きよりん堅実投資

【立会外分売は買いか?】タスキ(2987)

不動産SaaS

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証マザーズから不動産業種のタスキです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大5,000株まで購入できます。

早ければ2/18(金)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 2 月 21 日(月)
分売数量580,000 
発行済み株式総数 11,744,000 株の約4.9%
分売値段767 円(2/18発表)
ディスカウント率3.03 %(2/18発表)
申込単位数量100株
申込上限数量5,000株
実施の目的同社株式の分布状況の改善および流動性の向上を図るため
表1:タスキ 立会外分売概要

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約4.9%と多めの数量※です。

※一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は1,513百株、25日平均は1,452百株で、流動性は平均的な水準です。

どんな会社?

「タスキで世界をつなぐ~革新的なイノベーションで社会のハブになる~」を企業理念に掲げ、不動産テック領域において、

ライフプラットフォーマーとして暮らしの住まいを提供するReTech事業

不動産デベロッパー向けにマルチプラットフォームを提供するSaaS(Software as a Service)事業及び

企業のDX推進に戦略策定から効果検証までを伴走支援するDXコンサルティング事業を展開しています。

具体的な事業内容は以下です。

直近の経営概況

2022年9月期1Q(2021年10月~2021年12月)の経営成績】(2022年2月7日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2021年9月期1Q累計 ※18.8
(ー)
198
(ー)
168
(ー)
115
(ー)
2022年9月期1Q累計25,2
(34.0)
326
(64.3)
288
(71.2)
199
(72.2)
2022年9月期通期会社予想130
(41.5)
1,540
(23.1)
1,360
(22.3)
930
(17.0)
通期予想に対する1Qの進捗率[%]19.421.221.221.4
表2:タスキ 2022年9月期1Q経営成績
※2020年10月に東証マザーズに上場したため、前年四半期比増減の比較無し

2022年9月期1Q累計の業績は、前年同期比 増収増益で、売上高は3割強増、利益面は7割程度の増額となっており好調です。

2022年9月期通期の業績は、前期比で売上高は4割増、利益面は2割程度の増益を予想していて、

通期予想に対する進捗率は、1Q終了時点で売上高、利益面ともに2割程度進捗しており、まあまあの進捗です。

【2022年9月期1Qの状況、経営成績の要因】

日本政府は、デジタルニューディール政策を掲げ、民間企業による攻めのIT投資を後押しする姿勢です。

しかし、公益財団法人不動産流通推進センターが発表した「2021不動産統計集」によると、不動産業界は全国の86%の事業者が小規模事業者であり、業務効率化のためにシステム開発を行うことが困難な状況と考えられます。

このような状況のもと、同社は自社のみならず不動産業界全体の発展を市場のさらなる拡大を目指して、不動産業界のDX化を牽引すべく自社で活用しているシステムをサービスとして提供するSaaS事業を行っています。

2021年10月に不動産投資型クラウドファンディングプラットフォーム「TASUKI TECH FUNDS」の提供を開始し、効果検証を行いながら外販開始に向け機能改善などを行っています。

この結果、当1Q累計期間の経営成績は、積極的な販売活動の結果、9件の引渡しを行い、表2の結果となっており、

という状況です。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年9月期1Q末時点で27.7%と前期末(31.1%)から2.4ポイント減少しました。

これは主に、長期借入金が前期末比で977百万円増加し、固定負債が増加したためです。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年9月期通期)業績の見通し】

2021年11月8日に発表の予想値から変更はありません。

株価指標と動向

【2022/2/16(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、プレサンスコーポレーション(3254) 12.4倍、FJネクストHD(8935) 5.5倍、ディア・ライフ(3245) 6.2倍と比較すると、中間的な水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2018年9月期
2019年9月期
2020年9月期2637.0
2021年9月期5235.6
表3:タスキ 年間配当金推移

配当金の年利回り3.3%で、東証1部の単純平均2.15%(2/16時点) と比較すると高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金2020年9月期から配当を開始し、2021年9月期は前期比2倍の金額です。

2022年9月期は年間28円予想ですが、2021年12月10日付で1対2の株式分割をしているため、2021年9月期の配当金を分割後に換算すると26円ですので、実質2円増配予想となっています。

配当性向は、配当があった2020年9月期と2021年9月期は35%前後です。

この会社は、

株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、

業績を経営環境を勘案のうえ、企業体質の強化や将来の事業展開に備えるための内部留保を確保しつつ、配当性向35%以上を目標として、判定的な配当を継続することを基本方針としています。

内部留保金は、事業基盤を支えるシステム開発投資や景気変動の影響を受けにくい企業体質の確立に向けた関連事業投資を進め、安定的な事業基盤の確立を株主価値の増大に努めています。

剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、一昨年10月に新規上場し、その上場初日に高値(3,030円)をつけた後は、下落トレンドで推移し、昨年8月に安値(690円)をつけました。

そしてそこから上昇し昨年11月に年初来高値(1,875円)をつけたのですが、それ以降はまた調整入りして、下落トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、昨年の11月下旬に年初来高値(1,875円)をつけた後は、下落トレンドで推移しており、

今回の立会外分売発表の翌営業日(2/15)はほとんど反応はなく、下落トレンドを継続しています。

今後は、地合いによるとは思いますが、どこで下げ止まって上昇に転じていくのか要注目です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐⭐
株主還元(配当、株主優待等)⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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