きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】エノモト(6928)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから電気機器業種のエノモトです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ8/7(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年 8 月 8 日(火)
分売数量250,000
(発行済み株式総数 6,865,360 株の約3.64%
分売値段1,592 円
(8/7決定:終値 1,641 円)
ディスカウント率2.99 %
(8/7決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:エノモト(6928) 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.64%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は872百株、25日平均は561百株(8/1時点)で、流動性は低い水準です。(1,000百株を平均水準としています)

そして、今回の分売数量(2,500百株)は、1日の出来高(25日平均:561百株)の約4.4倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はそこそこといえます。

どんな会社?

⾦型技術を通じて⼀⼈ひとりが丁寧なものづくりを提供し、

打ち抜き加⼯、曲げ加⼯、絞り加⼯、モールド加⼯など広範囲のジャンルの⾼度な⾦型技術を駆使しながら、「リードフレーム」「オプトデバイス」「コネクタ」の3つを柱に、事業を行っている会社です。

同社グループはプレス加工品関連事業の単一セグメントで、

2023年3月期通期の製品サービス毎の売上高構成比は、

となっており、「パワー半導体用リードフレーム」と「コネクタ用部品」がそれぞれ4割強を占めています。

直近の経営概況

【2024年3月期1Q(2023年4月~6月)の経営成績】

(2023年7月31日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2023年3月期
1Q累計
72.4
(5.5)
536
(△16.6)
638
(△0.3)
431
(△10.5)
2024年3月期
1Q累計
64.2
(△11.3)
132
(△75.3)
162
(△74.5)
96
(△77.5)
2024年3月期
通期会社予想
290
(0.9)
1,700
(8.9)
1,700
(△5.9)
1,250
(△1.5)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.17.79.57.6
表2:エノモト 2024年3月期1Q連結経営成績と2024年3月期通期連結予想

表2の通り、前年同期比 減収減益で、売上高は1割強減利益面は7~8割の減益でした。

2024年3月期通期の業績予想は、前期比 減収増益で、売上高は微減、利益面は営業利益は1割弱増ですが、経常利益と純利益は微減~1割弱の減益を予想しています。

通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は1/4程度でそこそこですが、利益面は1割弱で遅れ気味です。

【2024年3月期1Qの状況、経営成績の要因】

同社グループの属する電子部品業界は、スマートフォンなどを含む民生用機器を中心とした在庫調整が継続し、本格的な回復は当期の後半以降になるものと予測されています。

また、ⅹEV(電動車)化と電装化が進む自動車向けの需要は堅調なものの、在庫調整の影響により生産の不安定感が持続しています。

このような状況下、同社グループは世界的な需要拡大局面にあるパワー半導体用リードフレーム及び高度な金属と樹脂の複合加工技術を必要とするマイクロコネクタ用部品の生産技術力と、メッキ工程における技術力や生産能力の強化に特に注力し、収益の向上に努めました。

また、収益力の更なる強化を目的としてスマートファクトリー化に向けたシステム構築や作業と管理の自動化・効率化への積極的な投資を推進するとともに、

急増する金型の受注への対応量産に向けた各種経営資源の準備を進めています。

その結果、当1Q連結累計期間の売上高は産業用機器及び民生用機器の在庫調整による影響が大きく6,426百万円(前年同四半期比11.3%減営業利益は132百万円(同75.3%減経常利益は162百万円(74.5%減親会社株主に帰属する四半期純利益は96百万円(同77.5%減となりました。

【製品群別の売上高】

製品群別の売上高は、表3の結果になりました。

主力の「パワー半導体用リードフレーム」は増収

「オプト用リードフレーム」「コネクタ用部品」「その他」は減収となりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前期比
[%])
パワー半導体用
リードフレーム
3,164
(17.9)
オプト用
リードフレーム
712
(29.4)
コネクタ用部品2,437
(△28.5)
その他112
(△21.7)
表3:2024年3月期1Q 製品群別売上高

各製品群別の状況は以下になっています。

パワー半導体用リードフレーム

この製品群は自動車向けや産業用機器向け及び民生用機器向けが主なものです。

自動車向けではxEV化の進行やADAS(先進運転システム)技術の発展と普及による追い風を受けましたが、

産業用機器向け及び民生用機器向けの在庫調整により成長は鈍化しました。

オプト用リードフレーム

この製品群は、LED用リードフレームが主なものです。

海外の交通インフラ向けアドバタイズメント用途の屋外ディスプレイ向けなどが在庫調整局面に入ったことにより減少しました。

コネクタ用部品

この製品群は、自動車向け、モバイル端末向けが主なものです。

スマートフォン向け及びウェアラブル端末向けの在庫調整が継続しました。

その他

その他の製品群は、リレー用部品が主なものです。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2024年3月期1Q末時点で62.5%と前期末(60.5%)から2.0ポイント増加しました。

これは主に、支払手形及び買掛金が前期末比で1,101百万円減少し、流動負債が合計で1,075百万円減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2024年3月期通期)業績の見通し】

同社グループの属する電子部品業界は、政府主導のDX推進及び5G社会実現に向けた動きやパワー半導体を含む半導体産業への積極的な投資、

自動車のxEV化及びADAS技術の発展とクリーンエネルギーへの転換に伴うパワー半導体によるパワーマネージメントの重要性の再認識など、多くの力強い成長要因を抱えています。

同社の主力製品であるリードフレーム、コネクタ用部品は中長期的に成長基調の予測ですが、足下の受注は市場在庫の調整局面にあり、需要の回復は2023年の後半以降となるものと見込んでいます。

このような環境下、同社グループは引き続き品質の向上と製造コスト低減を目的とした製造工程の自動化・効率化の推進や、

同社の強みである金属と樹脂の精密複合加工技術をベースとした過去の枠組みにとらわれない新たな顧客の積極的な開拓等、全社一丸となって収益性の向上に取り組む計画です。

同社グループの2024年3月期通期連結業績予想は、売上高290億円(前年同期比0.9%減営業利益17億円(同8.9%増経常利益17億円(同5.9%減親会社株主に帰属する当期純利益12億5千万円(同1.5%減を見込んでいます。

株価指標と動向

【2023/8/1(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、鈴木(6785) 7.3倍、三井ハイテック(6966) 21.9倍、ケル(6919) 9.7倍と比較すると、中間的な水準です。

配当利回りは4.06%で、東証プライムの単純平均 2.19%(8/1時点)と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、1株当たり35~60円で推移しており、2019年3月期と2020年3月期は同額ですが、それ以降は連続増配を継続中です。

配当性向は、10%台後半~30%台前半で推移しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2019年3月期3526.0
2020年3月期3525.8
2021年3月期4018.0
2022年3月期5021.7
2023年3月期6031.6
表3:エノモト 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の最重要政策と位置づけており、将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続を重視し、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としています。

中期経営計画において、2024年3月期までの1stステップでは、将来の需要増加に対する積極的な設備投資の実施を踏まえた上で、配当性向25%を目途に安定配当を継続することを株主還元方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

2021年10月に高値(2,035円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移し、2022年10月に安値(1,329円)をつけました。

そしてその後は、1,600~2,000円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

5/15に年初来安値(1,608円)をつけた後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇基調で推移しており、7/4に高値(1,846円)をつけています。

そして、今回の立会外分売と2024年3月期1Q決算発表の翌営業日(8/1)は立会外分売による需給悪化懸念により、前日比 53円安(-2.98%)と窓を開けて下落しました。

今後は、一旦割り込んだ75日移動平均線(青線)や年初来安値を割り込まずに上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐
(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

モバイルバージョンを終了