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【立会外分売は買いか?】セキチュー(9976)

DIY

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証スタンダードから小売業種のセキチューです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と分売値段は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大4,000株まで購入できます。

早ければ10/12(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 10 月 13 日(木)
分売数量219,000 株
(発行済み株式総数 5,586,150 株の約3.92%
分売値段1,696 円
(10/12決定:終値 1,766円)
ディスカウント率3.96 %(10/12決定)
申込単位数量100 株
申込上限数量4,000 株
表1:セキチュー 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

としています。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約3.92%多い数量※1です。

※1:一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は11百株、25日平均は6百株で、流動性は極端に低い水準です。

そして、今回の分売数量(2,190百株)は、1日の出来高(25日平均:6百株)の365倍ですので、この銘柄の通常の出来高からすると分売数量はかなり多いといえます。

どんな会社?

群馬県が地盤で、「ホームセンターセキチュー」「カー用品専門店オートウェイ」「自転車専門店サイクルワールド」などのホームセンター事業を行っている会社です。

他にも、不動産賃貸事業を行っています。

事業内容はそれぞれ、

です。

2022年2月期通期の商品部門別売上高構成比は、

となっており、「DIY用品」の売上が5割強占めています。

直近の経営概況

【2023年2月期2Q(2022年2月21日~8月20日)の経営成績】

(2022年9月29日発表)

決算期営業収益
[億円]
(前年
同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主
に帰属する
純利益
[百万円]
(同)
2022年2月期
2Q累計
157
(△7.1)
635
(△40.7)
668
(△39.5)
340
(△53.4)
2023年2月期
2Q累計 ※2
155
(ー)
758
(ー)
793
(ー)
528
(ー)
2023年2月期
通期会社予想
※2
300
(ー)
600
(ー)
650
(ー)
400
(ー)
通期予想に対する
2Qの進捗率[%]
51.8126122132
表2:セキチュー 2023年2月期2Q経営成績と通期会社予想
※2:「収益認識に関する会計基準」等を1Q会計期間の期首から適用しており、業績予想は当該会計基準等を適用した後の数値。このため、対前期増減率については記載なし。

表2の通り、会計基準が異なりますので単純比較はできませんが、

当期の実績値と前期の実績値を単純比較した場合、前年同期比 減収増益で、営業収益は微減利益面は営業利益と経常利益は2割弱増、純利益は5割強の増益でした。

2023年2月期通期の業績予想は、こちらも単純比較はできませんが、前期比 減収増益で、売上高は微減、利益面は営業利益と経常利益は微増ですが、純利益は2.2倍の増益を見込んでおり、

その通期予想に対する進捗率は2Q終了時点で、売上高は1/2でそこそこで、

利益面はすでに通期予想を超過しており、いつ上方修正してもおかしくない状況ですが、

下半期の店舗改装等の投資計画を見直した結果当初の業績予想のまま据え置いています

【2023年2月期2Qの状況、経営成績の要因】

ホームセンター業界は、新型コロナウイルス感染拡大に関連した「巣ごもり需要」が落ち着きを見せる一方で、

円安・資源高を背景とした商品仕入価格の高騰や、販売費及び一般管理費の上昇等もあり、厳しい状況で推移しています。

このような状況のもと、昨年に引き続き<「全員参加」~皆で地域密着型の安心・安全なインフラ店舗をつくろう~>を当事業年度のテーマに掲げ、

コロナ禍を乗り越える為、また激しく変化する社会に対応し、お客様にとって無くてはならない安心・安全な店舗をつくる為、全員一丸となって取り組んできました。

以上の結果、表2の経営成績となりました。

コロナ禍の「巣ごもり需要」の反動や資源高を背景とした店舗運営コストの上昇等があり、厳しい状況でしたが、

売上総利益率の改善や、経費削減に努めた結果、想定を上回る水準で推移しています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2023年2月期2Q末時点で57.4%と前期末(55.9%)から1.5ポイント増加しています。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー>2023年2月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

 ※3 フリーCFの説明:

前期(2022年2月期)2Q累計のフリーCF(983百万円の支出)から1,313百万円増加しています。

営業活動によるCFの主な内訳(百万円):

投資活動によるCFの主な内訳(百万円):

【今期(2023年2月期通期)業績の見通し】

当2Qの営業収益は、新型コロナウイルス感染拡大に関連した「巣ごもり需要」が落ち着きを見せ、客数は減少傾向で推移しましたが、

リフォーム・エクステリア部門、建築資材部門等が好調に推移し、また商品単価の上昇もあって概ね予想通りとなりました。

営業利益および経常利益、四半期純利益は、水道光熱費等の店舗運営コストが上昇する中、売上総利益率の改善や各種経費の削減に努めた結果、前回予想を上回っています

しかしながら、通期業績予想は、2Qまでの業績の進捗を踏まえつつ、下半期の店舗改装等の投資計画を見直した結果当初の業績予想のまま据え置きとしています。

株価指標と動向

【2022/10/6(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、DCMホールディングス(3050) 9.1倍、カンセキ(9903) 8.1倍、ジョイフル本田(3191) 13.7倍と比較すると、高い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2018年2月期2059.6
2019年2月期20
(最終赤字)
2020年2月期2037.3
2021年2月期40
(内 記念/
特別配当
20円)
34.4
2022年2月期2058.6
表4:セキチュー 年間配当金推移

年利回りは1.09%で、東証スタンダードの単純平均 2.20%(10/5時点) と比較すると低い水準です。

表4のように、直近5年間の配当金は、1株当たり20~40円の間で推移しており、

2021年2月期の記念配当 10円、特別配当 10円を除くと20円で一定です。

配当性向は、30%台~50%台で推移しています。

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、経営基盤の強化と安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としています。

また、剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本的な方針としています。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年2/20を基準日とした年1回、少しハードルは高いですが、500株以上保有の株主は、自社商品券または自社取扱商品 3,000円相当(2,000株以上は5,000円相当)が進呈されます。

500株保有の場合、配当金+株主優待(3,000円相当)で利回りは1.42%になります。

こちらは、店舗がお近くにある個人投資家にとってはうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、2021年4月に高値(2,150円)をつけた後は調整し、

今年2月に年初来安値(1,471円)をつけました。

しかしその後は、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、7月下旬に安値(1,656円)をつけた後は上昇基調で推移し、

今2Qの決算発表の翌営業日(9/29)に急騰高値(1,935円)をつけました。

その後はしばらく調整していましたが、今回の立会外分売発表の翌営業日(10/6)は始値は安く始まったものの、大きめの陽線をつけて前日比 110円高(+6.43%)と大きく上昇しました。

今後は、直近の高値(1,935円)を上抜いて上昇トレンドに乗ってくるのか、直近の安値(1,656円)に向かって下落していくのか、要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル
(⭐(最低)~
⭐⭐⭐⭐⭐(最高))
業績⭐⭐⭐
株主還元
(配当、株主優待等)
⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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