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【立会外分売は買いか?】アレンザホールディングス(3546)

福島

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから小売業種のアレンザホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ10/27(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 10 月 28 日(金)
(10/27決定
分売数量340,000 株
(発行済み株式総数 30,193,386 株の約1.12%
分売値段899 円
(10/27決定
ディスカウント率3.02 %
(10/27決定
申込単位数量100 株
申込上限数量3,000 株
表1:アレンザホールディングス 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.12%ほどほどの数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は890百株、25日平均は372百株で、流動性は低い水準です。

そして、今回の分売数量(3,400百株)は、1日の出来高(25日平均:372百株)の約9倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はほどほどといえます。

どんな会社?

「快適で豊かな暮らしの創造」をスローガンとし、

ホームセンター事業、ペットショップ事業およびそれに関連する事業会社の経営管理をしている会社です。

ホームセンターは、「ダイユーエイト」「タイム」「バロー」、

ペット専門店は「ペットワールドアミーゴ」「ジョーカー」をそれぞれ独立した会社で運営しています。

事業セグメントは、この会社単位で分かれており、

2022年2月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「ダイエーエイト」と「ホームセンターバロー」合わせて7割弱を占めています。

直近の経営概況

【2023年2月期2Q(2022年3月1日~8月31日)の経営成績】

(2022年10月11日発表)

決算期営業収益
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2022年2月期
2Q累計
796
(△1.7)
4,237
(△24.6)
4,504
(△23.4)
2,908
(△23.2)
2023年2月期
2Q累計 ※2
750
(ー)
3,495
(ー)
3,723
(ー)
2,108
(ー)
2023年2月期
通期会社予想
※2
1,556
(ー)
6,500
(3.5)
7,000
(2.3)
4,250
(3.9)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
48.253.753.149.6
表2:アレンザホールディングス 2023年2月期2Q経営成績と通期会社予想
※2:「収益認識に関する会計基準」等を2023年2月期首より適用しており、業績予想は当該会計基準等を適用した後の数値。このため、対前期増減率については記載なし。

表2の通り、会計基準が異なりますので単純比較はできませんが、

当期の実績値と前期の実績値を単純比較した場合、前年同期比 減収減益で、営業収益は1割弱減利益面は営業利益と経常利益は2割弱減、純利益は3割弱の減益でした。

2023年2月期通期の業績予想は、こちらも単純比較はできませんが、前期比 減収増益で、営業収益は微減利益面は微増の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、営業収益、利益面ともに1/2でそこそこです。

【2023年2月期2Qの状況、経営成績の要因】

小売業界は、高齢化・人口減少に加え消費者の節約志向も強まる中、他業態との販売競争も激化しており先行きは一層不透明感を増した期間となりました。

このような状況の中、同社グループは、主力事業であるホームセンター店舗、ペット専門店の営業において、”withコロナ”を前提とした環境変化に対応するため、引き続き新型コロナ感染症の防止策を徹底し、従業員とお客様の安全を確保したうえで、安心してお買い物ができる店舗環境作りに取組みました。

加えて、昨今頻発する震災被害に対しても、地域の顧客の生活を支える「社会インフラ」として生活必需品の安定供給に継続して注力しました。

また、「新たな生活様式」の定着化によるライフスタイルの変容、非接触志向のオンラインを活用した購買、キャッシュレス決済の進捗等消費者のデジタルシフトが加速する中で、

商品ニーズ、消費行動の変化を迅速に捉え対応するとともに、「商品力の向上」としてPB商品の販売拡大オリジナル商品開発による差別化を進め、顧客に支持される店舗づくりを進めています

新規出店は、当2Q連結累計期間において、

タイムは岡山県にホームセンターを1店舗開設

アミーゴは愛知県に1店舗(ペット専門店)を開設

ジョーカーは、東京都に1店舗(ペット専門店)開設しましたが、スクラップ&ビルドにより1店舗退店

ホームセンターバロー1店舗退店しました。

これにより当2Q連結会計期間末の店舗数は285店舗となりました。

これらの結果、表2の経営成績となりました。

1Q連結会計期間の期首より収益認識会計基準等を適用していますが、その影響として、営業収益は45億4千万円減少営業利益は53百万円増加経常利益は2百万円増加親会社株主に帰属する四半期純利益は0百万円増加しています。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント営業収益
[億円]
セグメント
利益
[百万円]

ダイユーエイト
2371,170
タイム83.393
ホームセンター
バロー
2851,315
アミーゴ102815
その他97.32,208
表3:2023年2月期2Q セグメント別業績

なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用のため、前年同期比比較はありません。

セグメント別の状況は以下です。

ダイユーエイト

ホームセンター事業は、既存店ベースで、客単価が前年同期比3.2%増加しましたが、来店客数が前年同期比で3.2%減少したことにより、既存店売上高は0.1%の減少とほぼ前年並みの売上となりました。

売上高における既存店ベースでの商品別販売動向は、期間を通して天候が安定せず寒暖差も大きな日が多かったことから季節商品の売場作りが難しい期間となりました。

春先は、品ぞろえ強化に取組んできた植物、園芸が低温の影響を受け苦戦しましたが、後半になって気温の上昇とともに需要が回復し、除草剤・肥料等の園芸・農業資材等と共に売上が伸長しました。

2022年3月16日に発生した震度6弱の福島県沖地震の影響で補修・防災商品等の特需が発生し、作業資材、木材塗料等の売上が前年同期比で増加しています。

また、夏場は、6月後半の猛暑により扇風機・エアコン等の家電製品が売上を牽引しました。

一方で8月のお盆商戦は天候に恵まれず、キャンプ用品等のアウトドア用品を始めとして夏物需要が低迷し季節商品を中心に前年比で売上が伸び悩みましたが、

注力している切花は大きく売上を伸ばしたほか、除草剤・殺虫剤等も好調に推移しました。

EC部門は、コロナ禍のもとで非接触志向の高まりから市場規模も拡大しているなかで、EC取扱い品目の増加と、さらなるユーザーサービス機能を拡充させるために即日発送可能商品数を大幅に増加させたことにより前年同期比で取扱高を大きく伸ばすことができました

利益面は、PB商品の取扱いアイテム数の拡大と販売強化による収益率の改善に取組んでおり、今後さらなる商品開発のスピードを高めると共にオリジナル商品の拡大に重点的に取組んでいます

販売費及び一般管理費は、電気料・物流コストの高騰、キャッシュレス決済手数料の負担増加の影響により販売費及び一般管理費が前年より増加しています。

なお、収益認識会計基準等の適用による影響として、セグメント営業収益は10.3億円減少し、セグメント営業利益は3百万円増加しています。

タイム

ホームセンター事業は、既存店ベースで、客単価が前年同期比で2.3%増加しましたが、来店客数が前年同期比で6.2%減少したことから、既存店売上高は4.1%減少しました。

売上高における既存店ベースでの商品別販売動向は、3月~5月は天候に恵まれ、用土・肥料・ガーデン用品を中心に園芸用品が伸長し、酒類については家飲み需要の定着化によりビール・ウイスキーが好調に推移しました。

6月~8月は、天候に左右されながらも農業肥料、農業薬品、農業機材、収穫用品等の農業資材が好調となりました。

3年ぶりに「行動制限」がなかったお盆休みは、帰省によりお盆向けの切花が伸長した他、扇風機や冷風扇等の冷房用品が好調に推移しました。

また、自転車は、スポーツ・レジャーとしてライフスタイルに取り入れる人が増えつつあり、引き続き電動アシスト自転車が売上を牽引しています。

一方、前年は新型コロナウイルスの影響により、収納用品・床材等の一時的な販売数増加、住まいのメンテナンス需要により木材・塗料等のDIY商品、在宅勤務や外出自粛によりキッチン・器具・調理用品等の家庭用品が好調に推移しましたが、

今期は需要が例年以下に減少していることから、売上高は低迷しています。

販売費及び一般管理費は、作業に応じた人員の配置、残業時間の削減を実施した他、折込みチラシ回数の削減レギュラーポイントセールの見直し間接部門の経費削減を行うことで必要コストの圧縮を継続しています。

なお、収益認識会計基準等の適用による影響として、セグメント営業収益は94百万円減少し、セグメント営業利益は4百万円増加しています。

ホームセンターバロー

ホームセンター事業は、既存店ベースで、客単価が前年同期比で4.9%増加しましたが、来店客数が前年同期比で6.4%減少したことにより、既存店売上高は1.9%減少しました。

商品別販売動向は、春先は、花苗、野菜苗を中心に園芸関連は堅調に推移しましたが、6月末に梅雨明けしたものの7月は週末に雨が集中したことや、前期の新型コロナウイルス対策需要の反動から前年比減収となりました。

一方、専門性強化に取り組んでいる農園芸機械や、タイヤ販売・サービス、需要が戻りつつあるリフォーム・エクステリアは好調に推移しました。

また、お盆は鮮度を重視して取り組んでいる切花が好評で前年を上回る実績となりました。

資材・工具金物専門店「プロサイト」は、SNS発信により顧客とのつながりを高め、顧客の声から品揃えを強化する取り組みを続けており、前年を上回る実績を続けています。

PB商品は、取扱商品の拡大、売場展開強化を行い構成比が上がってきています

販促は、デジタル販促へのシフトを進めています。「ルビット」アプリ会員様販促を中心に取り組んでおり、会員様販促やイベント、バローグループ共同販促の展開により相乗効果を出しています。

EC事業は、売上は大きく前年を上回る実績で推移しています。ホームセンター商材である工具、金物の強化を実施しており、品揃えを充実し、更により早くお届けできるよう物流の改善をしています。

また、売れ筋商品を集中的に販売することで、仕入れ交渉を行い利益率の改善にも取り組んでいます。

ペット事業は、巣籠り需要の反動から減収となりました。PB商品の開発を強化しており、新たに展開した犬スナックは、計画を上回る実績で推移しています。

7月には初めての取り組みとして「大昆虫展」イベントを実施しました。

顧客が昆虫に触れ合う場を提供し、飼育に関する知識・情報発信を行い、夏休みのお子様の思い出作りにと来店しています。

コスト面につきましては、水道光熱費の上昇がありますが、全体で経費削減に取り組み、計画内での推移をしています。

なお、収益認識会計基準等の適用による影響として、セグメント営業収益は14.9億円減少し、セグメント営業利益は47百万円増加しています。

アミーゴ

ペットワールドアミーゴは、既存店ベースで、来店客数が前年同期比で1.7%減少客単価が前年同期比で2.2%減少したことにより、既存店売上高は3.9%減少となりました。

コロナ禍における様々な自粛や行動制限が縮小傾向となり、顧客の動向には変化が見られています。

2年間見られたペット需要の増加は落ち着き、生体の販売頭数には鈍化が見られ、売上高が前年同期を下回っています

その他のカテゴリーにおける2Qの商品別販売動向は、犬・猫のおやつ、プレミアムフード、小動物のフード等が好調に推移しています。

また、外出・旅行等の需要拡大により、コロナ禍に著しく落ち込んでいたペットホテルサービスは回復しています。

今期は販売活性化策として什器レイアウトの変更、店舗設備の入替など既存店4店舗の改装を計画しており、2Qまでに3店舗実施しました。

販売費及び一般管理費は、著しい電気料の高騰がコストアップの大きな要因となっています。

なお、収益認識会計基準等の適用による影響として、セグメント営業収益は17.3億円減少し、セグメント営業利益は2百万円減少しています。

その他

収益認識会計基準等の適用による影響として、セグメント営業収益は179百万円減少し、セグメント営業利益には影響していません

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年2月期2Q末時点で35.0%と前期末(34.7%)から0.3ポイント増加しています。

自己資本比率の数値としてはまだ問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年2月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※3 フリーCFの説明:

前期(2022年2月期)2Q累計のフリーCF(5,601百万円の支出)から7,209百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年2月期通期)業績の見通し】

2022年4月12日付「2022年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)」において公表された業績予想値に変更ありません

株価指標と動向

【2022/10/21(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、サンデー(7450) 21.7倍、エンチョー(8208) 16.7倍、コメリ(8218) 7.2倍と比較すると、低い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2018年2月期2637.0
2019年2月期26
(最終赤字)
2020年2月期2639.3
2021年2月期3621.0
2022年2月期3626.5
表4:アレンザホールディングス 年間配当金推移

年利回りは4.12%で、東証プライムの単純平均 2.38%(10/20時点) と比較すると高い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり26~36円の間で推移しており、

前年と同額の年もありますが、基本的には増配しています。

配当性向は、詩集赤字の年を除き、20%台~30%台で安定して推移しています。

この会社は、

株主に対する利益還元は、将来の事業展開と経営基盤の一層の充実強化を図り、業績の進展状況基準配当性向30%に基づき決定していく方針です。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年2月末を基準日とした年1回、100株以上保有の株主は、JCBギフトカード 1,000円相当(500株以上:3,000円相当、1,000株以上:5,000円相当、3,000株以上:10,000相当)が進呈されます。

100株保有の場合、配当金+株主優待(1,000円相当)で利回りは5.20%になります。

こちらは、個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2020年11月に高値(1,548円)をつけた後は、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドで推移しています。

そして、今年3月に年初来安値(863円)をつけそれ以降は、安値更新はされていません

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、7月下旬に高値(1,067円)をつけた後は、ずっと下落基調で推移しており、

今回の立会外分売発表の翌営業日(10/21)は、短期的な需給悪化懸念からか、窓を開けて急落し、前日比 75円安(-7.52%)まで出来高を伴い売り込まれました

今後は、3月につけた年初来安値(863円)を下回らずに上昇に転じていくのか、これを下抜けて下値模索をするのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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