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【立会外分売は買いか?】綜研化学(4972)

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから化学業種の綜研化学です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

11/28(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 11 月 29 日(火)
(11/28決定
分売数量99,300 株
(発行済み株式総数 8,300,000 株の約1.19%
分売値段1,712 円
(11/28決定
ディスカウント率3.00 %
(11/28決定
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:綜研化学 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.19%ほどほどの数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は41百株、25日平均は50百株(11/22時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(993百株)は、1日の出来高(25日平均:50百株)の約20倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量は多めといえます。

どんな会社?

アクリル系粘着剤をはじめとした、機能性高分子、有機微粒子、粘着テープなどのケミカル製品を製造販売している会社です。

中でも液晶パネルのフィルム貼り付け用粘着剤や、複合コピー機などで使用されるトナーキャリア用微粒子などは、市場シェア上位を有しています。

その他にも、生産システムのエンジニアリングに関する事業活動を行っています。

事業セグメントは、「ケミカルズ」と「装置システム」の2つがあり、それぞれ、

を行っています。

2022年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「ケミカルズ」が9割弱を占めています。

直近の経営概況

【2023年3月期2Q(2022年4月~2022年9月)の経営成績】

(2022年11月4日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比
[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2022年3月期
2Q累計
177
(26.7)
1,337
(△6.5)
1,481
(△0.1)
1,179
(△1.1)
2023年3月期
2Q累計
194
(9.6)
1,087
(△18.7)
1,452
(△2.0)
1,080
(△8.4)
2023年3月期
通期会社予想
(2022年11月4日
修正)
400
(3.5)
2,500
(12.1)
2,800
(2.0)
2,000
(△2.0)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
48.643.451.854.0
表2:綜研化学 2023年3月期2Q経営成績と2023年3月期通期予想

表2の通り、前年同期比 増収減益で、売上高は1割弱増利益面は微減~2割弱の減益でした。

2023年3月期通期の業績予想は、今2Q決算発表と同時に下方修正しており(表4参照)、前期比 増収増益で、売上高は微増、利益面は営業利益は1割強増経常利益は微増ですが、純利益はを予想しています。

下方修正後の通期予想に対する進捗率は、2Q終了時点で、売上高、利益面ともに1/2程度でそこそこです 。

【2023年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

同社グループは、原材料価格上昇に応じた適切な価格転嫁やコスト削減施策による収益性の改善に注力するとともに、液晶ディスプレイ分野をはじめとする既存事業領域における収益基盤の維持・拡大を図りました。

また、持続的成長と企業価値向上を果たすために、自動車、情報・電子など成長分野での新たな事業機会の創出による成長基盤の構築

医療ヘルスケア・環境・エネルギー分野での研究機関やスタートアップ企業との連携による社会課題解決を志向した新規事業開発体制の確立に取り組んでいます。

当2Q連結累計期間の業績は、2Qにおける液晶ディスプレイ関連分野での急激な生産調整の影響を受けてケミカルズの販売が落ち込みましたが、

価格改定の効果円安に伴う中国子会社売上高の為替換算額の増加などにより、売上高は194億円(前年同期比9.6%増となりました。

利益面では、原材料価格が高騰するなかで価格転嫁のタイムラグが継続したことや、2Qにおける顧客の生産調整に伴う工場稼働率の低下などにより、

営業利益は10.8億円同18.7%減)となり、経常利益は為替差益の計上などにより14.5億円同2.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は10.8億円(同8.4%減となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント製品売上高
[億円]

(前年同期比
増減率[%])
ケミカルズ(全体)179
(15.0)
粘着剤関連113
(13.6)
微粉体14.4
(△4.0)
特殊機能材16.5
(3.9)
加工35.1
(39.0)
装置システム14.6
(△30.2)
表3:2023年3月期2Q  セグメント別売上高

セグメント別の売上高は表3のようになっています。

主力の「ケミカルズ」は前年同期比 1割強の増収

「装置システム」は3割強の減収でした。

セグメント毎の状況は以下です。

ケミカルズ

粘着剤関連製品

液晶ディスプレイ関連用途向けの販売数量が生産調整の影響を受けて減少に転じましたが、価格改定の効果などにより前年同期比 13.6%増となりました。

微粉体製品

中国市場での光拡散用途向けの在庫調整が長期化するなかで販売数量が減少し、売上高は同4.0%減となりました。

特殊機能材製品

中国市場での電子材料用途向けの販売数量が減少したものの、円安に伴う為替換算額の増加により、売上高は同3.9%増となりました。

加工製品

中国市場を中心に機能性粘着テープの販売が自動車内装部材や情報電子機器用途向けで増加したことなどにより、売上高は同39.0%増となりました。

装置システム

国内設備投資が回復傾向にあるなか、受注高及び受注残高は伸びているものの、設備関連の工事完成高が前年同期に比べ減少し、売上高は同30.2%減となりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年3月期2Q末時点で65.4%と前期末(62.2%)から3.2ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で461百万円増加し、株主資本が増加したこと、為替換算調整勘定が同1,528百万円増加し、その他の包括利益累計額が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2022年3月期2Q累計)のフリーCF(86.8百万円の収入)から1,685百万円減少しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年3月期通期)業績の見通し】

今2Q決算発表と同時に、通期業績予想の下方修正をしています。

2023年3月期通期の業績予想は表4です。

売上高
[億円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
当期
純利益
[百万円]
1株当たり
当期純利益
[円]
前回(2022/5/13)
発表予想
4303,5003,5002,500303.18
今回修正予想4002,5002,8002,000242.25
増減額△30△1,000△700△500
増減率[%]△7.0△28.6△20.0△20.0
表4:2023年3月期通期業績予想数値の修正(2022年11月4日発表)

前回予想と比べ、売上高は1割弱減利益面は2~3割の減額を予想しています。

修正の理由は、

液晶ディスプレイ関連分野における急激な生産調整の影響を受けて、粘着剤をはじめとするケミカルズの販売が想定を下回るものと見ており、

円安に伴う中国子会社売上高の為替換算額の増加を見込むものの、売上高は前回予想を下回る見通しです。

利益面は、原材料価格の上昇に対する価格転嫁やコスト削減、円安効果などによる増益を見込むものの、販売数量の減少による減益をカバーするには至らず、前回予想を大幅に下回る見通しとしています。

株価指標と動向

【2022/11/22(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、アイカ工業(4206) 15.8倍、東洋インキSC(4634) 11.0倍、積水化成品(4228) 148倍と比較すると、低い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向[%]
2018年3月期7029.5
2019年3月期5531.2
2020年3月期5527.7
2021年3月期7522.7
2022年3月期7530.3
表4:綜研化学 年間配当金推移

配当利回りは4.85%で、東証スタンダードの単純平均2.22%(11/22時点) と比較すると2倍強の高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株あたり55~75円で推移しています。

また、配当性向は30%前後で安定して推移しています。

この会社は、

株主に対する利益還元を重要政策の一つと考え、事業拡大や技術革新のための設備投資及び研究開発投資を行い、海外展開による市場拡大と新製品・新技術の開発・量産化に努め、

競争力を維持・強化し、収益力の向上、財務体質の強化を図りながら、配当水準の向上と安定化に努めることを基本方針としています。

なお、剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2020年のコロナショックの安値から上昇し、翌年2月に高値(2,545円)をつけました。

しかしその後は下落基調で推移し、今年2月に安値(1,584円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、8月下旬に高値(1,990円)をつけた後は、下落基調で推移し、

今2Qの決算と通期業績の下方修正発表の翌営業日(11/7)は、これを嫌気され、窓を開けて出来高を伴い、前日比 156円安(-8.01%)と売られました

そして今回の立会外分売発表の翌営業日(11/21)は、再び窓を開けて下落し、直近の安値(1,750円)をつけています。

今後は、直近の安値を割り込まずに上昇に転じていくのか、安値を割り込み下値模索をするのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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