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【自社株買いは買いか?】GMOぺポパ(3633)

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こんにちは!

直近で自己株式の取得を発表した銘柄に関して、この発表のタイミングで株を買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から情報・通信業種のGMOぺポパです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

上場企業が自らの資金を使って、株式市場から自社の株式を買い戻すことをいう。

日本証券業協会HP 金融・証券用語集

自社の株を買った後は、

  1. 買い戻した株式を消却する。(無効とする。)
  2. 金庫株としてそのままにしておき、いずれ資金調達などの目的で売却する。

の2通りあります。

自社株買いのメリットとデメリット

<メリット>

  1. 発行済み株式数が減るため、会社の利益総額が変わらなければ、1株当たり利益(EPS)が増えるので、企業価値が上がる=株価が上がる可能性がある。(配当とともに株主還元の一つ)
  2. 配当金の支払いが少なくて済む。(企業側のメリット)
  3. 敵対的買収の防衛策(株価が上がって敵対企業が株を買いにくくなることと、市場に出回る株数の割合が少なくなるため)
  4. ROE(株主資本利益率:ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本×100(%))が上がる。
    • 自社株買いを行った場合、自己資金が減りますので、分母の「自己資本」が小さくなりROEが上がります。
  5. 自社の株価は「割安」というメッセージを送ることができる。
    • 自社の株が安い時に買った方が、購入資金が少なくて済みます。(企業側のメリット)

<デメリット>

  1. 自己資金が減り、設備投資などの自社の成長に回せる資金が少なくなる。
  2. 自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)が下がる。

などがあります。

それでは、見ていきましょう!

自社株買いの概要

会社から発表された自己株式取得の概要は、表1のようになっています。

株数と金額の上限が設定されていますが、株価が上がれば、取得に必要な金額も大きくなりますので、予定の取得株数よりも少なくなることが多いです。

自社株買い発表日2022年3月7日(月)
自己株式取得を行う理由株主還元の一環として、
また、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能にするため
取得期間2022年3月8日~ 2022年6月30日
取得株式の総数普通株式 4万株(上限)
発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合:0.75%
取得金額の総額80百万円(上限)
取得方法東京証券取引所における市場買付け
表1:GMOぺポパ 自社株買い概要

今回の自己株式の取得数量は、発行済み株式総数の0.75%と自社株買いの数量としては少ない数量(※1)です。

※1 一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は288百株、25日平均は309百株で、流動性は低い水準です(1,000百株を平均水準としています)。

どんな会社?

「もっとおもしろくできる」という経営理念のもと。「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」をミッションとし、

インターネットでなにかをはじめたい方のツールとして、主に個人向けのインターネットサービスを利用しやすい価格で提供している会社です。

事業内容は、主にホスティング(インターネットなどで,通信事業者のサーバーの一部領域をユーザーに貸し出し,ユーザー独自のウェブサーバーとして運用するサービス)、EC支援ハンドメイド金融支援の4事業を展開しています。

各事業のサービス内容は以下です。

があります。

2021年12月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、「ホスティング事業」と「EC支援事業」を合わせて8割を占めています。

直近の経営概況

2021年12月期(2021年1月~2021年12月)の経営成績】(2022年2月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2020年12月期通期実績110
(23.2)
927
(18.3)
983
(17.7)
829
(52.9)
2021年12月期通期実績119
(7.9)
888
(4.2)
968
(1.6)
715
(13.8)
2022年12月期通期会社予想115
(△3.3)
1,143
(28.7)
1,156
(19.5)
785
(9.7)
表2:GMOぺポパ 2021年12月期通期経営成績と2022年12月期通期予想

2021年12月期通期の業績は、前年同期比 増収減益で、売上高は微増ですが、利益面は微減で、純利益は1割強減益の結果でした。

2022年12月期通期の業績は、前期比で売上高は微減ですが、利益面は、営業利益は3割弱、経常利益は2割弱、純利益は1割弱増益減収増益を見込んでいます。

なお、収益認識基準の適用により、EC支援事業 約18億円、ハンドメイド事業 約億円の売上高に対するインパクト(減少)が発生し、

収益認識基準適用前の増減ですと、売上高は前期比 15.5%増の予想となっており、実質的には増収増益の見通しです。

【2021年12月期通期の状況、経営成績の要因】

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による巣ごもり需要が一服した影響を受け「SUZURI」、「minne」のようなフロー型サービスにおいて、流通額が目標を下回ったものの、

「ロリポップ!」、「カラーミーショップ」などのストック型サービスが堅調に推移したことから、売上高は過去最高を記録しました。

一方で、巣ごもり需要の拡大に伴い、前年下期以降にEC関連サービスの体制強化を行ったことにより人件費等の営業費用が増加しました。

この結果、表2の経営成績となりました。

【セグメント別の業績】

セグメント別の業績は、表3の結果になりました。

セグメント売上高[百万円]
(前年同期比
増減率[%])
営業利益
[百万円]

(同)
ホスティング4,807
(5.2)
1,475
(8.3)
EC支援4,874
(19.8)
1,118
(
△7.8)
ハンドメイド1,952
(△1.9)
225
(△0.6)
金融支援213
(66.5)
△140
(前期セグメント
損失299百万)
その他330
(△87.2)
△127
(前期セグメント
利益470百万)
表3:2021年12月期通期  セグメント別業績

ホスティング」は前期比 増収増益

金融支援」は増収で赤字幅縮小

EC支援」は増収減益

ハンドメイド」と「その他」は減収減益事業によってまちまちの結果でした。

セグメント別の状況は以下です。

ホスティング事業

ロリポップ!」(レンタルサーバー及びASPサービス)は、2021年10月にレンタルサーバーの調査においてordPress利用者満足度など3項目でNo.1を獲得しました。

契約件数は「ムームードメイン」(ドメイン取得代行サービス)との連携強化や、アフィリエイト経由での新規契約獲得により425,982件(前期末比2.1%増)となりました。

また、上位プランやオプション機能への誘導強化の結果、顧客単価398円(前期比6.1%増)となりました。

ムームードメイン」は、ドメイン更新料の上昇により顧客単価は増加したものの、新規の契約者数が減少登録ドメイン数1,171,750件(前期末比2.5%減)となりました。

EC支援事業

カラーミーショップ」(ネットショップ作成サービス)は、初期費用無料・月額利用料無料でネットショップを開設できるフリープランの導入を開始したほか、地方銀行や全国商工会連合会との連携を通じ地方創生やDX化促進の取り組みを強化したことから契約件数46,369件(前期末比12.9%増)となりました。

また、販促支援アプリの提供やオプション利用の増加に伴い、顧客単価3,281円(前期比4.8%増)となりました。

なお、当期2Q連結累計期間より「カラーミーショップ」の契約件数、顧客単価はフリープランを含めて算出しています。

SUZURI」(オリジナルグッズ作成・販売サービス)は、マスクやボアフリースを始めとした新アイテムの追加や夏季のTシャツセール期間の拡充などを実施した結果、

会員数106万人(前期末比51.1%増)となり、当連結会計年度における流通金額32億円(前期比31.2%増)と順調に成長しましたが、プロモーション等の営業費用も増加しました。

ハンドメイド事業

2021年11月には、手芸販売専門店「クラフトハートトーカイ」を主力に、手芸用品や衣料品・服飾品、その他生活関連雑貨などを販売する藤久株式会社と業務提携するなど新たな取り組みを開始しました。

minne」(ハンドメイドマーケット)は、作品を探しやすくするためのカテゴリー追加や作品の特徴を登録できる新機能の追加など、機能面の改善や期間限定クーポンの配付などの販促活動を行った結果

当連結会計年度における流通金額151億円(前期比1.6%増)となりましたが、コンビニ決済やキャリア決済の比率が低下したことで、決済手数料売上が減少しました。

金融支援事業

FREENANCE」(フリーランス向けファクタリングサービス)は、「カラーミーショップ」、「SUZURI」、「minne」などの同社サービスとの連携やフリーランスと関係の強い企業との提携や連携を強化したことにより、請求書買取額28億円(前期比71.4%増)となりました。

その他

「その他」には、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するWebコンテンツ制作事業やブログサービス「JUGEM」が属していましたが、

2021年1月にWebコンテンツ制作事業、2021年4月にブログサービス「JUGEM」をそれぞれ事業譲渡いたしました。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2021年12月期末時点で32.9%と前期末(30.6%)から2.3ポイント増加しました。

自己資本比率の数値としてはまだ問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

キャッシュ・フロー

2021年12月期通期のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況

フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

前期(2020年12月期)通期のフリーCF(プラス1,248百万円)から857百万円悪化しています。

これは主に、税金等調整前当期純利益前期比で169百万円減少未払金の減少 424百万円などがあり、営業活動によるCFの収入が減少

投資有価証券の売却による収入267百万円減少などで、投資活動によるCFの支出が増加したことが要因です。

【今期(2022年12月期通期)業績の見通し】

物販系BtoC向けEC市場2015年~2020年の年平均成長率(CAGR)11.1%で推移しており、巣ごもり需要の一服の影響はあったものの成長は継続しています。

また、EC関連サービス(カラーミーショップ、SUZURI、minne)における年間の流通額(GMV)は前期比+5.6%と成長を維持し、販売者数も140万人を突破しています。

2022年12月期は、金融支援事業セグメントで黒字化を計画し、中長期でのさらなる収益力強化に取り組む予定で、

Faas(Function as a service)※の新規契約獲得(企業間連携による請求書買取件数)を、2021年の実績5,476件から、2022年 9,394件(+3,918件)を目指しています。

クラウドサービスの一種で、クラウド事業者が運用するWebサーバ上に契約者用のスペースを作り、プログラムを配置するだけで即座に実行できるようにするもの。いわゆる「サーバーレス」型サービスの一つ。

また、中期的な目標を、2025年度に営業利益 25億円(2022年は11.4億円なので、その2倍)と設定して、高い利益成長を目指しています

株価指標と動向

【2022/3/8(火)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、さくらインターネット(3778) 73.0倍、Eストアー(4304) 8.3倍と比較すると、少し低い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年12月期2555.0
2018年12月期52.559.2
2019年12月期6562.4
2020年12月期8150.9
2021年12月期8150.3
表4:GMOぺポパ 年間配当金推移

年利回りは3.5%で、東証1部の単純平均2.35%(3/8時点) と比較すると高い水準です。

表5のように、直近5年間の配当金は、2020年12月期までは連続増配していましたが、それ以降は増配が止まっています

配当性向は、50~60%程度で高い水準です。

この会社は、

環境変化の激しいインターネット業界においては、企業体質の強化及び積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実が重要であると考えていますが、利益還元も重要な経営課題と認識しています。

そして、事業の成長に基づく中長期的な株式価値の向上とともに、配当性向50%以上を基本として、業績に連動した配当を継続的に実施できる収益力の安定に努めています

【株主優待】

この会社は株主優待があり、6月末と12月末の年2回、100株以上保有の株主に以下の3つの内容が贈呈されます。

  1. ポイント付与又はクーポン
    「おさいぽ!ポイント」または「GMOポイント」または「minneクーポン」のいずれかを選択。自社運営インターネットサービス等で利用可
    • 100株以上保有:1,500円相当
    • 200株以上保有:3,000円相当
  2. 自社(GMOぺポパ株)株式買付手数料キャッシュバック(GMOクリック証券)
  3. 売買手数料キャッシュバック(GMOクリック証券)

ポイント付与分のみ金額換算して、100株保有の場合、配当金+株主優待(1,500円相当×年2回=3,000円相当)で、年利回りは4.9%になります。

特に、GMOクリック証券に口座開設している方はお得ですね!

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、一昨年のコロナショック時の安値(1,140円)から1年間ずっと上昇し、昨年3月に上場来高値(8,750円)をつけました。

しかしその後は、約1年間ずっと右肩下がりの下落トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年12月の高値(2,632円)から、右肩下がりの下落トレンドで推移しており、

今回の自社株買い発表の翌営業日(3/8)は、地合いが悪い中、これを好感されて、前日比 37円高(+1.8%)で終了しました。

今後は、直近の1月下旬につけた安値(2,030円)を割り込まずに、25日移動平均線(赤線)や75日移動平均線(青線)を上抜けてくれば

1月下旬の安値と3月初旬の安値がダブルボトムのチャート形状となり、下落期間が長かっただけに大きな上昇も期待できそうです。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・自社株買い数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
自社株買い数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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