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【立会外分売は買いか?】アイ・ケイ・ケイホールディングス(2198)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムからサービス業種のアイ・ケイ・ケイホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

4/14(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年4月 17 日(月)
分売数量900,000
(発行済み株式総数 29,956,800 株の約3.00%
分売値段652 円
(4/14決定:終値 672 円)
ディスカウント率2.98 %
(4/14決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量10,000 株
表1:アイ・ケイ・ケイホールディングス 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

また、今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.00%多い数量(※1)です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は2,530百株、25日平均は1,201百株(4/11時点)で、流動性は平均的な水準です。

そして、今回の分売数量(9,000百株)は、1日の出来高(25日平均:1,201百株)の約7.5倍で、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は少なめといえます。

どんな会社?

1995年の設立以来、九州初のゲストハウスウェディング事業を通して、人々の幸せと感動を創造している会社です。

上記の婚礼事業以外にも、介護事業、食品事業等を行っています。

事業内容は、「婚礼事業」「介護事業」「食品事業」「フォト事業」「結婚仲介事業」の5つがあり、それぞれ、

を行っています。

2022年10月期通期のセグメント売上高構成比は、

となっており、ほぼ「婚礼事業」が占めています

直近の経営概況

【2023年10月期1Q(2022年11月~2023年1月)の経営成績】

(2023年3月13日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)
経常
利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年10月期
1Q累計
38.9
(105)
120
(黒字
転換)
220
(黒字
転換)
180
(黒字
転換)
2023年10月期
1Q累計
49.1
(26.0)
362
(201)
369
(68.0)
180
(△0.0)
2023年10月期
通期会社予想
217
(14.3)
2,200
(21.6)
2,230
(6.4)
1,500
(7.2)
通期予想に対する
1Qの進捗率[%]
22.516.416.512.0
表2:アイ・ケイ・ケイホールディングス 2023年10月期1Q経営成績と2023年10月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は3割弱増、利益面は営業利益と経常利益は7割弱~3倍の増益純利益はほぼ変わらずでした。

2023年10月期通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は1割強の増収利益面は1割弱~2割強の増益を予想しています。

通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で、売上高は1/4程度でそこそこですが、利益面は15%前後で遅れ気味です。

【2023年10月期1Qの状況、経営成績の要因】

ウェディング業界は、社会経済活動の回復に伴い集客イベント等も再開され挙式・披露宴の施行数は漸増傾向にあります。

このような状況の下、同社グループは、顧客と社員の安全・安心を最優先事項と考え、最大限の感染防止対策を徹底したうえで挙式・披露宴を実施し、

施行組数は1Qにおいて過去最高を更新施行単価も順調に回復しています。

以上の結果、売上高は、施行組数は前年同期比205組増で着地、1Qとしては、コロナ前水準を超えて過去最高の施行組数を達成。施行単価も3,725千円と順調に回復し、4,912百万円(前年同四半期比26.0%増

営業利益は362百万円(同201%増経常利益は369百万円(同68.0%増親会社株主に帰属する四半期純利益は180百万円(同0.0%減となりました。

また、施行組数の増加に伴い、受注残組数(2023年1月末)は5,269組(前年同期比7.4%減となっていますが、引き続き高水準の受注残組数で推移しています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

主力の「婚礼事業」と「介護事業」「食品事業」前年同期比 増収増益

「フォト事業」と「結婚仲介事業」赤字幅拡大となっています。

セグメント売上高
[百万円]
(前期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
婚礼4,696
(25.7)
376
(3.2倍)
介護140
(1.7)

(2.9)
食品66
(55.9)
14
(56.0)
フォト43
(ー)
△16
(前年同期
△6百万円)
結婚仲介
(ー)
△14
(前年同期
△2百万円)
表3:2023年10月期1Q  セグメント別業績

セグメント別の状況は以下です。

婚礼事業

新型コロナウイルス感染症による様々な規制が緩和されるなか、引き続き感染防止対策を徹底したうえで挙式・披露宴を実施しています。

その結果、前年同四半期と比較し、婚礼組数が増加したことから増収増益となりました。

介護事業>(省略)

食品事業>(省略)

フォト事業

フォト事業を展開する子会社(Ambihone(アンビオーネ)株式会社)を2021年11月に設立しています。

結婚仲介事業

結婚仲介事業を展開する子会社(ララ・クゥール株式会社)を2021年11月に設立しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年10月期1Q末時点で47.3%と前期末(45.1%)から2.2ポイント増加しました。

これは主に、未払法人税等が前期末比で779百万円減少、流動負債その他が717百万円減少し、流動負債が合計で1,945百万円減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2023年10月期通期)業績の見通し】

新型コロナウイルス感染症の影響下にあるものの、ワクチン接種が進んだことや感染防止の意識の高まりにより、経済活動の正常化に向け、総じて持ち直しの動きが見られます。

そのような状況の中、足元において婚礼施行組数の回復が顕著に現れていることを背景に、表2の増収増益を見込んでいます。

取り組みとしては、以下を計画しています。

また、今1Q決算発表時には、業績予想の変更はありませんでした。

株価指標と動向

【2023/4/11(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、テイクアンドギヴ・ニーズ(4331) 5.3倍、エスクリ(2196) 14.7倍、ブラス(2424) 7.9倍と比較すると、高めの水準です。

配当利回りは1.79%で、東証プライムの単純平均 2.42%(4/10時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株当たり0~12円の間で推移しており、2020年10月期と2021年10月期はコロナ禍で2年連続無配でしたが、前期(2022年10月期)は3期ぶりに復配しています。

配当性向は、無配の年を除き、20%台で安定しています。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年10月期1225.9
2019年10月期1226.4
2020年10月期
2021年10月期
2022年10月期1021.1
表4:アイ・ケイ・ケイHLDGS 年間配当金推移

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと認識し、

将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じた配当を実施していく方針です。

また、剰余金の配当を行う場合は年1回の期末配当が基本方針です。

【株主優待】

この会社は、従来から株主優待がありましたが、先月3/27に株主優待制度の変更(拡充)が発表され(表5参照)、

変更点として、毎年4月末時点で100株保有の場合同社特選お菓子が1,500円相当から2,000円相当にグレードアップされました。(500株以上は表5参照)。

表5:アイ・ケイ・ケイホールディングス 株主優待内容
(2023年3月27日発表資料より抜粋)

100株保有の場合、配当金+株主優待(お菓子2,000円+レストラン1,000円割引(割引額はレストランによって異なる)×3=5,000円相当)で、利回りは9.28%となります。

こちらは、個人投資家にとってうれしい内容ですね。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

週足ベースの株価は、2021年4月に高値(732円)をつけた後は調整し、2022年3月に安値(495円)をつけました。

しかしその後は上昇に転じ、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

直近の株価は、今年1月に年初来安値(606円)をつけた後は上昇トレンドで推移し、今月初めに年初来高値(729円)をつけました。

しかしその後は調整し、今回の立会外分売発表の翌営業日(4/11)は、分売による需給悪化懸念により、窓を開けて出来高を伴い急落し、前日比 40円安(-5.65%)で終了しました。

今後は、75日移動平均線(青線)で下げ止まり上昇に転じていくのか、これを下抜けて下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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