きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】ベース(4481)

システム開発

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから情報・通信業種のベースです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。

早ければ11/24(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年11 月25 日(金)
(11/24決定)
分売数量400,000 株
(発行済み株式総数 18,153,600 株の約2.20%
分売値段3,638 円
(11/24決定:終値 3,750円)
ディスカウント率2.99 %
(11/24決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量10,000 株
表1:ベース 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約2.20%ほどほどの数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,094百株、25日平均は539百株(11/18時点)で、流動性は少し低い水準です。

そして、今回の分売数量(4,000百株)は、1日の出来高(25日平均)の約7.4倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はそれほど多くないといえます。

どんな会社?

最新のIT技術によって、顧客の競争力アップや、業務の効率化・自動化を実現することで、顧客に常に新しい価値を提供し続けることを使命とし、

ソフトウェア受託開発事業を行っている会社です。

同社グループの事業は、ソフトウェア受託開発事業の単一事業で、

事業のサービスラインは「システム開発」「ERPソリューション」「その他ソリューション」の3つがあります。

それぞれ、

を行っています。

※2 マイグレーション:システムやデータを、異なるOSやハードウェアの環境又は新しいプラットフォームへ移行することを指す。

直近の経営概況

【2022年12月期3Q(2022年1月~9月)の経営成績】

(2022年11月14日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2021年12月期
3Q累計
96.0
(0.9)
2,186
(5.4)
2,191
(6.1)
1,495
(6.6)
2022年12月期
3Q累計
125
(30.7)
2,950
(34.9)
2,965
(35.3)
2,032
(35.9)
2022年12月期
通期会社予想
150
(12.8)
3,602
(20.0)
3,602
(19.9)
2,468
(16.1)
通期予想に対する
3Qの進捗率[%]
83.681.882.382.3
表2:ベース 2022年12月期3Q経営成績と通期会社予想

表2の通り、前年同期比 増収増益で、売上高、利益面ともに3割強増の結果でした。

2022年12月期通期の業績予想は、前期比 増収増益売上高は1割強の増収利益面は2割程度の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は3Q終了時点で、売上高、利益面ともに8割を超えており順調です。

【2022年12月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社グループが属する情報サービス業は、従前から引き続き、クラウドシフトやアジャイル活用、及びSAP・ERPの保守サポートが今後終了することに伴う後続製品へのアップグレード需要等を背景として、

デジタル変革「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」関連の推進機運は一層高まりを見せました。

このような経営環境の下、官民両面でDXへの取組みが加速する中で、同社はSEの確保のために国内、中国の2系統の採用ルートがあるという強みを最大限に活用し、グローバルで優秀な人材の採用をさらに推進しています。

採用に加え、ビジネスパートナーも積極的に活用し、案件を確実に遂行する体制の確保に取り組んだことにより、主要顧客大手SIer3社の取引が好調に推移し、増収増益を図りました。

中国子会社においては、3月から5月にかけて子会社が所在する上海市で新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンが行われ、その後も感染状況により部分的な行動制限等がありましたが、

事前に構築していたテレワーク環境下で業務を継続することで事業への影響はありませんでした

これらの結果、当3Qの経営成績は表2のようになりました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年12月期3Q末時点で73.4%と前期末(73.1%)から0.3ポイント増加しています。

これは主に、利益剰余金が前期末比で12.2億円増加し、株主資本が増加したことによるものです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年12月期通期)業績の見通し】

2022年2月14日に公表された業績予想からの変更はありません

株価指標と動向

【2022/11/18(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、クロスキャット(2307) 26.9倍、デジタル・インフォメーション(3916) 18.3倍、東邦システムサイエンス(4333) 12.7倍と比較すると、高い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金
[円]
配当性向
[%]
2017年12月期10.830.3
2018年12月期13.330.0
2019年12月期2027.9
2020年12月期3030.7
2021年12月期4033.7
表3:ベース 年間配当金推移

年利回りは1.74%で、東証プライムの単純平均 2.35%(11/18時点) と比較すると低い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金は、2019年8月に1/2分割、2020年6月に1/3分割、2022年10月に1/2割しましたので、それを現在の株数に考慮して換算すると、

1株当たり10.8~40円で推移しており、連続増配を継続しています。

配当性向は30%前後で安定しています。

この会社は、

利益配分は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としています。

そして、上記基本方針のもと、剰余金の配当につきましては、当面は中間及び期末の年2回とし、配当性向は 30%を目安として業績に連動した配当を行うこととしていましたが、

今回の今3Q決算と立会外分売と同時に、配当性向の見直しを発表しており、

営業利益 100 億円を当面の目標とするとともに、株主への利益還元を充実させるため、同社グループの連結業績、財政状況等に鑑み、営業利益が 100 億円に達するまで配当性向は50%を目安とすることにしています。

こちらは投資家にとってポジティブな内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、今年1月に安値(1,852.5円)をつけた後は上昇に転じ、11月初めに株式分割後換算で上場来高値(4,400円)をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、11/1に上場来高値をつけた後は調整し、今回の2022年12月期3Q決算と立会外分売発表の翌営業日(11/15)は、立会外分売による短期的な需給悪化懸念からか、出来高を伴い窓を開けて売られ、前日比 435円安(-10.5%)と急落しました。

しかし、その後の株価は、5日移動平均線(緑線)を上抜き25日移動平均線(赤線)近辺まで戻しています

今後は、25日移動平均線を上抜いて上場来高値(4,400円)を目指して上昇していくのか、立会外分売発表翌営業日の株価まで戻り、下落基調に転じるのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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