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【立会外分売は買いか?】滝沢ハム(2293)

ハム

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、分売で買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証ジャスダックから食料品業種の滝沢ハムです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ11/24(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で分売値段のお知らせがあります。このブログでも追記しますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2021 年 11 月 25 日(木)(11/24決定)
分売数量42,800株
発行済み株式総数 2,102,000 株の約2.0%
分売値段2,954 円 (11/24決定)
ディスカウント率2.99 % (11/24決定)
申込単位数量100株
申込上限数量1,000株
実施の目的一定数量の売却意向があり、発行会社として検討した結果、立会外分売による株式の分布状況改善及び流動性の向上を図るため
表1:滝沢ハム 立会外分売概要

分売数量は、発行済み株式総数の約2.0%とほどほどの数量※です。

※一概に言えませんが、目安として、5%以上:かなり多い、3%以上5%未満:多い、1%以上3%未満:ほどほど、1%未満:少ないとしています。

この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は4百株、25日平均は3百株で、流動性は低い水準です。

どんな会社?

「より良い食品を通じて食文化の向上と健康増進に貢献する」という経営理念のもと、主に食肉加工品(ハム・ソーセージ等)の製造及び販売をしている会社です。

その他にも、和牛及び国産牛の肥育、牛肉・豚肉の加工、食肉全般(国内、海外)の販売、ミートショップ(直売所)の展開などをしています。

2021年3月期の事業部門別の売上高構成比は、

となっており、食肉加工品と食肉の売上がぞれぞれ4割を占めています。

直近の経営概況

2022年3月期2Q(2021年4月~2021年9月)の経営成績】(2021年11月11日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社株主に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期2Q累計148
(1.2)
11
(前年同期赤字)
43
(同左)
15
(同左)
2022年3月期2Q累計146
(ー※)
27
(135)
59
(38.9)
50
(230)
2022年3月期通期会社予想300
(ー※)
300
(ー※)
300
(ー※)
180
(ー※)
通期予想に対する2Qの進捗率[%]48.69.019.727.8
表2:滝沢ハム 2022年3月期2Q経営成績 ※「収益認識会計基準」等を1Q期間の期首から適用しており、2022年3月期2Qに係る売上高と通期予想の数値については、当該会計基準を適用した後の数値で、対前年同四半期増減率、前期比増減率は記載なし。

2022年3月期2Qの業績は、前年同期比で売上高は会計基準が異なるため単純比較はできませんが、微減で、利益面は営業利益は2倍以上、純利益は3倍以上となっており好調です。

通期予想に対する進捗率は、売上高は計画通りですが、利益面は遅れており、特に営業利益は2Q終了時点で10%程度しか到達しておらず、懸念材料です。

【2022年3月期2Qの状況、経営成績の要因】

食品業界は、複数の地域における緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間延長から消費マインドの低下が続いており、また、原材料費等の高騰によりコストが上昇するなど、依然として厳しい事業環境となっています。

このような状況の中で、同社グループは生活を支える重要な社会基盤の一部としての役割を果たすため、

を図ってきました。

この結果、2Q累計の売上高は、業務提携先との協業やコンビニエンスストアへの売上が堅調に推移しました。

損益面につきましては、原材料価格の上昇や燃料費の高騰がありましたが、コスト削減に努めました。

これらの結果が、表2の経営成績の数値です。

なお、前提として、

収益認識に関する会計基準」等を1Q会計期間の期首から適用しており、当2Q累計期間における売上高は、前2Q累計期間と比較して大きく減少しています。

【事業部門別の業績】

事業部門別の売上高は、表3の結果になりました。

事業部門売上高[百万円]
(前年同期比[%])
食肉加工品5,960
(△1.7)
惣菜その他加工品2,559
(9.4)
食肉6,006
(△6.3)
その他58
(16.0)
表3:2022年3月期2Q  事業部門別売上高

主力の「食肉加工品」と「食肉」は減収「惣菜その他加工品」と「その他」は増収の結果となっています。

事業部門ごとの状況は、以下のようになっています。

食品加工部門

ハム・ソーセージ等の売上が増加いたしました。この結果、この部門の売上高は59億60百万円(前年同期は60億65百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億57百万円減少しています。

惣菜その他加工品部門

ハンバーグ類の売上が好調に推移しました。この結果、この部門の売上高は25億59百万円(前年同期は23億39百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は71百万円減少しています。

食肉部門

国産牛肉の売上は増加しましたが、国産豚肉や輸入ポークの売上が減少しました。この結果、この部門の売上高は60億6百万円(前年同期は64億9百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2億5百万円減少しております。

その他部門

緊急事態宣言等の影響がありましたが、外食部門等の売上高は58百万円(前年同期は50百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。

【財政面の状況】

自己資本比率は、2022年3月期2Q末時点で27.8%と前期末(27.4%)から0.4ポイント増加しました。

自己資本比率の数値としてはぎりぎり問題ないレベルです。(目安として、20%以上を安全圏内としています。)

また、2022年3月期2Q累計のキャッシュ・フロー(以下、CF)の状況は、営業活動によるCF 246百万円の収入、投資活動によるCF 132百万円の支出の結果、営業活動によるCFと投資活動によるCFを合計したフリーCF※は114百万円のプラスとなりました。

フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

前期(2021年3月期)2QのフリーCF(プラス178百万円)から64百万円減少しています。

これは主に、有形固定資産の取得による支出が前年同期比で90百万円増加したことにより、投資CFの支出が増加したことが要因です。

【今期(2022年3月期)の見通し】

2022年3月期2Q決算発表に先立ち、2022年3月期2Q累計の業績予想を修正しています。

業績予想は、表4のようになっています。

売上高
[百万円]
営業利益
[百万円]
経常利益
[百万円]
親会社株主に
帰属する
当期利益
[百万円]
1 株当たり
当期純利益

[円]
前回(5/13)発表予想14,55055553014.61
今回(11/5)修正予想14,58427595024.78
増減額34△2720
増減率[%]0.2△50.48.769.7
表4:2021年11月5日発表 2022年3月期2Q累計業績予想

売上高を微増、利益面は営業利益は減額していますが、経常利益、純利益は増額しています。

修正の理由は、

2Q累計期間は、売上高は当初予想を達成する見込みですが、営業利益は、連結子会社において新型コロナウイルス感染症による外食業界への影響から当初予想を下回る見込みです。

経常利益は連結子会社においてコロナ関連助成金等の収入があり、当初予想を達成する見込み。親会社株主に帰属する四半期純利益は投資有価証券売却益の計上もあり当初予想を上回る見込みです。

なお、通期の業績予想は、今後の業績動向を踏まえ、業績予想を見直す必要が生じた場合には速やかに開示するということですが、

上述したように、2Q累計の進捗率は通期予想に対し、特に営業利益は1割しか達していないということで、下方修正懸念されるところです。

株価指標

【11/19(金)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、林兼産業(2286) 9.8倍、福留ハム(2291) 424倍、石井食品(2984) 0倍と比較すると、中間的な水準です。

配当は年利回り 0.7%で、東証ジャスダックの単純平均1.67%(11/19時点) と比較すると低い水準です。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年3月期157.9
2018年3月期2516.7
2019年3月期1533.4
2020年3月期ー(赤字)
2021年3月期1555.9
表5:滝沢ハム 年間配当金推移

表5のように、直近5年間の配当金は、2020年3月期以外は15~30円の間で推移しています。

配当性向は数%~55%と幅があります。

この会社は、

株主に対し安定的に利益還元することを最も重要な課題として位置付けています。

一方で、財務体質の強化、会社成長のための内部保留の充実等の重要性も考え、総合的に勘案した上で決定することを基本としています。

剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としています。

【株主優待】

この会社は、株主優待制度があり、3月末の100株以上保有の株主に、2,500円相当(200株以上は5,000円相当)の自社製品(食肉加工品詰合せ)が贈呈されます。こちらはうれしいですね!

100株保有の場合、配当金+株主優待(2,500円相当)の年利回りは1.5%になります。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック時の安値(2,751円)から上昇基調で、今年の3月末の高値(3,330円)まで上げました。

その後は、3月末の株主優待の権利落ち日に大きく下げましたが、その後は少しづつ値を戻して上昇トレンドで推移しています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、この立会外分売と2022年3月期2Q決算発表まで、緩やかながら上昇トレンドで推移していましたが、発表を受けて下落に転じてきています。

出来高が少なく、読みにくいところもありますが、75日移動平均線(青線)で下げ止まってきていますので、今後はこの下値支持線に支えられ上昇していくのかがポイントです。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
株主還元(配当、株主優待等)⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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