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【立会外分売は買いか?】アクセスグループHLDGS(7042)

セールスプロモーション

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードからサービス業種のアクセスグループ・ホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,500株まで購入できます。

早ければ11/24(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年11 月25 日(金)
(11/24決定)
分売数量60,000 株
(発行済み株式総数 1,219,800 株の約4.91%
分売値段731 円
(11/24決定:終値 753円)
ディスカウント率2.92 %
(11/24決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量1,500 株
表1:アクセスグループHLDGS 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.91%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は45百株、25日平均は190百株(11/14時点)で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(600百株)は、1日の出来高(25日平均:190百株)の約3.1倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はそれほど多くないといえます。

どんな会社?

「人と社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造する」ことを理念とし、

生活の充実に関わる「プロモーション支援事業」社会活動の源泉となる「採用支援事業」社会の繁栄に不可欠な教育機関を支える「教育機関支援事業」の3事業をビジネスフィールドとして、

広報戦略を起点として運営支援に至るまで、様々な形で顧客の支援をしている会社です。

事業内容はそれぞれ、

を行っています。

2022年9月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「プロモーション支援事業」が4割「採用支援事業」と「教育機関支援事業」が3割づつとなっています。

直近の経営概況

【2022年9月期通期(2021年10月~2022年9月)の経営成績】

(2022年11月11日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2021年9月期
通期
3,283
(△13.4)
△226
(赤字幅
拡大)
△246
(赤字幅
拡大)
△429
(赤字幅
拡大)
2022年9月期
通期
3,683
(12.2)
54
(黒字転換)
38
(黒字転換)
11
(黒字転換)
2023年3月期
通期会社予想
※2
1,830
(ー)

(ー)
△14
(ー)
△17
(ー)
(ご参考)
2023年3月期
前年同期比
増減率[%]
10.2
(前年同期
1,660
百万円)
赤字幅縮小
(前年同期
△69
百万円)
赤字幅縮小
(前年同期
△83
百万円)
赤字幅縮小
(前年同期
△85
百万円)
表2:アクセスグループHLDGS 2022年9月期経営成績と2023年3月期会社予想
※2:2023年3月期は決算期変更に伴い、2022年10月から2023年3月までの6ヵ月決算となるため、通期の対前期増減率は記載なし

表2の通り、前期比 増収増益で、売上高は1割強増利益面は黒字転換と好調な結果でした。

次期は、6カ月間の変則決済で2022年3月期通期の業績予想は前期比較はできませんが、

前の年の同じ期間である、2022年9月期2Q累計(2021年10月~2022年3月)と比較すると、前期比 増収増益で、売上高は1割増利益面は赤字幅縮小を見込んでいます。

【2022年9月期通期の状況、経営成績の要因】

同社グループを取り巻く各市場は、プロモーション市場では広告・販促の市場規模は、(マスメディア4媒体広告を除く)は前年同期比約103.5%となり、復調傾向にあります。

媒体別ではダイレクトメール等のアナログ系媒体が同約99.2%と横ばいとなったものの、SP(セールスプロモーション)・PR(パブリック・リレーションズ)・催事企画が111.5%となり、コロナ禍で落ち込んだ前年同期から回復しています。

インターネット広告も同約109.5%と引き続き伸長し、広告分野は全体的に伸長しています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より同社グループ調べ)。

採用市場では、有効求人倍率が1.32倍(2022年8月)となり、安定的に推移しています。教育機関市場では、大学・短大への進学率が58.9%と過去最高水準にある状況となっています(2021年度「学校基本調査」)。

このような状況の中、同社グループのプロモーション支援事業では、ニーズの高いキャンペーン事務局代行を中心とした事務局運営の受託新型コロナウイルス関連事業の受託拡大に注力をしました。

採用支援事業では、来年度入社対象の求人の引き合いが増加したことによるマッチング企画の規模を拡大して実施したほか、ダイレクトリクルーティングサービスの運用代行を含む採用代行業務の運営や新卒紹介、官公庁雇用促進事業の受託に注力しました。

教育機関支援事業では、引き続き、大学の寄付・募金関連を中心とした入学広報関連以外でのプロモーション・業務代行のほか、外国人の入国が再開されたことに伴う外国人留学生事業の進学サービスを推進しました。

また、グループ全体として、イベントスペース「アクセスフォーラム」の一部縮小と閉鎖に合わせたオフィス移転事業子会社の固定資産売却などを含めた経営合理化施策を推進しました。

その結果、全ての事業セグメントで増収となりセグメント利益を確保したことから、連結ベースでも増収となり、各段階利益が黒字に転じました

なお、イベントスペース「アクセスフォーラム」の合理化に係る原状回復費用や移転費用により販売費及び一般管理費、営業外費用が期初予想より増加しています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高
[百万円]
(前期比
[%])
セグメント
利益
[百万円]
(同)

プロモーション
支援
1,481
(19.7)
32
(前期
△60百万円)
採用支援1,100
(8.3)
11
(前期
△225百万円)
教育機関支援1,101
(7.0)
35
(△22.3)
表3:2022年9月期通期 セグメント別業績

全てのセグメントで増収で、主力の「プロモーション支援事業」と「採用支援事業」は黒字転換して好調でしたが、

「教育支援事業」は減益の結果でした。

セグメント別の状況は以下です。

プロモーション支援事業

キャンペーン事務局を中心とした事務局代行の受託を中心に大きく伸長したほか、

新型コロナウイルス関連の事務局運営等を足掛かりとした受託事業も順調に進んだことから、自治体・公的機関・共済分野を中心に堅調に推移しました。

デジタル関連商材も概ね想定通り推移した結果、売上・利益面共に前年同期を大きく上回り、セグメント利益を確保しました。

採用支援事業

ダイレクトリクルーティングの運用代行、官公庁からの受託を含む雇用関連イベント運営関連の個別案件が堅調に推移したほか、新卒向け人材紹介が大きく伸長しました。

また、来年度入社を対象にしたマッチング企画の引き合いが多く、企画を拡大して実施したことが利益面に貢献しました。

販売費及び一般管理費の削減も奏功し、前年同期を上回ってセグメント利益の確保しました。

教育機関支援事業

特に個別案件が伸長しました。

引き続き、デジタル関連広告が売上を牽引したほか、教育機関の職域接種運営代行や寄付・募金関連プロモーションが結実し、前年同期を上回りました。

また、外国人留学生募集関連では、外国人の新規入国制限の緩和措置により、高等教育機関における学生募集広報のニーズが回復基調となりました。

同社グループの合理化による人員配置の適正化により人件費が増加し、利益面では前期比減となりましたが、売上・利益ともに想定通りに推移しました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年9月期末時点で19.4%と前期末(13.9%)から5.5ポイント増加しています。

これは主に、前期末比で短期借入金が667百万円減少し、流動負債が減少したことによるものです。

自己資本比率の数値としては危険レベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2022年9月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※2 フリーCFの説明:

前期(2021年9月期通期)のフリーCF(379百万円の支出)から628百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

営業活動によるCFのマイナス分を、定期預金や保険積立金による過去の蓄積で補っていることが見えてきます。

【今期(2023年3月期)業績の見通し】

同社グループの業績は従来より季節変動要因を抱えています。

同社グループの採用支援事業は2月頃から3月頃に、また教育機関支援事業においては4月頃から7月頃にかけ、売上が集中する傾向があります。

この要因に伴い、6か月間の変則決算となる2023年3月期においては、特に教育機関支援事業において、売上集中期の前に期末を迎えることとなるため、セグメント損失が発生する可能性があります。

2023年3月期の業績予想数値は、これらの要因と傾向を踏まえて算出しています。

2023年3月期は、デジタル商材やキャンペーン事務局受託、採用代行業務や人材紹介など、新型コロナウイルスの感染拡大による経済変動の影響を受けにくい事業モデルにシフトをしていることに加えて、

今後も日本国内においては、感染状況を見据えながらも経済活動が重視されていくものと想定しています。

そのため、各事業セグメントとも2022年9月期と同様の市場環境が続くものと予想しているほか、「アクセスフォーラム」の合理化完了に伴う固定費の削減効果もあり、通期業績は前期比で改善する見通しとしています。

このような状況下、各セグメントでは以下の経営方針で事業を展開していく計画です。

プロモーション事業

採用支援事業

教育機関支援事業

グループ全般

以上の結果、表2の2023年3月期の会社予想としています。

【継続企業の前提に関する重要事象等】

同社グループは、2022年9月期に営業利益を計上したものの、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。

このような状況に対し、当座貸越契約等に基づく資金の借入を行うことにより、必要な運転資金を確保しています。

これにより、同社は継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。

株価指標と動向

【2022/11/14(月)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、学情(2301) 17.4倍、CDG(2487) 44.8倍、CLホールディングス(4286) 15.4倍と比較すると、中間的な水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向
(%)
2018年9月期24.819.4
2019年9月期29.51,623
2020年9月期
2021年9月期
2022年9月期
表4:アクセスグループHLDGS 年間配当金推移

表4のように、直近5年間の配当金は、年間1株当たり0~29.5円で推移しており、直近3年間は無配が続いています。

配当性向は、無配の年を除いて、20%弱~1,000%で幅があります

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つであると認識しており、

長期的な観点から、将来の事業展開、財務体質の強化などバランスを勘案しながら実施する方針です。

しかしながら、2022年9月期の剰余金の配当については、財務体質の改善を優先することが必要と判断し、無配としています。

【株主優待】

この会社は、今回の2022年9月期決算発表と同時に、株主優待制度の変更(拡充)を発表しました。

従来の300株以上保有の株主に進呈されることに変更はないのですが、

株主優待ポイント数(食品・電化製品、ギフト、雑貨など2,000点以上の商品に交換可能)が変更になりました。

300~499株以上保有の場合(保有株数によって増加)の、主な変更点は以下です。

こちらは、個人投資家にとってうれしい内容ですね。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、ほぼ800~1,000円のレンジ内で推移しており、

時折、急騰しますが、すぐに元の値に戻る傾向があります。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、8月末に急騰し年初来高値(1,120円)をつけましたが、その後は元の値に戻り、800円前後で推移しています。

今回の立会外分売と2022年9月期決算、株主優待拡充の発表の翌営業日(11/14)は、決算内容があまり好感されなかったのと、立会外分売による短期的な需給悪化懸念で、前日比 24円安(-3.03%)と窓を開けて売られました。

今後は、直近の10月につけた安値(756円)や1月につけた年初来安値(755円)を割り込まずに上昇に転じていくのか、それらを割り込み下値模索をするのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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