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【公募増資・売出(PO)は買いか?】明治電機工業(3388)

エコカー

こんにちは!

公募増資・売出(以下、PO)の実施を発表した銘柄に関して、POに応募して買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から卸売業種の明治電機工業です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

既上場企業が新たに発行する株式(公募株式)や既に発行された株式(売出株式)を投資家に取得させることをいいます。
正確には、「PO」は「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、日本語では「公募」と呼ばれます。「公募」とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘すること」をいいます。
また、「売出」とは、「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことをいい、通常は「公募」「売出」を合わせて「PO」と呼ばれます。
「新規公開株(IPO)」は未上場企業が直接金融市場からの資金調達や知名度・信用力の向上を目的として証券取引所に新規上場するために一般投資家に株式を取得してもらう行為であるのに対して、「公募・売出(PO)」は既に上場していて証券取引所での株式取引が行われている企業が追加の資金調達や大株主の保有株売却などを目的として一般投資家に株式を取得してもらう行為であり、「新規公開株(IPO)」と「公募・売出(PO)」の違いを簡単にいえば、実施する企業が「未上場」か「既上場」かの違いといえます。

POの概要

今回のPOは、公募による新株式発行と自己株式の処分です。発行価格等決定日や受渡期日、発行数量等は表1のようになっています。

ディスカウント率は、「発行価格等決定日」に決まり、その日の終値から数%です。

ちなみに、直近の主なPOのディスカウント率は、JR西日本(9021) 3.01%、日本郵政(6178) 2.01%、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387) 3.09%となっており、ほぼほぼ2~3%です。

注意点として、どの証券会社でも購入できるわけでなく、主幹事(今回は、野村證券)はじめ、引受人の証券会社で購入申込可能です。

早ければ、3/2(水)の夕刻に、会社側から発行価格等のお知らせが適時開示であります。このブログ記事も更新しますので、チェックしてくださいね💖

発行価格等決定日2022 年3月2日(水)
受渡期日
(POで買った場合はこの日から売却可能)
2022 年3月9日(水)
公募による新株式発行(一般募集)数量普通株式 500,000
発行済み株式総数 12,067,120 株 の約4.1%
公募による自己株式の処分(一般募集)数量普通株式 500,000
発行済み株式総数 12,067,120 株 の約4.1%
株式の売出し
(オーバーアロットメントによる売出し)数量
普通株式 150,000 株(実施決定(3/2)
※上記の「発行価格等決定日」に決定野村證券が売出す。
公募増資及び第三者割当に係る手取概算額合計上限13.1億円
発行価格1,016 円(3/2決定)
ディスカウント率3.51 %(3/2決定)
申込単位数量100株
主幹事野村證券
表1:明治電機工業 PO概要

【資金調達の目的/背景】

【今回の資金調達の使途】

としています。

ただ、今回の資金調達は13.1億円(上限)ということですが、この会社の2022年3月期3Q時点の利益剰余金が約216億円積み上がっている中、

公募増資は実施せずとも、この利益剰余金から資金を捻出すれば、自己資本は増加せず、ROE(株主資本利益率)は上がりますし、ROEが上昇すれば株価にもポジティブに働くと筆者は考えます。

またこの会社は、昨年6月末時点で今年4月からの新市場区分の最上位「プライム市場」の1日の平均売買代金の基準である0.2億円以上を満たしておらず昨年12月に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を東証に提出しています。

今回のPOは、市場に流通する株式数を増やし、この「1日の平均売買代金」の基準を満たす狙いもあと推測できます。

今回の公募による新株式の発行数量と自己株式の処分数量の合計は、発行済み株式総数の約8.3%(OAを含めた最大の株数で9.5%)で、

直近の自己株式の処分を含むPOの売出株数比率(OA含む)は、WOWOW 8.1%、リンクアンドモチベーション 10.2%、ネクステージ 2.5%でしたので、それと比較すると多めの数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株の数量)の5日平均は1,395百株、25日平均は327百株で、流動性は低い水準です。

どんな会社?

製品の企画から生産まで、すべての「ものづくり」の現場のあらゆる課題を解決するトータル・ソリューションを提供している技術商社です。

同社グループは、制御機器、産業機器、計測機器、電源機器、実装機器などの商品を、ユーザー(製造メーカー)の商品開発、生産技術、設備保全、購買などの部門に対し、

単なる商社活動だけでなく、FAエンジニアリング力を駆使したシステム提案の形で営業活動を行い、販売に結びつけています

主な取扱商品は、

があります。

2021年3月期通期の機器毎の売上高構成比は、

となっており、「制御機器」と「産業機器」を合わせて6割を占めています。

2021年3月期通期の地域毎の売上高構成比は、

となっており、8割以上が日本での販売です。

直近の経営概況

2022年3月期3Q(2021年4月~2021年12月)の経営成績】(2022年1月31日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期3Q累計443
(△20.3)
912
(△64.6)
1,094
(△60.1)
806
(△55.1)
2022年3月期3Q累計477
(7.5)
1,161
(27.2)
1,522
(39.1)
1,181
(46.5)
2022年3月期通期会社予想 ※680
(ー)
2,150
(ー)
2,320
(ー)
1,620
(ー)
通期予想に対する3Qの進捗率[%]70.154.065.672.9
表2:明治電機工業 2022年3月期3Q経営成績
 ※2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、上記の連結業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期及び対前年同四半期増減率は記載なし

2022年3月期3Q累計の業績は、前年同期比 増収増益で、売上高は1割弱増、利益面は3~4割増益となっており好調です。

2022年3月期通期の業績は、会計基準が異なっているため前期比比較はされていません。

通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で売上高は3/4弱利益面は営業利益は少し遅れていますが、それ以外は3/4ほどに達しており順調です。

【2022年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

同社グループの主要ユーザーである自動車関連企業は、世界的なサプライチェーンの混乱の影響や原材料価格の高騰が利益を圧迫する状況が続いており、生産や販売活動に影響が出るなど、懸念が残る状況となりました。

電気・電子・半導体関連企業は、一部製品で市況が弱含みになっていますが、スマートフォンや自動車向けにおいて、最先端から旧世代までのあらゆる半導体の需要は伸びました

工作機械・産業機械関連企業は、世界的な半導体投資の活発化を受けて、中国市場が堅調に推移した上、欧米や日本でも設備投資の動きが拡大し、生産動向は好調に推移しました。

こうした中、同社グループは、「“新たな価値創造”と“自ら考え考動する”」を基本方針とした第10次中期経営計画(2021年度~2023年度)に基づき、自動車ビジネス強化に向けた体制整備、ものづくりにおけるカーボンニュートラルへの貢献、エンジニアリング事業の競争力強化などの主要施策に対する取り組みをスタートさせました。

その結果が表2の経営成績です。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年3月期3Q末時点で63.9%と前期末(58.4%)から5.5ポイント増加しました。

これは主に、営業債務が前期末から3,091百万円減少したことと賞与引当金が226百万円減少したことにより、流動負債減少したためです。

自己資本比率の数値としては良好なレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年3月期通期)業績の見通し】

2021年5月14日の「2021年3月期 決算短信」で公表されたものから変更はありません。

株価指標と動向

【2022/2/21(月)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、英和(9857) 7.1倍、ナ・デックス(7435) 10.9倍、NaITO(7624) 20.9倍と比較すると、低めの水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年3月期4030.2
2018年3月期5529.3
2019年3月期8229.8
2020年3月期7229.9
2021年3月期6045.4
表3:明治電機工業 年間配当金推移

配当金の年利回り4.1%で、東証1部の単純平均2.18%(2/18時点) と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金55~82円で推移しており、幅がありますが、

2021年3月期を除いて配当性向30%前後で一定となっています。

この会社は、

株主に対する利益還元を重要な経営課題として位置づけ、連結配当性向30%を目処として、将来の持続的成長に必要な内部留保の充実を図りながら、配当を行うことを基本方針としています。

また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、一昨年のコロナショック時の安値(1,082円)をつけた後は上昇し、昨年1月に高値(1,598円)をつけました。

しかしその後は調整し、右肩下がりの下落トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、1,200~1,300円程度のレンジ内で推移していましたが、

今回のPO発表後の翌営業日(2/21)は、1株利益の希薄化と短期的な需給悪化懸念で窓を開けて大きく売られ、前日比 207安(-16.6%)で終了しました。

結局この日の下落で、コロナショック時の安値を下回ってしまいました

今後は、節目の1,000円程度で下げ止まって上昇に転じていくのか、さらに下抜けていくのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・売出株数】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
新株発行、
自己株式の処分数量
⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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