きよりん堅実投資

【上方修正は買いか?】トレジャー・ファクトリー(3093)

直近で今期業績予想の上方修正を発表した銘柄に関して、この発表のタイミングで株を買った場合、利益を得ることができるのか?

足元の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから小売業種のトレジャー・ファクトリーです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

「上方修正」とは?

企業が決算において以前掲げていた予想利益などの数字を引き上げることを指します。

売り上げ増加や環境改善など、想定していなかった要因によって従来予想以上の達成が見込まれるときに発表されます。

SMBC日興証券HPより

特に利益面が上方修正されると、1株当たり利益(EPS)が上昇する可能性が高くなりますので、

株主還元の方針で、配当性向を定めている会社は、配当性向が一定の場合、EPSが上昇すると1株あたりの配当金も高くなり投資家が直接恩恵を受けることになります。

例えば、配当性向を30%と定めている会社が、当初の配当金予想は年間1株あたり30円(EPS=100円)だったとします。

この会社が、業績が好調なため上方修正をして、EPS予想が50%増額され、150円に修正されたとしましょう。

そうなった場合、配当金は配当性向30%と定めていますので、配当金も30円から45円(=150×0.3)と15円増額となり、配当金も1.5倍に増額されることになります。

また、配当金等のインカムゲインだけではなく、キャピタルゲイン(売買益)も期待できます

なぜかというと、上方修正を発表した会社の株は、業績が予想していた以上に良くなったため、株を買いたい投資家が増えますので、株価上昇の大きな要因になるわけです。

ただ時より、会社発表の上方修正後の経営数値がコンセンサス予想(マーケットにおいて支配的になっている予想(数値等))を下回る場合は、「失望売り」といわれ、大きく売り込まれ株価が下落するケースがありますので注意が必要です。

それでは、見ていきましょう!

上方修正の概要

2023年1月12日に、2023年2月期通期業績予想の上方修正を行っています。

2023年2月期通期の連結業績予想は表1です。

売上高
[億円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
1株当たり
配当金

[円]
前回(2022/10/12)
発表予想
2651,9431,9771,220109.5627
今回修正予想2762,3762,4221,508135.1832
増減額11433445288
増減率[%]4.322.322.523.618.5
表1:トレジャー・ファクトリー 2023年2月期通期連結業績予想数値の修正(2023年1月12日発表)

前回予想と比べ、営業収益微増利益面は2割強の増額修正をしています。

修正の理由は、

としています。

なお、配当予想に関しては、業績に応じ継続的に配当を行うことを基本方針とし、配当性向は 30%以上を当面の目標としているため、

今回の通期業績予想の上方修正に伴い、前回予想の1株当たり27円から5円増額し、32円に修正しています。

どんな会社?

トレジャーファクトリーは人々に喜び・発見・感動を提供します。」という経営理念を掲げ、

首都圏及び関西圏を中心に総合リユース業態「トレジャーファクトリー」服飾専門リユース業態「トレファクスタイル」など複数の業態を展開している会社です。

上記の2つに加え、以下の店舗を展開しています。

これらの店舗展開に加え、インターネットを介して全国の顧客から買取を行う宅配買取やインターネット販売などのEC事業にも力を入れています。

これら「リユース事業」のほかに、レンタル事業、システム事業、不動産事業等(これらを総称して「その他事業」)を行っています。

2022年2月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「リユース事業」がほとんどを占めています。

直近の経営概況

【2023年2月期3Q(2022年3月~2022年11月)の経営成績】

(2023年1月12日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年2月期
3Q累計
168
(25.8)
580
(580倍)
619
(10倍)
332
(黒字
転換)
2023年2月期
3Q累計
203
(20.7)
1,901
(227)
1,943
(213)
1,263
(280)
2023年2月期
通期会社予想
(2023年1月12日
修正)
276
(18.7)
2,376
(138)
2,422
(129)
1,508
(114)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
73.680.080.283.7
表2:トレジャー・ファクトリー 2023年2月期3Q経営成績と2023年2月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は2割強増利益面は3倍強の増益で好調でした。

2023年2月期通期の業績予想は、上方修正後の数値で、前期比 増収増益で、売上高は2割弱増利益面は2倍強の増益を予想しており、

その通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高、利益面ともに3/4程度でそこそこです。

【2023年2月期3Qの状況、経営成績の要因】

リユース業界は、社会のSDGs推進の動きとリユースへの意識の高まりを背景に、引き続き市場全体が拡大しています。

そのような中で、身近なリユースショップの買取サービスへの需要は堅調に推移し、販売面でも、新品価格の高騰による節約志向の高まりもありリユース品のニーズは引き続き高い水準で推移しています。

同社グループは、9-11月の当3Q連結会計期間の営業利益は899百万円と、計画を大きく上回り、1Q連結会計期間および2Q連結会計期間に続き、当3Q連結会計期間も過去最高の営業利益を達成しました。

当3Q連結累計期間ではグループで16店出店し、既存店売上も堅調に推移しました。また、リユース事業を行う各グループ会社がいずれも堅調に推移し、増収増益となりました。

この結果、表2の経営成績となっています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)

リユース
198
(20.9)
2,884
(69.7)
その他7.1
(36.9)
174
(658)
表3:2023年2月期3Q セグメント別業績

主力の「リユース事業」、「その他」ともに増収増益で好調でした。

セグメント別の状況は以下です。

リユース事業

連結売上が前年同期比20.9%増単体の売上は同21.1%増単体既存店が同10.5%増となりました。

特に10月では販売促進のキャンペーンもあり、単体既存店売上は前年同期比19.0%増と好調に推移しました。

カテゴリー別では、衣料は外出需要の回復を受けて前年同期比23.4%増生活雑貨も同22.2%増となりました。電化製品は、6-7月に猛暑により夏物家電の販売が好調だったことなどから、前年同期比19.1%増となりました。

また、金高騰の影響などもあり、服飾雑貨は前年同期比20.0%増、コロナ禍以降取り扱いを強めているホビー用品も同22.9%増と高い伸びとなりました。

また、自社ECサイトでの出品業務の効率化を進めたことで、連結のEC販売額は前年同期比21.3%増となりました。

仕入では、当期連結商品仕入高は前年同期比23.7%増単体の仕入は同20.8%増となりました。

単体の買取チャネル別では、持込買取が同21.7%増と引き続き堅調に推移し、店舗以外の買取チャネルでは、宅配買取が同30.7%増と大幅増となり、出張買取も同26.2%増と好調に推移しました。

出店は、当3Q連結累計期間においては、単体にて総合リユース業態を4店、服飾専門リユース業態を9店、スポーツアウトドア専門リユース業態1店、ブランド専門リユース業態1店、計15店出店しました。

出店地域は、関東10店、関西3店、中部2店となり、各地域にバランスよく出店が進みました。

また、グループ会社のカインドオル(ブランド古着に特化したリユースショップ)ではFC店を1店出店しました。

当3Q連結会計期間末における店舗数は、単体で直営店164店FC店4店の合計168店グループ全体で合計236店となりました。

その他

レンタル事業の「Cariru」では、結婚式などのイベント需要を取り込みレンタル事業の売上は前年同期比91.3%増となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年2月期3Q末時点で41.9%と前期末(40.0%)から1.9ポイント増加しました。

これは主に、短期借入金が前期末比で412百万円増加し、流動負債が984百万円増加しましたが、

利益剰余金が前期末比で1,029百万増加し、株主資本が合計で1,081百万円増加したこと等によるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

株価指標と動向

【2023/1/13(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、バリュエンスホールディングス(9270) 28.8倍、シュッピン(3179) 9.9倍、BUYSELLTECH(7685) 43.2倍と比較すると、中間的な水準です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年2月期1651.4
2019年2月期1632.1
2020年2月期1737.2
2021年2月期10
(最終赤字)
2022年2月期1727.1
表4:トレジャー・ファクトリー 年間配当金推移

配当利回りは1.18%で、東証プライムの単純平均2.45%(1/12時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~17円で推移しており、

配当性向は20%台~50%台で推移しています。

この会社は、

株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、株主還元と内部留保の充実による財務基盤の強化のバランスを勘案して、業績に応じ継続的に配当を行うことを基本方針とし、

配当性向は30%以上を当面の目標としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年2月末に100株以上の株主は、同社店舗及びオンラインサイトで利用可能な①「お買物割引クーポン券」(100株以上保有:1,000円相当、200株以上:2,000円相当)、②「買取金額アップクーポン券」③プレゼント抽選権「トレジャーロト」が進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(1,000円相当)で利回りは1.54%となります。

個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年7月頃まではあまり動きはありませんでしたが、

それ以降急上昇し始め、昨年末に高値(2,639円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、きれいな右肩上がりの上昇トレンドで推移しています。

そして今回の通期業績の上方修正と今3Qの決算発表の翌営業日(1/13)は、決算内容を好感され、出来高を伴い前日比 366円高(+15.6%)と大きめの陽線をつけて急騰しました。

これで昨年末につけた昨年来高値を更新しています。

今後は、この高値をキープし更なる高値追いをするのか、勢いが失速し、急騰前の元の値に戻っていくのか、要注目です。

まとめ

【上方修正のインパクト】

【業績】

【株主還元】

【流動性】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
上方修正の
インパクト
⭐⭐⭐⭐
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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