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【立会外分売は買いか?】ビーアンドピー(7804) ※今年3回目

屋外広告

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

第24回目は、今年に入って4月と6月に引き続き、3回目の分売が実施される、その他製品業種の東証マザーズ ビーアンドピーです。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

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新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側が実施日前日に発表があります。分売数量は決まっていて、100株単位で最大500株まで購入できます。

早ければ、7/20(火)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

今回(参考)前回
分売実施日2021/7/21(水)(7/20発表)2021/6/18(金)
分売数量100,000株
発行済み株数2,300,000株の約4.3%
100,000株
分売値段1,006円(7/20発表)1,125円
ディスカウント率3.08%(7/20発表)3.02%
申込単位数量100株100株
申込上限数量500株500株
実施の目的当社は 2019 年 7 月に東京証券取引所マザーズ市場に上場いたしましたが、更に社会的な認知や信用力を高め、企業価値向上を図ることを目的として、東京証券取引所市場第二部への市場変更申請をしている。
今回の立会外分売は、その形式基準の充足を図るとともに、当社株式の分布状況の改善及び流動性向上を図ることを目的として行うもの
(同左)

分売株数は、発行済み株数の約4.3%とほどほどに多く、前回実施時(6/18)と同じ数量です。その前の4/27に実施した時は110,000株でした。

今回の分売の目的は、前回(6/18)の実施時と同じですので、下記の東証市場変更基準をまだ満たしていない(下記 表の赤のアンダーライン箇所の基準)ため、再度実施することと予想されます。

出所:日本取引所グループHP

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は50百株、25日平均は103百株ですので、流動性は低いレベルです。

どんな会社?

大阪・東京・横浜の都心部を拠点として、大型インクジェット出力機を用いたサインディスプレイ(屋外広告、施設案内表示、POP広告、交通標識など街を歩いて目にするもの、建物の中で私たちを誘導してくれるもの等)制作を行っています。2019年7月に東証マザーズに上場したばかりの会社です。

具体的には、

  1. 販売促進用サインディスプレイの制作
  2. 屋外用大型サイン・広告の制作
  3. 建物の内装、インテリア用品の出力、制作
  4. 広告企画および制作に関する提案業務

をしています。

主な取引先としては、大手広告代理店、広告制作会社、デザイン会社、ゼネコン等があります。

2021年10月期2Q(2020年11月~2021年4月)累計の、売上高構成比率は、

となっています。

直近の経営状況

【2021年10月期2Qの経営成績と2021年10月期の見通し】

決算期売上高[百万円]
(前年同期比)
営業利益[百万円]
(同)
経常利益[百万円]
(同)
純利益[百万円]
(同)
2020年10月期2Q累計1,413181185127
2021年10月期2Q累計1,293
(8.5%減)
150
(17.2%減)
158
(14.5%減)
107
(15.7%減)
2022年10月期通期会社予想2,650
(8.5%増)
256
(23.3%増)
263
(24.6%増)
179
(28.1%増)
通期計画に対する2Qの進捗率48.8%58.6%60.1%59.8%

2021年10月期2Q累計では、前期比で減収減益となっており、特に利益面は2桁%の減益となりました。

しかしながら、今期の通期見通しは、増収増益で特に利益面は20%以上の増益を見込んでおり、それに対する進捗率は、2Q終了時点で50~60%とまずまずの進捗です。

要因としては、

販売促進用広告制作については、1Q(2020年11月~2021年1月)において新型コロナウイルス感染症の影響による売上落ち込みが続きましたが、2月以降は3月の年度末に向けて国内企業の販売促進活動が活発化し、売上が回復しています。

生活資材・製品制作については、ホテルの壁紙の受注等により順調に売上を伸ばすことができました。デジタルサイネージについては、大阪本店と東京本社にショールームを開設し、2Qから販売を開始しています。

さらに、3月には株式会社ピースリーと業務提携契約を締結し、インテリア市場に向けたデジタルサイネージの展開への道筋がつき、事業立ち上げ直後で売上は僅少ですが、引き続きお客様に積極的な提案を行っていくとのこと。

また、生産のオートメーション化を推進するためのソフトウエアを導入し、生産の効率化に向けて取り組んでいます。

売上高は、1Qは落ち込みましたが、2Qは回復基調となり、新型コロナウィルスの影響はあったものの、前年同期に対して7.9%の増加。新型コロナウイルス感染症の影響がなかった2019年10月期2Q比でも9.4%の増加となっています。

営業利益は、1Qは売上高の落ち込みにより赤字となりましたが、2Qは売上高の回復に加えて残業抑制等のコスト意識が定着したことにより、前年同期に対して41.8%の増加、2019年10月期2Q比でも34.0%の増加となっています。

結果として、2Q累計の売上高は期初想定通りとなり、営業利益は期初想定を上回りました。

【財務面】

自己資本比率(自己資本(総資本ー他人資本)÷総資産 ×100)は、2020年10月期末時点の86.4%から、2021年10月期2Q末時点で85.2%と1.2ポイント下がっていますが、問題ないレベルで、健全な状態を維持しています。

株価指標

7/15(木)終値時点の数値

PERは、同業で時価総額が近い、トッパン・フォームズ(7862) 23.1倍、光ビジネスフォーム(3948) 10.6倍と比較すると、中間的な水準となっています。

※直近3年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2018年10月期5021.6
2019年10月期5033.5
2020年10月期2236.0
※ピーアンドピー 年間配当金推移

配当性向は、ここ数年30%前後で安定しています。

配当金は、前期から4円増配となっています。こちらは嬉しいですね!

会社の配当方針は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本としています。

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(1,414円)をいったんは回復しましたが、それ以降直近1年程は、1,000円~1,400円の間でもみあっています。

今後、このレンジを上抜けるのか下抜けるのか注目です。

まとめ

【業績】

今期(2021年10月期)の業績は、1Qでは振るわなかったものの足元の2Qでは回復してきており、通期計画に対する進捗も順調である。

今期の通期業績見通しは、特に利益面は25%強の増益を見込んでおり、業績に期待感がある。

【株主還元】

今期の配当年利回りは2.4%とほどほどであるが、今期は4円増配の予定であり、今後も業績が良ければ、配当を期待できる銘柄である。

【流動性】

直近の出来高(売買が成立した株式の数量)は、5日平均 50百株、25日平均 103百株で、流動性は低いレベル。

分売数量は、先月6月実施した時と同じ発行済み株数の約4.3%とそれなりの数量。

【株価モメンタム】

直近1年程度、1,000円~1,400円の間でもみあっており、現在の株価はその下限に近づきつつある状況。

前回(6月)の分売値段は1,125円だったが、現在の株価(1,080円)と比較すると分売値段から45円下落しており、あまり良いイメージはない。

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐
流動性⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐(中立)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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