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【立会外分売は買いか?】京極運輸商事(9073)

タンクローリー

こんにちは!

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証ジャスダックから陸運業種の京極運輸商事です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。

分売数量は決まっていて、100株単位で最大4,500株まで購入できます。

9/21(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売値段のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売予定期間2021年9月22日(水)
分売数量148,000株
発行済み株数(自己株式を除く)3,053,345 株の約4.8%
分売値段988 円(9/21決定)
ディスカウント率3.98 % (9/21決定)
申込単位数量100株
申込上限数量4,500株
実施の目的一定数量の売却意向があり、当社として検討した結果、当社株式の分布状況改善および流動性向上を目的とするもの
表1:京極運輸 立会外分売概要

分売株数は、発行済み株数(自己株式を除く)の約4.8%とほどほどに多い数量です。

この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は272百株、25日平均は1,315百株で、流動性は少し低い水準です。

どんな会社?

今年、創業130年周年を迎える、ENEOSホールディングス傘下の、主に石油製品、各種ドラム缶及びその他商品等の販売と配送(石油・ドラム缶等販売事業)、石油類・化学製品類の液体輸送等(貨物自動車運送事業)をしている会社です。

他にも、

2021年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、石油・ドラム缶等販売事業」と「貨物自動車運送事業」がそれぞれ4割づつ占めています。

直近の経営概況

2022年3月期1Q(2021年4月~2021年6月)の経営成績】(2021年8月12日発表)

決算期売上高
[百万円]
(前年同期比[%])
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社の所有者に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2021年3月期1Q累計1,899
(△12.0)

(△15.7)
29
(△0.3)
19
(0.9)
2022年3月期1Q累計2,123
(11.8)
25
(171)
47
(62.4)
45
(144)
2022年3月期通期会社予想8,268
(△5.0)
107
(△38.1)
145
(△33.9)
123
(△20.3)
通期予想に対する1Qの進捗率25.7%23.4%32.4%36.6%
表2:京極運輸 2022年3月期1Q経営成績

2022年3月期1Qの業績は、前年同期比 増収増益で、特に利益面は、経常利益を除き2倍以上の利益を上げており好調です。

通期予想に対する進捗は、売上高はそこそこ、利益面は計画を少々上回って推移しています。

ただ、2022年3月期の会社の業績予想は、減収減益で、特に利益面は2~3割ほどの減益予想となっています。業績の好調が鮮明になれば上方修正もありうると思いますが、さみしい内容です。

2022年3月期1Qの決算短信では、会社の業績コメントは記載がありませんでした。

【財政面の状況】

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年3月期1Q末時点で47.4%と前期末(47.7%)から0.3ポイント低下しました。

自己資本比率の数値としては問題ないレベルです。(20%以上を安全圏内としています。)

【今期(2022年3月期)の見通し】

新型コロナウイルスの感染状況やワクチン接種の進捗状況等により国内経済に与える影響は不透明ですが、当社グループは、業務効率化による経費削減及び安全対策を徹底することにより、表2の予想数値になっています。

株価指標

【9/16(木)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、丸運(9067) 15.4倍、日本石油輸送(9074) 9.5倍、東部ネットワーク(9036) 10.4倍と比較すると、高い水準です。

年利回りは、東証1部単純平均の1.71%(9/15時点) と比較すると、少し低い水準です。

直近5年間の配当金と配当性向は、表3のようになっています。

決算期1株当たり
年間配当金(円)
配当性向(%)
2017年3月期13.9
2018年3月期13.1
2019年3月期14.5
2020年3月期15.6
2021年3月期15.8
※表3:京極運輸 年間配当金推移

配当金は、2017年3月期は記念配当があり多くなっていますので、ほぼ毎年増配傾向です。

配当性向は、10~20%程度とほぼ一定です。

この会社の株主還元・利益配分は、

  1. 配当については、安定かつ継続配当を基本とし、中期の経営見通し・財務状況・経済情勢等を勘案して株主総会に上程し、これを決定する 。
  2. 自己株の取得については、その時々の経済情勢や財務状況を総合的に判断し、弾力的に実施する。
  3. 内部留保は、中長期的な視点から財務の健全化を担保しつつ、将来の成長分野への投資に活用する。

としています。

【株主優待制度】

この会社は、今年から株主優待制度が新設され、9月末の100株以上保有の株主(ただし、1年以上継続保有が条件)に、1,000相当のオリジナル・クオカードが贈呈されます。

こちらはうれしい内容ですね。

ただし、1年以上継続保有の条件が付いており、基準日の9月30日現在の株主名簿に記載又は記録され、かつ基準日前年の9月30日、以降12月31日、3月31日、及び6月30日現在の株主名簿に、同一の株主番号で連続して5回以上記載又は記録された場合ですので、少しハードルが高いですね。

配当金+株主優待(1,000円相当)の年利回りは1.7%となっています。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック時の安値(386円)から徐々に値を上げてきました。そして、今年の7月末に急激に値を上げて、現在はその安値の2倍以上の値をつけています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近の株価は、先々月の7/28に株主優待制度の新設を発表し、翌営業日(7/29)とその翌営業日(7/30)の2日連続でストップ高比例配分場中は寄付かず、大引けで値幅制限の上限で売買が成立。買い数量が売り数量よりも多く、買い注文しても買えない投資家が出る。)となりました。

そして、その翌営業日(8/2)は寄付きはしたのですがストップ高で終了し、さらに次の日(8/3)もストップ高して、結局4日連続ストップ高を記録して高騰しました。その後も、急騰急落を繰り返し乱高下していましたが、今は落ち着いてきています。

現在は、8/3の高値(1,752円)を付けた後、上がり過ぎた株価は調整に入っていますが、今後また上がっていくのか、急騰前に戻っていくのかどうか、予断を許さない状況です。

今回の立会外分売発表の翌営業日(9/16)は、それほど反応はなく前日比-22円(-2.07%)で終了しました。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐ (中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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