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【立会外分売は買いか?】オーウイル(3143)

ビタミンC

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

第21回目は、東証2部から卸売業種のオーウイルです。

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分売の概要

実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側が実施日前日に発表しますので前日にならないとわかりません。分売数量は決まっていて、100株単位で最大3,000株まで購入できます。

早ければ、7/5(月)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施日2021/7/6(火)(7/5(月)発表)
分売数量100,000株
発行済み株数3,150,000株の約3.2%
分売値段1,035 円(7/5(月)発表)
ディスカウント率3.09%(7/5(月)発表)
申込単位数量100株
申込上限数量3,000株
実施の目的一定数量の売却意向があり、発行会社として検討した結果、当社株式の流動性向上、株主数の増加を図るため

分売株数が、発行済み株数の3.2%とほどほどの数量です。

また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は12,000株、25日平均は5,700株ですので、流動性はやや低いレベルです。

どんな会社?

飲料・食品関連原材料及び製品を中心とした専門商社です。

取り扱い商品は、食料副原料(ビタミンC、糖類・食品添加物・香料)、乳及び乳製品(業務用殺菌乳、生クリーム、バター等乳製品)、農産物及び同加工品(茶類、トロピカルピューレ、農産物加工品、果物缶詰)等があります。排水浄化プラント、大型シーリングファン、業務用ヒーターの販売もしています。

他には、子会社の「株式会社サンオーネスト」でアイスクリームの製造・販売事業をしています。

決算報告セグメントは、「卸売事業」とアイスクリーム等の製造・販売の「製造販売事業」に分かれており、

2021年3月期通期のセグメント別売上高構成比は、

でした。ほとんどが卸売事業で占められています。

直近の経営状況

前期(2021年3月期)の経営成績は、

で、減収減益となりました。

会社側コメントとしては、

当社グループの主力マーケットである食品飲料業界において、人や物の移動が減少し、消費行動が大きく変化していることから、新たな生活様式に沿ったマーケティング戦略の対応が求められており、withコロナ時代を見据えた事業展開を図るなど、経営環境は大きく変化している。

このような状況下、当社グループは「お客様に十分ご満足のゆく商品・サービスの提供」を品質方針として、安心かつ安全な商品を提供することを第一に品質管理体制の強化を図り、お客様のニーズに合わせた安定的な供給の継続及びサービスの向上に努めてきた。卸売事業において、近年注力している環境ビジネス関連の大型シーリングファンの需要は、コロナ禍においても引き続き高く、好調に推移した。

しかしながら、外出自粛による消費低迷の影響を受け、主力カテゴリーである食品副原料、農産物加工品、乳及び乳製品の販売数量が前年に比べて減少したため、売上高は前期より減少した。

利益面は、物流費や販売管理費等が大幅に抑えられたものの、売上総売上高の減少を補填するには至らず、加えて外食向け等の受注が大幅に減少して、販売製造事業において0.9億円の損失となったことから、営業利益は前期比20.3%減となった。

ということです。

経常利益が、営業利益より若干増えているのは、雇用調整助成金等を営業外収益として計上したためです。

財政面は、

自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2021年3月期末時点で32.2%と前期末(31.2%)から1.0ポイント上がっており、30%以上ですので問題ないレベルです。

2021年3月期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー8.0億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー1.9億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フロー※は6.1億円のプラスとなりました。これは、前期末のフリー・キャッシュ・フロー(マイナス9.1億円)から、15.2億円改善しています。

※フリー・キャッシュ・フロー:プラスの場合、会社が使える資金があることを意味し、マイナスの場合、会社が自由に使うことができる資金が少ないことを意味する。

今期(2022年3月期)業績の会社予想は、

※2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の連結業績予想は当該基準を適用した後の金額となっており、売上高については対前期増減率は記載なし。

としています。利益面は、一昨年の2020年3月期の実績には届いていないですが、前期から20%ほどの増益の見通しです。

会社側コメントは、

当社が主に事業を行う食品飲料業界においては、食品原料流通の国際化が加速していることに加え、新興国の食糧需要増加や異常気象等の気候変動による農産物の需給バランスに変化が生じるなど、食品原料の調達は激しさを増していくと思われる。

また、国内だけでは完結できない地球環境に配慮した様々な取り組みなど、社会的な課題にも対応を求められている。

このような状況下、当社グループは国内外の市場動向や消費者のニーズの変化を迅速に捉え、食の安全性の確保と安定供給の継続を第一に、顧客サービスの充実を図り、既存事業の更なる深耕と新規事業の開発と拡大に注力していく。

2022年3月期においては、業績の早期回復を実現すべく、事業基盤の再構築、成長分野での新規事業の創出、積極的な人材投資等を踏まえて年度予算を策定している。

とのことです。

株価指標

6/29(火)終値時点の数値

PERは、同業で時価総額が近い、久世(2708) 0倍、石光商事(2750) 7.25倍、正栄食品(8079) 23.2倍と比較すると、低めの水準となっています。

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期3046.7
2018年3月期3334.6
2019年3月期4030.6
2020年3月期4530.0
2021年3月期4540.8
※オーウイル 年間配当金推移

配当は、年利回り4%を超えており、かなり高くなっています(東証2部の単純平均は1.75%(6/28現在))。直近では年々増配傾向で、配当性向は30~45%程度となっています。

会社の方針としては、

株主への利益還元を経営の重要課題と位置づけており、業績の伸長に沿った適正な利益配分の継続と安定的な配当水準の維持するとしています。

週足チャート(直近2年間):

出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(1,200円程度)を回復できていません。

直近では、1,000円~1,100円のレンジで推移していますので、1,100円を上抜けてくれば、上昇基調に転じる可能性はあります。

まとめ

今期(2022年3月期)は、利益面では20%前後の増益を見込んで、前期の減益からの復活する計画です。ただ、前々期(2020年3月期)の業績には届かない見通しですので、やや勢いが感じられません。

株主還元は、配当が年利回り4.2%と高くなっており、この点は魅力的です。

今後、現在の株価のレンジの上限1,100円を上抜けてくると、上昇基調に転じてくる可能性がありますので、期待が高まりますね!

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当を含む株主還元⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
流動性⭐⭐⭐
分売数量⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」=⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「不参加」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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