下落しましたが、
その後はPOによる1口当たり利益の希薄化懸念が後退してきたことと、日経平均が底値からの上昇転換したタイミングも重なり、上昇に転じました。
要因分析:NTT都市開発リート(8956)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表3のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐ (中立) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
NTTグループ唯一の総合不動産会社であるNTT都市開発による包括的なサポートを受け、オフィスとレジデンス(住宅)を主たる投資対象とする複合型運用をしているJ-REITとして、
主として、人口及び産業集積度が高く、経済の基盤が確立されている東京経済圏及び地方主要都市に投資を行っていました。
2023年4月期の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は2割弱増、利益面は3割弱の増益で着地していました。
2023年10月期は、前期比 減収減益で、営業収益、利益面ともに微減を見込んでおり、
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年4月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益、利益面ともに1割弱の増額修正をしていました。
今回の公募増資による新規取得資産は取得価格で約6.8%の増加率からすると、営業収益と利益面の増額は今回の資産取得に見合っているといえました。
分配金の利回り(予想) 4.14%(10/24時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.34%(10/23時点)と比較すると高い水準で、J-REITの平均予想利回りと同水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり2,787円~4,054円で推移しており、上下1,267円の差がありました。
今回の増資後の2024年4月期の分配金は前回予想から変わらずで、前期(2023年10月期)比で470円減の予想でしたね。
投資口価格モメンタムは、2022年4月に高値(163,700円)をつけた後は、下落トレンドで推移していましたが、
2023年5月に安値(127,900円)をつけた後は、この安値を更新していませんでした。
直近の投資口価格は、9/8に年初来高値(141,400円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落基調で推移しており、
今回のPO発表の翌営業日(10/24)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念から、窓を開けて出来高を伴い、前日比3,200円安(-2.41%)と急落しました。
PO発表後は、5月につけた年初来安値(127,900円)を下抜けずに、上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】NTT都市開発リート投資法人(8956) <2023年10月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
PO発表翌営業日以降も下落基調は継続し、一旦は年初来安値を更新しましたが、
発行価格等決定日(10/26)の3営業日後には、1口当たり利益の希薄化懸念が後退し下げ止まり、その後は上昇に転じています。
要因分析:投資法人みらい(3476)
このJ-REITのPO発表時の評価は、表4のように判断していました。
レベル (最低⭐~ 最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
ファンダメンタルズ | ⭐⭐⭐ |
インカムゲイン | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
流動性 | ⭐⭐⭐⭐ |
投資口価格モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐ (買い) |
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」
三井物産グループの「総合力・事業知見」と、イデラ キャピタルの「不動産価値創造力」を連携・融合させ、幅広いアセットカテゴリーへの投資・運用を通じて、投資主の利益最大化を目指しているJ-REITで、
両スポンサーの強みが発揮されるオートフォリオオフィス・商業施設・ホテル・居住施設等をコアアセットとしてのポートフォリオとグロースアセットを一定程度ポートフォリオに組み込み、持続的な成長が可能でした。
2023年4月期の運用状況は、前期比 増収増益で、営業収益は1割強増、利益面は1割弱の増益で着地していました。
2023年10月期は、前期比 減収減益で、営業収益は1割弱減、利益面は2割弱減を見込んでおり、
今回の資金調達による資産取得により、今期(2024年4月期)の運用状況予想を前回発表予想から、営業収益は4%、利益面は5%前後の増額修正をしていました。
今回の公募増資による新規取得資産は取得価格で約7.2%の増加率からすると、営業収益と利益面の増額は今回の資産取得に対しやや物足りなかったですが、
2024年10月期も引き続き前期比 増収増益を見込んでいるので、時間をかけながら効果が出てくるといえました。
分配金の利回り(予想) 5.31%(11/15時点)は、東証プライム上場会社の単純平均2.29%(11/14時点)と比較すると2倍以上の高い水準で、J-REITの平均予想利回りよりも高い水準でしたね。
直近5期の分配金は、1口当たり1,150円~1,313円で推移しており、上下163円の差でほぼ安定していました。
今回の増資後の2024年4月期の分配金は前回予想から変わらずで、前期比で155円減、2024年10月期は同35円増の予想でしたね。
また、投資主優待があり、毎期末日時点で1口以上保有の投資主は、「EN HOTEL」「コートホテル」「ホテルウィングインターナショナル」等のホテルで割引料金で宿泊できる優待が進呈されましたので、この点は魅力的でした。
投資口価格モメンタムは、2021年11月に高値(56,200円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移していましたが、
2023年3月に安値(42,700円)をつけた後は、上昇基調に転じてきていました。
直近の投資口価格は、10/2に年初来高値(47,900円)をつけるまでは、緩やかながら上昇基調で推移していましたが、その後は調整し、
今回のPO発表の翌営業日(11/15)は、POによる1口当たり利益の希薄化懸念から、窓を開けて出来高を伴い前日比 750円安(-1.68%)と急落しました。
PO発表後は、1月と3月の2回つけた年初来安値(42,700円)を下抜けずに上昇に転じていくのか、下抜けて下値模索をするのか注目していましたが・・・。
ご参考(PO前の分析):【公募増資・売出(PO)は買いか?】投資法人みらい(3476) <2023年11月実施>
【PO発表後の投資口価格の動き】
<日足チャート(直近3か月)>
POによる1口当たり利益の希薄化懸念により、PO発表の翌営業日後はヨコヨコの値動きが続きましたが、
発行価格等決定日の3営業日後に下げ止まり、上昇に転じました。
ただ本格的な上昇には至らず、ヨコヨコの値動きが続いています。
まとめ
大和証券リビング(8986)、NTT都市開発リート(8956)、投資法人みらい(3476)のPO予想と一週間(5営業日)後の株価は、表5の結果になりました。
銘柄名 | 事前予想 | 結果(損益)[円] (「受渡日の1週間 (5営業日)後始値」 ー「発行価格」) (騰落率[%]) | 判定 |
大和証券 リビング | 中立 | +9,305 (+9.2) | × |
NTT都市開発 リート | 中立 | +4,187 (+3.4) | × |
投資法人 みらい | 買い | +1,337 (+3.2) | 〇 |
※事前予想の「買い」は3%以上の上昇、「中立」は±3%、「見送り」は3%以上の下落を想定しています。
今回は1勝2敗、勝率0.333。反省ですm(_ _”m)
今回は全ての投資法人で、受渡日1週間後(5営業日後)に売却した場合、3%以上上昇しました。
大和証券リビングは日経平均が底打ちしたタイミングと重なった要因がありますが、
総じて、受渡日前から受渡日にかけて、1口当たり利益の希薄化懸念が後退して投資口価格が底を打ち、上昇に転じました。
今後の動向ですが、
大和証券リビングは、10月下旬に高値をつけた後は、下落基調で推移していましたが、
直近(12/15)に大陽線をつけて、10月初旬の安値とダブルボトムの形になっており、底打ちの気配を見せています。
10月下旬に高値越えを目指した動きに期待です。
NTT都市開発リートは、11月初旬に一旦は上昇に転じていましたが、その後はヨコヨコの値動きです。
しばらくもみ合った後、反転上昇しそうです。
投資法人みらいも、同じような値動きで、直近はヨコヨコで推移しています。
ただ、下値は固く大きく崩れそうもありませんので、底打ちからの上昇に期待です。
参考になればうれしいです✨
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。