きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】キムラ(7461)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから卸売業種のキムラです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

1/16(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2023 年 1 月 17 日(火)
分売数量150,000
(発行済み株式総数 15,180,000 株の約0.98%
分売値段538 円
(1/16決定:終値 554円)
ディスカウント率2.89 %
1/16決定
申込単位数量100 株
申込上限数量5,000 株
表1:キムラ 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約0.98%少ない数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は13百株、25日平均は19百株(1/11時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(1,500百株)は、1日の出来高(25日平均:19百株)の約79倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

1946年(昭和21年)の創業以来、住宅資材総合商社として、

住宅資材の卸売業、不動産事業のほか、子会社におけるホームセンターの経営、住宅足場リースなど、住まいに関する幅広い分野で事業展開している会社です。

事業セグメントは、「卸売事業」「小売事業」「不動産事業」「足場レンタル事業」「サッシ・ガラス施工事業」の5つがあり、それぞれ、

を行っています。

2022年3月期通期のセグメント別売上高売上高構成比は、

となっており、ホームセンター運営の小売事業が6割強を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期2Q(2022年4月~2022年9月)の経営成績】

(2022年10月31日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
180
(1.7)
1,454
(2.9)
1,528
(3.9)
790
(11.4)
2023年3月期
2Q累計
182
(0.7)
1,315
(△9.6)
1,392
(△8.9)
717
(△9.3)
2023年3月期
通期会社予想
345
(0.5)
2,200
(6.2)
2,330
(5.1)
1,200
(2.3)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
52.859.759.759.7
表2:キムラ 2023年3月期2Q経営成績と2023年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は微増利益面は1割弱の減益でした。

2023年3月期通期の業績予想は、前期比 増収増益で、売上高は微増利益面は微増~1割弱の増益を見込んでいます。

通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高、利益面ともに5割強程度でそこそこです。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

当業界は、資材価格の高騰による住宅建設コストの増加が住宅取得マインドの重しとなり、持家の着工戸数は前年を下回って推移しています。

当面、原材料価格の高騰円安による仕入れコストの上昇から住宅価格は高止まりすることが懸念され、先行きは不透明で厳しい経営環境が続くものと同社は考えています。

このような状況のもと同社グループでは、卸売事業における新商品開発と販売強化小売事業における各種サービスの拡充による顧客満足度の向上に努めてきました。

これらの結果、当2Q連結累計期間の業績は、売上高は前年同四半期比0.7%増営業利益は同9.6%減経常利益は同8.9%減親会社株主に帰属する四半期純利益は同9.3%減となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[億円]
(前期比
[%])
営業
利益
[百万円]
(同)

卸売
58.7
(0.4)
526
(2.2)
小売112
(1.3)
881
(△7.1)
不動産1.9
(6.5)
129
(2.8)
足場レンタル3.8
(△7.8)
34
(△39.7)
サッシ・
ガラス施工
5.0
(△5.7)
△20
(前年同期
8百万円
の利益)
表3:2023年3月期2Q セグメント別業績

主力の「小売事業」は増収減益

「卸売事業」と「不動産事業」は増収増益

「足場レンタル事業」は減収減益

「サッシ・ガラス施工事業」は減収減益赤字転落の結果でした。

セグメント別の状況は以下です。

卸売事業

住宅市場は、資材価格の高騰による建設コストの増加が住宅着工を抑制する要因となり、全国では持家、総数ともに前年を下回って推移しています。

4月から8月までの新設住宅着工戸数(持家)は全国で110,228戸(前年同期比10.4%減)、北海道で4,740戸(同19.4%減)と前年を下回っており、今後も厳しい状況が続くものと予想しています。

このような状況のもと、床下冷暖房システム「Air Volley」、ダクトレス全熱交換換気システム「Air save」などのオリジナル商品の販売強化に努めました。

小売事業

ホームセンター業界は、引き続き同業他社、他業種との競争の激化が続いています。

このような状況のもと、顧客満足度の向上と、接客力の強化による他店との差別化に努めましたが、人件費、水道光熱費を始めとした経費増加により減益となっています。

不動産事業

賃貸資産の、適切なメンテナンスと効率的な運用を行っています。

足場レンタル事業

業務の効率化による生産性の向上と経費削減に努めていますが、外国人実習生受け入れによる経費先行もあり、営業利益は前年同期比 4割減となりました。

サッシ・ガラス施工事業

工事現場での設計、監理、施工の基本を徹底することで業務の効率化に努めていますが、本社改修による一過性の経費増加があり、営業損失となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で50.8%と前期末(52.0%)から1.2ポイント低下しました。

これは主に、支払手形及び買掛金が前期末比で933百万円増加し、負債が1,024百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期2Q累計)のフリーCF(65.8百万円の収入)から226百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年3月期通期)業績の見通し】

2022年5月10日付「2022年3月期 決算短信」で発表された、2023年3月期の連結業績予想に変更はありません

株価指標と動向

【2023/1/11(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、クワザワホールディングス(8104) 8.6倍、杉田エース(7635) 14.7倍、北恵(9872) 9.7倍と比較すると、低い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年3月期1028.3
2019年3月期1223.1
2020年3月期1018.7
2021年3月期1216.9
2022年3月期1316.2
表4:キムラ 年間配当金推移

配当利回りは1.66%で、東証スタンダードの単純平均2.27%(1/11時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり10~13円で推移しており、

配当性向は10%台~20%台で安定して推移しています。

この会社は、

株主に対する安定的な利益還元を経営の重要課題と考えており、経営基盤の強化・拡大に努めることにより、業績に応じた適正な配当を継続的に行うことを基本方針としています。

また、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことが基本方針です。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2020年のコロナショック時の安値から、ずっと右肩上がりの上昇トレンドで推移しており、

昨年末に高値(635円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年12月中旬に安値(570円)をつけた後は急激に上昇し、

同月26日に昨年来高値(635円)をつけました。

しかしその後は調整しており、今回の立会外分売発表の翌営業日(1/11)はそれほど反応はなく前日比 1円安(-0.1%)で終了しています。

今後は、直近の安値(570円)を割り込まず上昇に転じていくのか、割り込んで下値模索をするのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】