きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】フォーライフ(3477)

住宅

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証グロースから不動産業種のフォーライフです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大4,000株まで購入できます。

12/5(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 12 月6日(火)
(12/5決定)
分売数量160,000 株
(発行済み株式総数 4,000,000 株の約4.0%
分売値段634 円
(12/5決定:終値 654 円)
ディスカウント率3.06 %
(12/5決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量4,000 株
表1:フォーライフ 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.0%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は96百株、25日平均は37百株(11/25時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(1,600百株)は、1日の出来高(25日平均:37百株)の約43倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

神奈川県横浜市、川崎市、東京都城南地区を主要エリアとして、分譲住宅、注文住宅を提供

「地元」に根付いたサービスをモットーに事業展開している会社です。

事業セグメントは、「分譲住宅事業」「注文住宅事業」「その他」の3つがあり、それぞれ、

を行っています。

2022年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「分譲住宅事業」が8割を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期2Q(2022年4月~2022年9月)の経営成績】

(2022年11月10日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
54.7
(9.9)
342
(91.9)
325
(103)
228
(114)
2023年3月期
2Q累計
67.0
(22.5)
210
(△38.4)
187
(△42.4)
124
(45.4)
2023年3月期
通期会社予想
(2022年11月10日
修正)
140
(13.3)
550
(△26.6)
500
(△29.9)
330
(△31.3)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
47.838.137.437.5
表2:フォーライフ 2023年3月期2Q経営成績と2023年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は2割強増利益面は4割前後の減益でした。

2023年3月期通期の業績予想は、今2Q決算発表と同時に利益面のみ下方修正しており(表4参照)、前期比 増収減益で、売上高は1割強増利益面は4割弱のを予想しています。

下方修正後の通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高1/2程度でそこそこですが、利益面は4割弱ほどで遅れ気味です 。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

住宅業界は、テレワークの普及等の新しい生活様式に対応する住宅への需要増加や住宅ローン金利が引き続き低位で推移するなど、実需の住宅取引は堅調に推移しました。

一方で、建設業界は、国外の住宅木材の需要増による、いわゆる「ウッドショック」やロシアのウクライナ侵攻を背景とした資源価格の高騰、供給不足の影響により、住宅建設においては厳しい状況が続きました。

このような状況のもと、同社は、顧客に利便性の高いエリアの戸建住宅を提供するため、機動的な用地仕入に注力するとともに、

完成在庫の早期販売に努めましたが、建築コストの高騰が収益に与える影響は大きく、戸建住宅の収益は低調に推移しました。

また、建築コストの適正化にも継続して注力し、収益性の回復に向けて、仕様や設備の見直し・協力業者の選定や交渉などを進めていますが、

足許では木材の不足・価格の高騰などが生じているため、さらに安定した調達経路の確保と価格上昇への対応に向けて取り組んでいます。

この結果、当2Q累計期間の経営成績は表2の結果になりました。

【セグメント別の業績】

セグメント売上高
[百万円]

(前年同期比
増減率[%])
営業利益
[百万円]

(同
分譲住宅5,355
(25.1)
500
(△14.0)
注文住宅1,122
(13.2)
△15.5
(前年同期
△19.3
百万円)
その他227
(12.2)
△30.4
(前年同期
△1.0
百万円)
表3:2023年3月期2Q  セグメント別業績

セグメント別の売上高は表3のようになっています。

主力の「分譲住宅」は前年同期比 増収減益

「注文住宅」は増収赤字幅縮小

「その他」は増収ですが、赤字幅拡大の結果でした。

セグメント毎の状況は以下です。

分譲住宅事業

地域密着の深耕営業を軸に適正価格での良質な用地取得を推進し、販売は、継続的な仕様・設備の見直しや新たな生活様式を取り入れた顧客ニーズに対応した商品力の強化と良好な収益性の確保に取り組みました

当2Q累計期間は、主に東京都内の物件販売が増えたため平均販売単価が上昇し、売上増加に繋がりました。

一方で、利益面については、土地原価の上昇、資材価格の高騰が利益圧迫要因となり減益となりました。

この結果、引渡棟数は118棟(前年同四半期比14棟増となり、売上高は同25.1%増営業利益は同14.0%減となりました。

注文住宅事業

工期調整の継続による制約が続いていますが、売上面では、単価の上昇や一部引渡時期の前倒しもあり、売上高は昨年を上回って推移しました。

受注は、受注棟数の増加を図るとともに、建替層へのアプローチの強化や大型案件の受注など受注単価の引き上げとともに、多様な顧客ニーズに適切に対応できるプラン提案力の強化等に取り組みました

利益面は、木材価格の高騰傾向が続く中、仕入原価の増加分について、高騰以前に契約した請負価額への転嫁が追いつかず粗利率が悪化する一方、

前期より継続して業務効率化による販売費及び一般管理費の抑制、また徹底的な経費削減に努めましたが、営業損失となりました。

この結果、引渡棟数は51棟(前年同四半期比1棟増となり、売上高は同13.2%増営業損失は15.5百万円となりました。

その他事業

京都エリアにおいて、中古物件(マンション)のリノベーションを行い、付加価値を高めた上で、一般顧客への販売を手掛けています。

また、既存建物の小規模改修工事がその他事業に含まれています。

当2Q累計期間のリノベーション物件の販売実績は4戸となりました。

なお、当2Q累計期間において、京都での新築戸建住宅事業の開始に伴い、先行費用が発生しています。

この結果、売上高は前年同四半期比12.2%増営業損失は30.4百万円となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で41.0%と前期末(42.5%)から1.5ポイント低下しました。

これは主に、短期借入金が前期末比で438百万円増加し、流動負債が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期2Q累計)のフリーCF(441百万円の支出)から163百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年3月期通期)業績の見通し】

今2Q決算発表と同時に、通期業績予想の利益面の下方修正をしています。

2023年3月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[億円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
当期
純利益
[百万円]
1株当たり
当期純利益
[円]
1株当たり
年間配当金
[円]
前回(2022/5/12)
発表予想
140860800540135.0327
今回修正予想14055050033082.5224
増減額△310△300△210△3
増減率[%]△36.0△37.5△38.9△11.1
表4:2023年3月期通期業績予想数値の修正(2022年11月10日発表)

前回予想と比べ、売上高は変わらずですが、利益面は4割弱の減額を予想しています。

修正の理由は、

2Q累計の業績は、分譲戸建て住宅の販売棟数が計画数を下回ったことから売上高は前回予想を下回りました。

また、土地原価の上昇、資材価格の高騰が利益圧迫要因となり、各段階の利益も前回予想を下回りました。

通期業績予想は、建築資材全般の価格の上昇外注費への波及などが発生しており、当初予想を上回る原価率水準が一定程度継続することが見込まれることから、利益面を修正しています。

引き続き、販売価格の適正化や適切な在庫コントロールによる販売管理強化と、主要仕入れ先企業との仕入れ価格交渉や代替品の調達による原価率低減に努め、業績改善を図る予定です。

なお、配当についても、配当性向20%を目処と掲げていることから、当初の1株当たり年間 27円予想(2022/10/1の株式分割換算後)3円減配し24円に修正しています。

こちらは投資家にとって残念な内容ですね。

株価指標と動向

【2022/11/25(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、アグレ都市デザイン(3467) 6.0倍、サンユー建設(1841) 12.2倍、グランディーズ(3261) 8.2倍と比較すると、中間的な水準です。

決算期2022/10/1の
株式分割換算後
1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2018年3月期2031.1
2019年3月期1543.8
2020年3月期1528.6
2021年3月期17.518.4
2022年3月期2420.0
表5:フォーライフ 年間配当金推移

配当利回りは3.33%で、東証グロースの単純平均0.31%(11/24時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、2022/10/1の株式分割換算後で、年間1株あたり15~24円で推移しています。

また、配当性向は20%弱~40%強で推移しています。

この会社は、

株主への利益還元は、継続的な企業価値の増大を通じて実施して行くことを基本としています。

配当金については、業績の動向、財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し決定し、具体的には、配当性向20%を配当額の目途として安定配当に努めていくとしています。

内部留保金は、成長力の維持及び競争力強化等企業価値向上に資する様々な投資に活用する方針です。

なお、配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年3月末に100株以上保有の株主は、以下の2つが進呈されます。

  1. ポイントに応じて株主専用Webサイトにて食品・電化製品・体験等と交換可能なポイントが1,000ポイント(600株以上:3,000ポイント、1,000株以上:5,000ポイント)
  2. 自社請負注文住宅購入時のキャッシュバック(10万円)又は自社分譲住宅購入時キャッシュバック(20万円)

上記2は、住宅購入を検討されている方はうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2020年のコロナショックの安値から、長い間、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移し、

今年10月下旬に高値(848円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、10/25に年初来高値(848円)をつけた後は調整し、今2Q決算と通期業績の利益面の下方修正に嫌気されたのか、翌営業日(11/11)に出来高を伴い窓を開けて、前日比 55円安(-6.75%)と売られました。

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/25)は引き続き売られ、前日比 17円安(-2.31%)で終了し、年初来安値を更新しています。

今後は、この日つけた年初来安値を割り込まずに上昇に転じていのか、割り込んで下値模索をするのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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