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【公募増資・売出(PO)は買いか?】ブックオフGHD(9278)

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こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証プライムから小売業種のブックオフグループホールディングスです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募による自己株式の処分です。処分価格等決定日や受渡期日、処分数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「処分価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となってますが、ほぼほぼ2~4%程度です。

ただ、ディスカウント率が大きいPOもあり、直近ではENECHANGE(4169)の8.1%が最大です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は、野村證券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、4/19(火)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

処分価格等決定日2022 年4月 19 日(火)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2022 年4月 27 日(水)
公募による自己株式の処分(一般募集)数量普通株式 2,000,000
発行済み株式総数 20,547,413 株 の約9.7%
株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)数量
普通株式 300,000 株(実施決定(4/19)
※上記の「処分価格等決定日」に決定野村證券が売出す。
調達資金手取り概算額(上限)23.6 億円
処分価格962 円(4/19決定)
ディスカウント率3.51 %(4/19決定)
申込単位数量100 株
主幹事野村證券
表1:ブックオフGHD PO概要

【自己株式処分の目的】

【調達資金の使途】

に充当する予定としています。

今回の株式の売出数量は、発行済み株式総数の約9.7%(OAを含めた最大の株数で11.1%)で、

直近の自己株式の処分(株式の売出を含む)のPOの売出株数比率(OA含む)は、リンクアンドモチベーション 10.2%、ネクステージ 2.5%、朝日放送グループ 3.4%でしたので、それと比較すると多い数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は4,087百株、25日平均は1,074百株で、流動性は少し高い水準です。

どんな会社?

1990年に創業し、「事業活動を通じての社会への貢献」と「全従業員の物心両面の幸福の追求」という二つを経営理念とし、

中古書籍等の小売店舗「BOOKOFF」を中心に、「リユース」を切り口とした小売店舗の運営及びフランチャイズ事業を行っている会社です。

現在は、グループ全体で国内外約800店舗を運営しています。

また、リユース市場の成長に合わせて、富裕層向けの新たなリユース事業や、日本国内にとどまらず海外への事業展開も積極的に行っています。

事業内容は、主に「国内ブックオフ事業」「富裕層向け事業」「海外事業」の3つがあり、

2021年5月期通期(2020年4月1日~2021年5月31日の14カ月間の変則決算)の売上高構成比は、

となっており、国内の「BOOKOFF」の売上が9割を占めています。

直近の経営概況

2022年5月期3Q(2021年6月~2022年2月)の経営成績】(2022年4月8日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2021年5月期3Q累計582
(△6.5)
737
(△11.1)
1,113
(△7.6)
△44
(ー)
2022年5月期3Q累計 ※673
(ー)
1,595
(ー)
2,041
(ー)
1,290
(ー)
2022年5月期通期会社予想 ※
(2022年4月8日修正)
890
(ー)
1,800
(ー)
2,300
(ー)
1,400
(ー)
通期予想に対する3Qの進捗率[%]75.688.688.792.1
表2:ブックオフGHD 2022年5月期3Q経営成績
※2021年5月期より決算日を3月31日から5月31日に変更しており、これに伴い、2022年5月期3Q(2021年6月1日から2022年2月28日まで)は、比較対象となる2021年5月期3Q(2020年4月1日から2020年12月31日まで)とは対象期間が異なるため、2022年5月期3Qの対前年同四半期増減率については記載なし

2022年5月期3Q累計の業績は、比較対象となる期間が異なるため単純比較はできませんが、前年同期比 増収増益で、売上高は1割強増、利益面は2倍程度の増益となっており好調です。

2022年5月期通期の業績は、前期は14カ月間の変則決算だったため比較はできませんが、今回のPO発表の1営業日前に上方修正しています。(【今期(2022年5月期通期)業績の見通し】の項ご参照)

上方修正後の通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で売上高は3/4ほどでまあまあ利益面は9割程度に達しており順調です。

【2022年5月期3Qの状況、経営成績の要因】

2022年5月期は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、国内ブックオフ事業における安定収益をより強固なものとするため、

戦略的なIT・マーケティング投資に加えて「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の収益力回復のためのリニューアル投資や、成長期待分野である富裕層向け事業、海外事業における収益向上のための新たな挑戦を実行する一年と位置づけています。

また、「ひとつのBOOKOFF」構想を実現するべく、公式アプリ会員の獲得とともに、会員限定のクーポンの配布やセールキャンペーン、アプリ内で購入した商品の店舗受取等サービス施策の充実等、

ECサイト「BOOKOFF Online」を活用したオムニチャネル化顧客との設定医となるあらゆる経路を統合・連携させ、販売促進につなげるマーケティング手法)並びにO2O実店舗への来店や店頭での購入など オフライン での行動を促すことを目的とするオンラインでの活動戦略を推進するべく、継続的に投資を行っています

当3Q連結累計期間の、

国内ブックオフ事業においては、既存の「BOOKOFF SUPER BAZAAR」や「BOOKOFF PLUS」のリニューアルを積極的に実施しました。

主要商材である書籍の売上高が、巣ごもり需要が旺盛であった前年同月期間を下回った一方で、

トレーディングカード・ホビーの売上高が、トレーディングカード売場の拡大、デュエルスペース(トレーディングカードゲーム(トレカ対戦)を行う場所)の設置等積極的な販売施策を展開した効果等により、前年同月期間を大幅に上回りました

富裕層向け事業は、百貨店内買取窓口等が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、売上高は前年同月期間を上回りました

海外事業は、「Jalan Jalan Japan」がマレーシア国内のロックダウンの影響により休業を余儀なくされたものの、

ロックダウン解除後の客足は順調に推移し、足元の売上高はコロナ前水準まで回復しました。

また、アメリカ合衆国内の「BOOKOFF」は、現地でのSNS等を使用した認知向上を図ったことにより、店頭での買取・販売が好調に推移し、特に現地書籍やアニメグッズ等の売上高が前年同月期間を大幅に上回りました

また当3Q連結累計期間において、アメリカ合衆国にBOOKOFF KAKA’AKO STORE店を、マレーシア国にJalan Jalan Japan Masai店を出店しました。
このほか、東京都武蔵野市に同社グループ初のトレーディングカード専門ショップとなるJapan TCG Center 吉祥寺駅北口店を出店しました。

当該店舗はトレーディングカードの買取・販売だけでなく、新品パックやトレーディングカードに関連するグッズ類も豊富に取り揃え、店舗で遊べるデュエルスペースも完備しています。

これらの結果、表2の経営成績となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年5月期3Q末時点で34.3%と前期末(31.9%)から2.4ポイント増加しました。

これは主に、利益剰余金が前期末比で11.8億円増加し、株主資本増加したためです。

自己資本比率の数値としてはまだ問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年5月期通期)業績の見通し】

今回のPO発表の1営業日前に、通期業績予想上方修正しています。

また、配当予想についても前回予想から5円増額しています。

通期業績予想は、表4のようになっています。

売上高
[億円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
1 株当たり
当期純利益

[円]
1 株当たり
年間配当金
[円]
前回(2022/1/13)
発表予想
8701,3501,80085040.7015
今回(4/8)
修正予想
8901,8002,3001,40080.2120
増減額20450500550
増減率[%]2.333.327.864.7
表3:2022年4月8日修正 2022 年5月期通期連結業績予想

今年1月時点の予想から、売上高は微増ですが、利益面は3~6割強の増額修正をしています。

修正の理由は、

国内ブックオフ事業において、トレーディングカード・ホビーを中心に既存店売上高が想定を上回って推移したこと、

海外事業において、米国、マレーシアそれぞれでの販売が好調に推移したことなどにより、前回公表予想を上回る見通しとしています。

配当についても、

同社は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としており、

この基本方針ならびに今回の通期連結業績予想の修正を踏まえ、2022 年 5 月期の期末配当予想について、前回発表予想より 5 円増配1 株あたり 20 円(期末一括)に修正しています。

こちらは、株主にとってうれしい内容ですね!

株価指標と動向

【2022/4/12(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ゲオホールディングス(2681) 11.7倍、トレジャー・ファクトリー(3093) 23.5倍、ハードオフ(2674) 13.0倍と比較すると、中間的な水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2019年3月期1513.4
2020年3月期43.6
2021年5月期 666.4
表4:ブックオフGHD 年間配当金推移

配当金の年利回り1.9%で、東証プライムの単純平均2.23%(4/11時点) と比較すると少し低い水準です。

表4のように、上場(2018年10月)から3年間の配当金6~15円で推移しています。

配当性向は、13~66%と幅があります

この会社は、

利益配分を経営の最重要事項の1つと認識し、業績向上を通じた増配を目指しつつ、内部留保は、財務体質の強化と将来の事業基盤強化につながる戦略投資に対して有効に活用する方針です。

また、連結純利益に対する配当性向は30~35%程度を目処に、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。

今回の通期業績予想時点(4/8)での配当性向は24.9%ですので、この方針通りになれば、最終的には再度増配の可能性もあると思います。

【株主優待】

この会社は株主優待があり、毎年5月末に100株以上保有の株主は、

が進呈されます。

3年未満の100株保有の場合、配当金+株主優待(2,000円相当)は、年利回り 3.9%となります。こちらは個人投資家にとってうれしい内容ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、一昨年のコロナショック時の安値から、高値切り上げ安値切り上げの右肩上がりの上昇トレンドを継続しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、4/8に年初来高値(1,248円)をつけるまで上昇トレンドで推移していましたが、

今回のPO発表を受け、その翌営業日(4/12)は1株当たり利益の希薄化や需給悪化懸念から、窓を開けて出来高を伴い大きく下げ、前日比 217円安(-17.6%)で終了しました。

長い間、株価が上昇していただけに、反動でどこまで下げるか見通せない状況です。

まずは、節目の1,000円をキープして上昇基調に戻っていくのか、下抜けて下落トレンドを決定づけるのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・売出株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元(配当、株主優待等)⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐⭐
株式の処分(売出)数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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