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【立会外分売は買いか?】カネ美食品(2669)

スーパーマーケット

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

今回は、東証ジャスダックから小売業種のカネ美食品です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

立会外分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側から実施日前日に発表があります。分売数量は決まっていて、100株単位で最大1,000株まで購入できます。

早ければ、8/24(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売値段のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施日2021年8月25日(水)(8/24発表)
分売数量153,900株
発行済み株数(自己株式を除く)9,671,859株の約1.6%
分売値段2,730 円(8/24発表)
ディスカウント率3.53%(8/24発表)
申込単位数量100株
申込上限数量1,000株
実施の目的当社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため

分売株数が、発行済み株数(自己株式を除く)の約1.6%とそれほど多くない数量です。

この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は183百株、25日平均は70百株で流動性は低いレベルです。

どんな会社?

スーパーマーケットを中心に百貨店や駅ビル、駅ナカ等にさまざまなスタイルの惣菜店舗を展開する「テナント事業」と、

コンビニエンスストア向けの商品の製造・納品や各地域の生活協同組合から夕食宅配の製造を受託する「外販事業」で構成する

中食(なかしょく)企業」です。

外販事業の主要納入先は、ファミリーマートや鉄道系コンビニのNEWDAYS(ニューデイズ)です。

2021年2月期通期のセグメント別売上高構成比は、

となっており、売上比率はほぼ拮抗しています。

直近の経営状況

2022年2月期1Q(2021年3月~2021年5月)の経営成績】(2021年7月9日発表)

決算期売上高
[億円]
(前年同期比)
営業利益
[百万円]
(同)
経常利益
[百万円]
(同)
親会社の所有者に
帰属する純利益
[百万円]
(同)
2021年2月期1Q累計177.2△396△378△557
2022年2月期1Q累計189.0
(6.6%増)
241
(ー)
257
(ー)
134
(ー)
2022年2月期通期会社予想780
(3.2%増)
1,370
(194%増)
1,400
(167%増)
550
(169%増)
通期予想に対する1Qの進捗率24.2%17.6%18.4%24.4%

2022年2月期1Qの業績は前年同期比増収増益で、売上高は微増で 利益面は黒字転換しており、好調です。

通期予想に対する進捗率は、売上高、純利益は計画通り、営業利益と経常利益は計画より少し遅れているというところでしょうか。

【2022年2月期1Qの状況、経営成績の要因】

当業界においては、感染防止対策の徹底や内食需要の高まりへの柔軟かつ迅速な対応が求められ、業種・業態を越えた販売競争は一層激しさを増し、依然として厳しい状況となりました。

この刻々と変化する経済環境と顧客ニーズに対応すべく、当社においては安全・安心・高品質という基本を源に、店舗戦略や商品政策の見直し、効率的な工場運営等に注力しました。

セグメント別では、表の結果になりました。

セグメント売上高[億円]
(前年同期比)
セグメント利益
[百万円]
(前年同期比(額))
テナント100.8
(9.8%増)
349
(991%)
外販88.2
(3.1%増)
△108
(△428)

どちらのセグメントも、増収増益で、特にテナント事業は前年同期比10倍以上の利益を上げています。

テナント事業

新たなブランドとして、ディベロッパーの業態転換に伴い変化する来店客層に合わせ値頃感を打ち出した価値ある商品の提供を実現する「Re’z deli(リーズデリ)」、唐揚の食感や風味にこだわった鶏唐揚専門店「とりから御殿」を展開するなど、事業の底上げを図る新たな挑戦を行いました。

商品面では、改良を重ねた結果、第12回からあげグランプリ中日本スーパー惣菜部門において「金賞」を受賞した「でら旨!鶏唐」を筆頭に、売れ筋上位品目のブラッシュアップに注力し、強い単品の育成に取り組み増収となっています。

利益面では売上高の増加に加え、適正な人員計画及び販売計画によるロスの抑制などが寄与しました。

外販事業

引き続きコンビニエンスストアにおけるオフィス立地や駅立地店舗の集客の伸び悩みが影響し、納品量は低調に推移しました。

一方、新規取引先としてスーパーマーケットへの納品を開始するとともに、中京地区の工場の生産品目を集約することで工場の稼働率および生産性の向上を図ってきました。

また中京地区工場の一つである「袋井工場」を2021年3月にテナント事業専用のセントラルキッチンへと転換することにより、テナント向け商品の拡充および生産性の向上に注力しました。

これらの結果、増収となり、利益面は、前述の新規取引先の獲得及び工場再編に加え、2021年3月には不採算工場である「新潟工場(新潟市江南区)」の閉鎖により損失額を圧縮し、セグメント損失の結果となっています。

【財政面の状況】

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2022年2月期1Q末時点で76.5%と前期末(77.0%)から0.5ポイント減少していますが、数値としては問題ないレベルです。(20%以上を問題なしとしています。)

【今期の見通し】

2021年4月9日に公表した業績予想から変更はありません。

株価指標

【8/18(水)終値時点の数値】

PERは、同業で時価総額が近い、ロックフィールド(2910) 56.3倍、柿安本店(2294) 20.1倍、わらべや日洋HD(2918) 11.7倍と比較すると、高い水準になっています。

※直近5年間の配当金と配当性向は、表のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期60ー(赤字)
2018年3月期60 ー(赤字)
2019年2月期60 ー(赤字)
2020年2月期6549.1
2021年2月期33.1
※カネ美食品 年間配当金推移

2017年3月期~2020年2月期(2019年2月期に決算期変更)の配当は60~65円だったのですが、前期(2021年2月期)は急激に減配され、今期はまた少し上がっています。業績により変動するようです。

配当性向は30~50%となっています。

この会社の配当方針は、

業績に対応した成果の配分を行うことを基本とし、併せて企業体質の一層の強化と今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを勘案して決定する方針です。

この基本方針に基づき、剰余金の配当については、継続的な配当の実施を目指すことを基本的なスタンスとしています。

【株主優待】

この会社は、年2回(2月末と8月末)100株以上の株主に、3,000円相当(300株以上:5,000円相当、1,000株以上:10,000円相当)の8種類の商品から選べる「セレクトグルメ配達便」が贈呈されます。こちらはうれしいですね!

100株保有した場合の配当金+株主優待(3,000円)の年利回りは2.7%です。

【直近の株価動向】

<週足チャート(直近2年間)>

出所:楽天証券サイト

昨年のコロナショック時の安値(2,416円)を付けた後、急激に上昇し、昨年8月には高値(3,300円)を付けましたが、その後は急激に売られ、2,900~3,100円のレンジで動いています。

<日足チャート(直近3か月間)>

出所:楽天証券サイト

直近では、7/12につけた高値(3,070円)から下落傾向となり、この立会外分売発表の翌営業日(8/17)には、短期的な需給悪化懸念からか出来高を伴い大きく売られました。しかしながら、その翌日(8/18)は落ち着いてきています。

このチャートでは下値が見えませんが、5カ月前の3/9に付けた下値(2,877円)を下回ってくるとさらなる下値がありそうです。

まとめ

【業績】

【株主還元】

【流動性】

【株価モメンタム】

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐⭐
配当、株主優待を含む株主還元⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐ (中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

今月(8月)末に、株主優待の権利日が控えています。

優待内容が充実していますので、優待好きの方には株価が下がっているこのタイミングで買うのも「あり」だと思います🥰

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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