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【立会外分売は買いか?】イチケン(1847)

商業施設

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証1部から建設業種のイチケンです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ2/21(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定日2022 年 2 月 22 日(火)
分売数量110,000 
発行済み株式総数 7,282,400 株の約1.5%
分売値段1,788 円(2/21決定)
ディスカウント率3.04 %2/21決定
申込単位数量100株
申込上限数量1,000株
表1:イチケン 立会外分売概要

【立会外分売実施の目的】

同社は、昨年12月に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を作成しており、それによると「流通株式時価総額」は移行基準日(2021年6月末)時点で80億円でしたので、基準の100億円に20億円足りていない計算です。

基準を満たすためには、流通株式数を増加させるとともに、時価総額全体を押し上げていく必要があります。

同社の目標として、中期経営計画の最終年度である2023年3月期末までに上場維持基準の充足に向け取り組んでいく予定です。

今回の分売数量は、発行済み株式総数の約1.5%とほどほどの数量※です。

※一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は324百株、25日平均は148百株で、流動性は低い水準です。

どんな会社?

1930年の創業以来、商業空間創造をコア事業として、快適で豊かな社会の実現をめざしてきた会社です。

暮らす人、利用する人、人間を原点とする発想で、商業施設、住宅や公共施設など、多彩な建築空間を創造し続けています。

事業内容は、建築・土木・内装仕上工事等の建設事業及び不動産事業です。

2021年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、ほとんど「建設事業」が占めています

直近の経営概況

2022年3月期3Q(2021年4月~2021年12月)の経営成績】(2022年2月9日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する
当期純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期3Q累計695
(14.4)
4,217
(31.1)
4,172
(30.1)
2,842
(28.9)
2022年3月期3Q累計599
(13.9)
3,694
(△12.4)
3,679
(△11.8)
2,656
(△6.5)
2022年3月期通期会社予想850
(4.1)
4,390
(△7.7)
4,290
(△8.2)
2,900
(6.4)
通期予想に対する3Qの進捗率[%]70.484.185.889.7
表2:イチケン 2022年3月期3Q経営成績

2022年3月期3Q累計の業績は、前年同期比 減収減益で、売上高は1割強減、利益面は1割程度減となっており、あまり元気がありません。

2022年3月期通期の業績は、前期比で売上高は微減、利益面は1割弱の減益を予想していて、

通期予想に対する進捗率は、3Q終了時点で売上高、営業利益は順調で、経常利益と純利益は上振れしそうな勢いです。

【2022年3月期3Qの状況、経営成績の要因】

建設業界は、新型コロナウイルス感染症による景気見通しが不透明な中で、受注競争の激化に加え、技能労働者不足による労務費の高騰及び建設資材の価格上昇など、引き続き厳しい経営環境が続いています。
このような状況のなか、同社は、従前から培ってきたコア事業である「商業施設」建築のノウハウや企画・提案力を生かし、店舗等の新築・内装・リニューアル工事の建設需要に対して積極的な受注活動を行い、また、マンション、物流施設、医療・福祉施設等、幅広い民間事業者の建設需要にも取り組んできました。

この結果、当3Q累計期間の経営成績は、売上高599億円(前年同期比13.9%減)となりました。
損益は、完成工事高の減少などにより完成工事総利益が減少したため、営業利益は36.9億円(前年同期比12.4%減)、経常利益は36.8億円(前年同期比11.8%減)、四半期純利益は26.6億円(前年同期比6.5%減)となりました。

【セグメント別の業績】

建設事業

不動産事業

となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率>(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産)×100

2022年3月期3Q末時点で47.9%と前期末(45.5%)から2.4ポイント増加しました。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

これは主に、利益剰余金20.0億円増加し、株主資本が増加したためです。

【今期(2022年3月期通期)業績の見通し】

2021年10月29日に公表された業績予想から変更はありませんが、

配当予想を増額修正しており、従来予想の期末一括配当金 90円から10円増額し、100円予想としています。

配当修正の理由は、

同社は、事業の成長・拡大及び財務基盤の安定化による企業価値の向上と、株主への直接的な利益還元である配当の安定的な実施に重点を置き

利益配分は、今後の成長・拡大に備えた内部留保の充実を考慮して決定することを株主還元の基本方針としており、
2022 年 3 月期の期末配当予想は、当3Q累計期間の業績及び今後の動向等を総合的に勘案し、修正しています。

株価指標と動向

【2022/2/14(月)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、大末建設(1814) 8.3倍、北野建設(1866) 9.6倍と比較すると、水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年3月期9※10.7
2018年3月期8016.3
2019年3月期8018.4
2020年3月期9022.4
2021年3月期9020.6
表3:イチケン 年間配当金推移
※2017年10月に1対5の株式併合を行っており、
現在の株式数に換算すると実質45円

配当金の年利回り5.1%で、東証1部の単純平均2.12%(2/10時点) と比較すると2倍以上の高い水準です。

表3のように、直近5年間の配当金前年と同額の年もありますが、それ以外の年は増配しており増配傾向です。

配当性向は、10~20%程度で安定して推移しています。

この会社は、

剰余金の配当は、中間配当を期末配当の年2回行うことを基本方針としていますが、

直近の事業年度は、期末一括配当となっています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

週足ベースの株価は、一昨年のコロナショック時の安値(1,016円)をつけた後、昨年3月に高値(2,285円)をつけました。

しかしその後は調整し、1年近く1,800~2,000円のレンジ内で推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、1,800~1,920円程度のレンジ内の推移でしたが、今3Qの決算発表と増配、そして立会外分売の発表が、2/9のザラバ(取引時間)中にあり、それを好感されて、高値引けして前日比 37円高(+2.0%)となりました。

その翌営業日(2/10)も出来高を伴い上昇し、上昇基調を継続しており、今後どこまで上昇するか楽しみな状況です。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性・分売数量】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
株主還元(配当、株主優待等)⭐⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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