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【立会外分売は買いか?】太陽工機(6164)

機械

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから機械業種の太陽工機です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大2,000株まで購入できます。

12/13(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年12 月14 日(水)
分売数量80,000
(発行済み株式総数 5,956,400 株の約1.34%
分売値段1,096 円
(12/13決定:終値 1,130 円)
ディスカウント率3.01 %
12/13決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量2,000 株
表1:太陽工機 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.34%ほどほどの数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は16百株、25日平均は58百株(12/8時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(800百株)は、1日の出来高(25日平均:58百株)の約13.7倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

1986年に創業し、現在に至るまで常に顧客の生産性向上と生産現場での課題解決を開発理念とし、新しく独創的な研削盤を開発して、研削盤の製造及び販売を行っている会社です。

研削盤は、旋盤やマシニングセンタ等の工作機械で加工したワークピース(加工対象となる部品)を、高速で回転する砥石を用いて表面を滑らかに研磨加工する(研削加工)工作機械です。

1マイクロメートル(0.001mm)単位の高い精度が求められる自動車エンジンのトランスミッションに使用されるシャフトや各種産業機械に使用されるベアリング等の部品の品質保持に用いられています

同社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントで、主な製品は以下があります。

2021年12月期通期の製品別売上高構成比は、

となっており、「立体研削盤」が8割を占めています。

直近の経営概況

【2022年12月期3Q(2022年1月~2022年9月)の経営成績】

(2022年11月7日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2021年12月期
3Q累計
4,449
(△20.0)
246
(△44.7)
300
(△32.4)
202
(△32.1)
2022年12月期
3Q累計
6,470
(45.4)
485
(96.7)
487
(62.1)
326
(60.7)
2022年12月期
通期会社予想
(2022年11月7日
修正)
9,000
(34.6)
850
(41.7)
850
(30.3)
580
(31.5)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
71.857.057.256.2
表2:太陽工機 2022年12月期3Q経営成績と2022年12月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高は5割弱増利益面は6割~2倍弱の増益で好調な結果でした。

2022年12月期通期の業績予想は、今3Q決算発表と同時に利益面のみ下方修正し(表4参照)、前期比 増収増益で、売上高は3割強増利益面は3~4割の増益を予想しており、

それに対する進捗率は、3Q終了時点で、売上高は3/4程度でそこそこですが、利益面は6割弱で遅れ気味です 。

【2022年12月期3Qの状況、経営成績の要因】

当3Q累計期間の工作機械業界は、日本工作機械工業会が発表した工作機械受注実績(2022年1月1日から2022年9月30日まで)が前年同期比で21.3%増加しました。

工作機械業界を取り巻く経済環境は、ウクライナ・ロシア情勢等を背景とした様々な製品の不足や原材料価格の高騰に加え、米国の政策金利引き上げの影響による急激な為替変動などにより、先行き不透明な状況が継続しています。

一方で、国内外で活発な設備投資が継続しており、日本工作機械工業会の2022年暦年の受注見通しを1,000億円上方修正するなど、中長期を見据えた根強い設備投資需要のもと好調に推移しています。

同社の受注状況も引き続き好調に推移し、受注高は前年同期比48.7%増加しました。地域別には、前年同期比で米州79.6%増日本71.4%増欧州57.1%増アジア(中国を除く)49.9%増と好調に推移しています。

海外受注台数は前年同期比で17.9%増加しています。業種別には、産業機械・工作機械関連が引き続き好調であるほか、半導体関連が前年同期比約11.3倍、軸受関連が約2.5倍となり、引合・受注は好調に推移しています。

また、売上高は前年同期比45.4%増営業利益は同96.7%増といずれも伸長しました。

今後は海外渡航制限が解除され、検収までのリードタイムが早期化することでさらなる売上と利益の最大化を図り、JIMTOF(日本国際工作機械見本市)のリアル開催や、国内外の顧客の工場見学を実施することで、設備投資需要のタイムリーな取り込みに注力する計画です。

【製品別の受注/売上高】

製品別の受注高と売上高は表3のようになっています。

セグメント受注高
[百万円]

(前年同期比
増減率[%])
売上高
[百万円]

(同)
(全体)8,913
(48.7)
6,470
(45.4)
立体切削盤6,941
(52.5)
5,084
(46.6)
横型切削盤1,534
(9.1)
1,298
(37.1)
その他専用
研削盤
437
(1,194)
87.3
(158)
表3:2022年12月期3Q  製品別受注/売上高

どの製品も、受注高、売上高ともに増加しています。

特に「その他専用研削盤」は受注高、売上高ともに2倍以上の伸びとなっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年12月期3Q末時点で83.0%と前期末(82.9%)から0.1ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で121百万円増加し、株主資本が145百万円増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年12月期通期)業績の見通し】

今3Q決算発表と同時に、通期業績予想を利益面のみ下方修正しています。

2022年12月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[百万円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
親会社株主
に帰属する
当期純利益

[百万円]
1株当たり
当期純利益

[円]
前回
(2022/2/10)
発表予想
9,0001,1501,150780133.30
今回修正予想9,00085085058098.95
増減額△300△300△200
増減率[%]△26.1△26.1△25.6
表4:2022年12月期通期業績予想数値の修正(2022年11月7日発表)

当初予想から、利益面を25%程度減額を予想しています。

修正の理由は、

原材料等の価格高騰の影響を受け、営業利益、経常利益、当期純利益が当初の予想を下回る見通しとなったとしています。

株価指標と動向

【2022/12/8(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、岡本工作機械(6125) 6.0倍、和井田製作所(6158) 8.1倍、ミクロン精密(6159) 19.9倍と比較すると中間的な水準です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2017年12月期3531.5
2018年12月期4020.4
2019年12月期5024.2
2020年12月期3051.6
2021年12月期3040.0
表6:太陽工機 年間配当金推移

配当利回りは3.36%で、東証スタンダードの単純平均2.22%(12/7時点) と比較すると高い水準です。

表6のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり30~50円で推移しており、

配当性向は、20~50%程度で推移しており幅があります

この会社は、

経営基盤の充実や、今後の成長性、事業展開を総合的に判断した上で、株主への利益配分及び内部留保を決定しています。

内部留保の使途は、技術開発力のさらなる強化や新製品開発、海外事業展開、生産能力の向上、業務効率化や財務体質の強化に充当するとしています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年11月に安値(965円)をつけた後は高値切り上げ安値切り上げで上昇し、

今年11月に高値(1,400円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、今3Qの決算と通期業績の利益面のみの下方修正を発表した翌営業日(11/8)に窓を開けて急落し、11/9に安値(1,143円)をつけました。

そしてその後は、緩やかながら回復基調で推移しています。

今回の立会外分売発表の翌営業日(12/8)は、それほど反応はなく、前日比 8円安(-0.67%)で終了しています。

今後は、上昇基調を継続し、年初来高値(1,400円)に向かって上昇していくのか、直近の安値(1,143円)を割り込む展開になるのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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